第11話 これはイジメではない
「はら、ほら。ねえどうしたのほらぁ♪ ついさっきまでの
『ボ、ゴォッ! オゲェッ!』
――パァン! スパァン!
――バキッ! ドカッ!
「ねえどんな気持ち? ぶっ殺す気まんまんで『帰るな』とか言った相手に、こーんな一方的にやられちゃってどんな気持ちなのぉ? 私わかんにゃ~い♪ おちえて? お
『モ、モ……モウ、ユル、シテ……』
「え? 聞こえなーい? 人と話すときはもっと元気よくハキハキ答えましょう……ねっ!」
――バキャァァッ!
――ドゴンッ!
『ウ、ゲ……』
幽子の光った
文字通り、
その横たわった幽霊の肩(らしき部分)を、幽子は
何度も何度も。
――ゴキン! ゴキン! ゴキン! ゴキン! ゴキン! ベキン!
『アガッ……アガガガガ……ヤ、ヤメテェ……』
「ハキハキ
そう言って幽子が取り出したのは、長さ30センチくらいの
毛糸のセーターとかを
あんなもので耳掃除をされたら、脳みそまでほじくられる。
「この編み棒は
『オネ、ガイ、デス……ヤメ……ヤメテ、クダ、サイ……モウ、ユルシテ、クダ、サイ……』
声からして、どうやら泣いているようだ。
幽霊が泣くのって、こう……もっと
まるでイジメられっ子のように泣いている。
『モウ、デテイキ、マス……ダカラ、ユルシテ……』
「だって。どうする田中くん?」
――ドゴッ!
『ホゲェッ!』
「質問しながら
「あ、なんか脚が
「おい幽霊、あんた、何で俺に取り
『イイ、タマシイ、モッテイタカラ……』
「は? 魂?」
「魂には色があるの。性格も良い人ほど
『アナタノ、イロ、キレイデ……ウツクシカッタ。ダカラ、イッショニ、イタカッタ。ワタシノモノニ、シタカッタ……』
「私には見えないけど、こいつの言うように綺麗なんだろうね。田中くん
『ズット、イッショニイル、タメ……シンデ、ホシクテ……』
「それで俺に色々とやってたわけか」
冗談じゃない。
そんな一方的な
一郎はまだまだこの世に
「あんたなあ、そんな理由で取り憑かれた奴の気持ちを考えたことあるか? 助けを呼ぶこともできず、一人で何とかしようとしていた人間の気持ちを考えたことがあるか? 意思の
『ゴメンナサイ……ゴメンナサイ……』
「あんたがどういう
『ハイ……』
「わかったら出て行け。そして二度と戻ってくるな」
「あれ? 許しちゃうの? 1年も苦しめられた相手なのに? こいつの頭にコレ
「別に許すわけじゃない。これ以上関わりたくないだけだよ」
「まあ、田中くんがそう言うならいっか」
幽子が幽霊から足をどけた。
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