第3話、日本神話参

 こんにちは。


 今回も日本神話についてになる。参話目は素戔嗚尊とヤマタノオロチの話にしたいと思う。天の岩戸の一件以降、天上である高天原たかまのはらから、素戔嗚尊は追放された。地上に降りた彼は当て所なく、彷徨う。しばらくして、とある山の中に分け入る。

 そこで嘆き悲しんでいる夫妻に出会った。夫妻は両方共に初老と言った感じに見える。

 素戔嗚尊はさすがに気になり、夫妻に声を掛けた。


「……あの、私は旅の者だが。そのように泣いて、いかがなされた?」


「ああ、旅のお方。我らはこの山の神にございますが」


「はあ」


「実は近頃、首を八本持つ大蛇がこちらの近くに潜んでいまして。そやつが我らの八人いた娘を生贄に欲しがったのです」


「それは真に酷い話だ、だから。先程から泣いておられたんだな」


 山の神夫妻はこうも言った。


「大蛇は毎年、一人ずつ娘を食らっていきました。そうする内にとうとう、最後の一人になってしまいまして」


「ふむ、ますます憐れな。なら、私がその大蛇とやらを退治してみようか」


「え、かの大蛇は恐ろしくて。なかなかに、強い異形でございますよ?」


「うむ、だから。貴方方にも協力を願いたい。そうだな、たくさんの強い酒を用意してはくださらぬか?」


 夫妻は驚きを隠せない。それでも、言われた通りに大量の酒や必要な物を用意してくれたのだった。


 素戔嗚尊は早速、準備が出来たので退治に出向く。その際に、生贄になる予定だった娘を髪に挿す櫛の姿に変える。自身の髪に挿して大蛇もとい、ヤマタノオロチの元へ歩き始めた。


 実際に面と向かって顔を合わせたヤマタノオロチは巨大で凶暴な異形だった。が、素戔嗚尊はまともに相手はしない。まず、上手く誘導して山の神夫妻が用意してくれた強い酒を飲ませる。オロチは次第に酩酊していく。しまいには完全に酔ってしまう。

 オロチが良い気持ちになり、眠りこけた隙を狙う。素戔嗚尊は自身が持っていた十拳剣とつかのつるぎで一本ずつ、首を切り落とした。

 完全にオロチが絶命したと分かると尾も斬った。すると、オロチが持っていたらしい一振りの剣が出てくる。

 これを素戔嗚尊は後に、姉の天照大御神に献上した。この剣が天叢雲剣あめのむらくものつるぎである。

 無事に、素戔嗚尊はオロチ退治を終わらせた。こうして、櫛に姿を変えさせた娘を元に戻した。彼はこの娘こと櫛名田比売くしなだひめと結婚して、仲睦まじく過ごす。

 二柱の娘が須勢理姫である。後に、子孫に当たる大国主神と結婚して縁結びの神として有名だ。

 ちなみに、この二柱にもまつわる神話は幾つかあるが。それはまた、次回にしたい。

 

 では失礼する。

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