第27話 かつての仲間達
校外実習当日、俺は誰よりも早く起きて集合場所である練習場に来ていた。
だけどここにいるのは俺1人だけではない。この世界で俺がもっとも苦手とする人と一緒に行動していた。
「あぁもう! アレンがこの学校にいるから校外学習の救護役に手を上げたのに!! 何でクリスと一緒にいないといけないの!!」
「それはこっちのセリフだよ!! 学校に来てまで、何でフィーナの顔を見ないといけないんだ!!」
俺の隣にいるのは銀髪をなびかせる八頭身の美人な修道女、その名はフィーナ・アルファート。
俺とアレンの魔王討伐パーティーにいた紅一点。俺達が旅をしている時に出会った貴重な
「こっちだって別にクリスの顔が見たくてここにいるわけじゃないわよ!! 仕事だからしょうがなく一緒にいるだけなんだから、勘違いしないでよね!!」
「勘違いするわけないだろう。それにしてもフィーナは相変わらず口が悪いな。その減らず口、いつになったら治るんだ?」
「そのセリフ、そのままそっくり返すわよ!」
「いいのか? 今の姿をアレンが見たら絶句するぞ」
「ご生憎様。アレンはどんな私でも好きだと言ってくれるから問題ないわ」
今のセリフからもわかる通り、フィーナはアレンと付き合っている。
昔から仲がいいのは知ってたが、俺が知らぬ間に2人は付き合っていた。
「(アレン曰く魔王を倒した後、2人は正式に付き合い始めたんだよな)」
あの2人が付き合った過程を知っている俺はその話をアレンから聞いてげんなりしてしまった。
その話はアレンの都合のいいように話した嘘嘘かもしれないけど、俺は本当だと思ってる。
その証拠にげっそりとやせ細ったアレンがそのことを語ってたので間違いない。
アレンの激やせした姿を見て、俺は絶対にこうはなりたくないと思った。
「(でも2人が付き合い始めて1番面倒臭かったことは、フィーナが俺に対して惚気話をするようになったことだな)」
それこそ王宮にある応接室で教会との交渉中に何度惚気られたかわからない。
最初はその惚気話にうんざりしていたが、今ではその話の有効活用法を見つけたので体よく使わせてもらっている。
「(特に教会との交渉中、フィーナが激高した時には効果的だった)」
教会との交渉の最中にフィーナの怒りが爆発した時、この話題を出すと静かになるので頻繁に利用させてもらっていた。
だがこのカードを使うと仕事とは違う話で1時間程時間を使う。
なので教会の人達と話をする時は、通常よりも1~2時間程多く応接室を抑えていた。
「そういえばクリスってこの学校の教師をしてるんだよね?」
「そうだよ。それがどうしたんだ?」
「私が心配する事じゃないと思うけど、クリスはちゃんと先生をやれてるの? 騎士団長になった時のクリスを見てたからもの凄く不安なんだけど」
「心配しなくても大丈夫だよ。生徒達も俺にちゃんと着いてきてるから問題ない」
「そう。それならいいわ」
口では悪態をつきながら、フィーナも俺のことを心配しているんだな。
かれこれフィーナとは5年以上の付き合いがあるから、俺に対して仲間意識のようなものが芽生えているのだろう。
いつもは憎まれ口ばかり叩いてるけど、少しは可愛い所があるじゃないか。
「ちょっと何よ!! ニヤニヤニヤニヤ笑って!! 言いたいことがあるなら直接言えばいいじゃない!!」
「なんでもないよ。フィーナにも可愛い所があるんだなって思っただけだ」
「きゅ、急に何を言い出すのよ!?」
「俺は思ったことを言っただけだよ。アレンも今のフィーナを見たら俺と同じことを言うと思うよ」
それだけは鈍感な俺にだってわかる。
きっとアレンはフィーナのこういう所をみて好きになったんだろうな。
「そんな思わせぶりなことばかり言って。この光景を他の女の子が見てたらどうするつもりなのよ?」
「生憎俺のことを好きでいてくれる物好きな女性は‥‥‥」
「いた!? お兄ちゃんだ!!」
待機場所にいる俺とフィーナにむかぅて一直線に走ってくる人影がある。
その人影は俺の教え子であるリリアだ。いや、リリアだけじゃない。ノエルとレイラもいる。
フィーナがいる手前リリア達から逃げることが出来ず、何も抵抗できないまま俺は3人に取り囲まれてしまった。
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ここまでご覧いただきありがとうございます
続きは本日の19時頃投稿しますので、お待ちください!
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