第64話 努力の成果
「リリアの対戦相手って、どんな人なんだろう?」
「ガイル・フォールズはリリアと同じ、典型的なアタッカータイプだよ」
「クリス君は彼のことを知っているんですか!?」
「あぁ。摸擬戦の時に彼の試合の審判を何度か担当した。だからあの子がどんな戦い方をするか熟知している」
たまたま彼の試合を担当したけど、Aクラスの中で5本の指に入ると言われている強さは伊達ではなかった。
暴力的に剣を振り、一方的に相手を蹂躙する。強者にしかできない戦い方をしていた。
「いつも通りの戦い方をするなら対戦相手に突っ込んでいくんだけど」
「今回はその場から動きませんね」
戦いが始まるとガイルは受けの姿勢のまま、その場から動かなかった。
この戦い方に俺は心当たりがある。この戦法はリリアが初めて摸擬戦で負けた時と酷似していた。
「リリアの対戦相手ですが、今までとは戦い方が違いますわ」
「あぁ。たぶんあの構えはリリア対策だな」
おおかたこの前の摸擬戦を見て、戦闘スタイルを変えたのだろう。
さすがAクラスに所属しているだけはある。ちゃんとリリアのことを研究して対策を練っている。
「ただ対策をしたところで、今のリリアを止められるかな?」
この前の対戦相手とは違い、今回の相手はこの戦闘スタイルを苦手としている。
リリア相手にそんな付け焼刃な戦いをすると、あとで痛い目を見るぞ。
「なっ!?」
「やっぱりか。相手はリリアの攻撃に面喰らっている」
リリアの攻撃は一太刀一太刀が速くて重い。
なのでそれを受けきるにはそれ相応の技術がいる。以前戦った相手とは違い、今回の相手はジャックのような対戦相手の攻撃を受け切るが技術ないように見えた。
「はぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!」
「こんなに攻撃が速くて重いなんて聞いてないぞ!?」
相手を押し込むリリアの剣の速度はどんどん上がっていく。
それこそ俺が見たことがないぐらいの速度で剣を振っていた。
「やっぱりリリアさんにあれを差し上げて正解でしたわ」
「ノエル、一体リリアに何をしたんだ?」
「それは秘密ですわ。でも、これで本来のリリアさんの姿が見れそうですね」
一体ノエルがリリアに渡したものとは何だろう。
もしそれが筋肉増力剤とかだったら、ドーピング違反になるので使わないでほしい。
「ただ相手も戦い方を変えてきたな」
「はい。どうやら持久戦に持ち込むようですね」
ガイルはリリアの攻め疲れを狙っているのだろう。
あれだけの早くて鋭い攻撃をしてればどこかで手が止まると思い、必死に攻撃を受けている。
「ガイルの考えは間違ってない。普通の新入生なら、このまま負けるだろう」
「えっ!? それならリリアさんが圧倒的に不利って事じゃないですか!?」
「俺が言ったのは普通の新入生の話だ。そんなやわな指導を俺はしていない」
この状況はリリアにとって好ましい展開だ。
持久戦に持ち込んだのはガイルにとって悪手である。
「どういうことですか?」
「それは試合を見てればわかる」
しばらく俺達はリリア達の試合を眺めている。
試合が動いたのはそれから10分後のことである。
リリアの対戦相手であるガイルの身に起こった。
「はぁ、はぁ、はぁ」
「リリアさんの攻撃を受けている相手は息切れを起こしてます!?」
「10分間も試合を続けていれば、普通はそうなるんだよ」
2分間動き続けるだけでも辛いのに、その5倍の時間戦っているんだ。
普通なら剣を持ちあげるのも困難なはずだ。それを考えるとガイルはよく戦っている。
「でもずっと攻め続けているリリアさんは息一つ切れてません!?」
「そりゃそうだろう。ここ数週間毎日素振りをしてれば、嫌でも体力がつくはずだ」
「あっ!?」
「それに毎日山道をランニングした後、素振りをしていただろう? この学校の中で疲れている時の戦い方を1番熟知しているのはリリア達だ。こんなとってつけたような戦い方をしている奴に負けるはずがない」
リリア達には疲れている時の戦い方を教えていたんだ。
たった10分間の戦いでへばるようなことはないだろう。
今のリリア達なら1時間以上ぶっ続けで戦っても、息が切れることはないと思う。
「クリス見て! いつの間にか相手がステージの端まで追い込まれてる!!」
「あそこまで追い込まれたら、もう挽回は出来ないだろう」
技量ではノエルやレイラに負けるが、1撃1撃の重さや剣のスピードはリリアの方が上だ。
それこそ学園の上級生全員と比べても、リリアの右に出るものはいないだろう。
そのぐらいリリアの剣の重さとスピードは突出している。
「何故だ!! 俺はちゃんとジャックの言った通りに戦っているのに!! 何で追い込まれているんだ!?」
ガイルが大声で叫んだ後、リリアの攻撃によって場外へと放り出される。
あの生徒は場外で尻餅をつき、呆然としている。彼は何が起こったかわからないみたいだ。
「そこまで!! 勝者、リリア・マーキュリー!!」
「ありがとうございました!」
審判であるロスタス先生が勝ち時を上げる。
こうしてリリアは強者との試合に勝利して、準決勝へと駒を進めた。
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