第21話 親との顔合わせ
「ほう、ただならぬ
「それはもう何と言いますか、とても口には言えないような
「
「でも叡智な関係ではあるわよね?」
「正しい意味で叡智な関係かもしれないけど、
「なるほど……セ〇レか。若いうちはそういった
「だから違うって言ってるだろ! 彼女の言う叡智な関係っていうのは、本当に俺の知らないことを教えてくれている文字通りの叡智な関係であって、父さんが
「本当に? こんな美しいお
「そうなんですよねー、お父様からも一郎くんに言ってくれません?
「ふむ、どうやら本当に手を出していないらしいな。さきほど本当の意味で叡智な関係と言ったが、彼女から何を教わったんだ?」
「
「ほう……?」
父親の顔つきが少し変った。
先ほどまで見せていた息子をからかうような父の顔から、家族を守る仕事人の顔へと。
「お嬢さん、
「はい」
「幽子さん、きみは陰陽師なのかな?」
「いいえ、違います。私の両親は陰陽師ですけど、私自身は
「免許を取る気はあるのかな?」
「いずれ取りたいとは思っていますけど、私
「先ほど息子はこのマンションについての問題が解決したと言っていたけど、それはきみのおかげかな?」
「はい。このマンションを
「どうやって?」
「もちろんこうやってです」
幽子が
「私の
「おい一郎、この子ちょっとやべーぞ」
「違うぞ父さん。ちょっとどころじゃないぞ」
悪霊を
中世ヨーロッパにおける
「まあ、やべー女ではあるんだけどさ、悪霊以外にはまともだし、ちゃんと
「そうなのか?」
「ああ、彼女の
――ワンッ。
「うおっ!? 何だこの犬!? いや、犬の幽霊、なのか?」
「俺と彼女が見つけて、助けられなかった犬なんだ。死ぬ前に優しくしてくれたから、俺たちに
「おいおい、ペット
「禁止にしている理由は
「幽霊なら壁とか無いも
「ない――けど、心配なら幽子に
――ワンッ!
「ほら、
幽霊犬という存在を当たり前のように受け入れ、モフっている。
そんな息子を見て一郎の父親は
「ふぅ、まあなんかいろいろあったのはわかったよ。お前も楽しそうだし安心した。母さんたちにもそう
「もう帰るのか?」
「ああ、元々お前の様子を見ることが目的だったからな。まあ
「はは……予想なんてできるわけないよな。こんな
「そうだな。だが、いい経験だろう。こういう経験はなかなか
「そりゃあるよ。兄貴も姉貴も別の仕事してるし、俺以外に誰が継ぐんだ?」
「そうか、なら絶対に彼女との
父の言い方が気に入らない。
今のところ幽子と縁を切るつもりはないが、ただの道具としてしか見ていないわけじゃない。
道具扱いしかしていない父に、一郎は少しだけムっときた。
「ということは、私はお父様のお
「身内として
「そうですか……じゃあ、家族としても迎えられるよう
「一応聞いておきたいんだが、
「はい、もちろん!」
「では聞くが、一郎のどこが気に入って好きになったのかな?」
「もちろん、
「ストレートすぎないかな!?」
「お言葉ですがお父様、こういう時に性格と言われたらどう思いますか? 答えとして
「む……確かに」
「私はもちろん一郎くんの、財産目当てで近づいてくるようなクソ女にも
「だから財産と? 財産も論外だと思うが」
「私の言う財産はお金ではないんですよ。ご実家のやっている不動産――そこで取り扱うワケあり物件が私にとっての何によりの財産なんです。先ほど申し上げた通り、私はそういう場所に住み
悪霊をシバき倒せば不動産屋も助かるし自分も気持ちいい。
WIN&WINの関係を
「なのでお父様、私と一郎くんの
「そういうのは本人同士が決めることじゃないかな? でも、私はきみが気に入ったよ。陰陽師
「ただ?」
「それはそれとしてそういった物件の相談をしに来てもいいかな? その……そうしてもらえると非常に助かるので」
「もちろんです! っていうかむしろガンガン持ってきてください! この前
「そうかそうか! では幽子さん、今後ともよろしく」
「はい、いつでもお話を持ってきてください。お父様♪」
――クックックック。
ニチャリとした笑顔を二人が交わした。
一郎の父と幽子のファーストコンタクトはある意味大成功だった。
一郎の
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます