第4話 レン視点、狂乱状態


レン・シュタント視点


きゃ〜、デートのお誘い、きちゃ〜!!!


ハンゲルからお出かけしようと誘われた私は済ました顔とは裏腹に大興奮していた。

その済まし顔すらちょっと崩れかけるくらい。


二人で会ってよかった〜

他の人が居たら絶対気づかれてた。

それにしても今から待ち遠しい。

明日、明日。

ってあれ?

全然時間がない。

めいいっぱいおしゃれしたいのに。


気づけば私は書類仕事を放りだして、衣装ダンスの中を漁っていた。


「これはどうかしら、ちょっと派手すぎる。」


最初に手に取ったのはゴテゴテしたドレス。

社交パーティー用の一着だが、さすがにフォーマルすぎる。


「こっちの方がいい感じかも。」


次に目についたのはシンプルなワンピース。

ハンドメイドの一点もので好みのデザインのものだ。


「これは、、、」


物凄くメルヘンチックなスカートだった。

組み合わせ次第では着れなくはない、、、が、あまりにも子供っぽすぎる。

こんなのを着ていけばハンゲルに舐められてしまう。

それは絶対に嫌だ。

これはだめか、と私はタンスの奥にしまう。


その後もウンウン唸って悩んでを繰り返していたのだが、結局ワンピースに落ち着いた。

革製の上質なバックは今は亡き祖父のものを借りた。


明日は朝早起きしてメイクと準備と心構えをしなきゃ。


次の日はすぐにやってきた。

準備が整う前にハンゲルが来てしまうか心配したけど、私がちょうど用意が済んだところでハンゲルが来た。


「レン、きれいだよ。」

「ひぇっ、、、」

「どうした?」


心臓に悪い。

いつものハンゲルはそんなこと言わないのに、今日はなにか違う。


「いや、よく似合ってるっていうべきだったかな。」

「あ、ありがとう、、、」


その口調はかしこまっていたが、それはハンゲルなりに照れ隠しをしてるのだと思った。


「行きましょうかね、お嬢様。」


彼の手が差し出される。

エスコートされるのはいつもなら気に食わないだろうけど、今日くらいは私もいいかと思えた。




*あとがき

ハンゲルは鈍感主人公です。

ちょうどいいタイミングで現れるなんてことは本来ありえないんですが。

まあなんか覗き魔の共犯者が居たみたいですね。


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