第16話 ペット禁止
桜が完全に
つい半月前まではあれだけ色
大人気コンテンツが
正に
まあ、花は散り際こそが一番
今年を
「おーい、一郎くん待ってよ。ねえ、待ってってばー!」
と、もの思いにふけっていたところで名前を呼ばれる一郎。
――ああ、そういやこいつもこの授業取ってたな。
「もう、
「すまん、完全にそのことを忘れていた。なるべく次から
「え? 忘れてたって酷くない? あなたの彼女のことなのに」
「いや、別に彼女じゃないだろ」
つい1週間ぐらい前から同じマンション(タワマン)に住む同じ大学の仲間というだけで、彼女にした
「でも私、あの時ちゃんと告白したわよね?」
「その後、俺ちゃんと
「でも同じマンションに住んでいるわよね?」
「それただのご
「なるほど……確かに。そう考えると学生寮が少しエッチな感じに思えてきたわ」
「お相手多数のBLと
などという会話を
同年代の男女でこんな会話ができるくらいこの1週間ちょっとで仲良くなったが、さすがに恋人には
なんだかんだで彼女が良い奴……いや、良いや、つ……?
一郎的に助けてもらったのは
彼女が告白した理由も、一郎の家が
性格も好きだと言ってくれたのは
でも、やっぱりちょっと引っかかるわけで。
これがもっと長い付き合いになれば引っ
やばい
それが彼女――物部幽子だ。
「もう、なかなか一郎くんはデレないなあ」
「これでも
「デレの
「
「私はそんなものねだらないわよ、
「そんなもんねだられてもプレゼントできねえよ!」
「え? プレゼント
「あ」
しまった。
ついポロッと口が
できればサプライズで
「なになに? 何をくれるの?」
「……大したもんじゃないぞ? 金持ちなのはあくまで実家で、俺自身はアルバイトで
そう言ってリボンで彩られた
中身はちょっと高級感
「へえ、おしゃれ~。角にある青い
「
「うん、そうさせてもらう♪」
……
何かを殴る気
恐ろしい女だ。
「ねえねえ、ところで一郎くんのやってるアルバイトって何なの?」
「教授たちの
教授の仕事は授業以外にも
自分の研究やフィールドワーク。
「ペットのお
「へえ」
「そういえばそれをやっている時――特に犬の世話をしている時なんだけど、気のせいかもだが一時的に体が今みたいに軽かったな」
「ああ、それは気のせいじゃないわよ。一時的にだけどあの悪霊が一郎くんから
「離れる? どうして?」
「犬って
プロの
「一郎くん、お世話する時、毎回初めに
「あ、したした!」
「じゃあ犬にはちゃんとあの霊が見えていたんだ。毎回ちゃんと追い払ってくれていたんだから感謝しないとね」
「そうだな。今度バイトを
「そうしてあげて。きっとその子も
「どうして?」
「さっきも言ったように、犬って魔除けの力があるの。私が
「そこで犬、か」
「そう。いわば
全然ブレないな、この女。
「どう? 結構いいアイディアだと思うんだけど」
「確かにいいアイデアだよ。ただ、ペット
「えぇ~? そうなの?」
そうなのだ。
一郎の実家はペット可の
残念ながらその案は
「オーナーの息子なんだし、そこは特別扱いでもいいんじゃない?」
「オーナーの息子だからこそ、他の
「もう、
残念そうに言う幽子を見て、その牧場となる現場は真下の部屋なのでやめてほしいと一郎は思った。
「と、ちょっと急ごっか。ゆっくり歩きすぎたみたい」
「本当だ。おしゃべりはここまでだ。走るぞ――って早いな!?」
話しかけた
陸上部が見たら
明らかに
そしてその予感は、すぐに当たることになる。
「一郎くん、飼おうよ。この犬」
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