第6話 決着
遠くから何回も聞いた嫌な音が聞こえる。
「ブランさん、近くに居ます。警戒を怠らないようにしてください」短剣を両手に構えながら、臨戦態勢をとるアクセルに見て、私も魔力を集める。
ドクン、ドクン。耳にこびりついて離れない、忌々しい音が大きくなっていく。ドク、ドク、ドク、ドク。音の幅がどんどん狭くなっていく。もうすぐそこまで来ている。
「ブランさん!補足しました!攻撃を!」アクセルが道を曲がった瞬間に、攻撃の合図が来た。アクセルはもう私の後ろまで来ている。
「了解!ブリザード・ブレイク!!」今まで溜めていた魔力を開放させて、ドラゴン型の心臓に撃ち込む。致命打にはいかないが、足を凍らせることが出来た。
「ナイスです!そのまま支援を!炎纏餓狼!!」アクセルはスキルを使って、心臓の懐に飛び込んだ。
目にも止まらぬ七連撃。炎を纏いし短剣は、確実に心臓にダメージを与えていた。しかし、決定打にはならない。私もでかいのを撃たなくちゃ!
「アクセル!避けて!アイス・メテオ!!」氷の塊が音速を超えてドラゴンに放たれる。私の魔法はドラゴンの前足から入り、肩を通り抜けて壁にまで穴を空けた。
「このまま攻撃を!,,,」アクセルが何かを言おうとしたが、言葉が止まった。ドラゴンから攻撃を受けたのだ。血のようなものが圧縮された槍で貫かれたのだ。
「アクセル!?」ブレイクも見つかっていないのに、この状況はまずい。ひとまずはアクセルを回収して、回復しないと。
「アクセラレーション!!」体が羽が生えたかのように軽くなる。地面に突っ伏したアクセルをスライディングしながら、抱え込む。重たい。
「ヒール!アクセル大丈夫!?」回復を終えたアクセルを、安全地帯まで投げる。重たいから風魔法を纏わせて。
「がはっ、ごほっ!大丈夫です!助かりました!」彼はそういうとまた、こちらに向かって走り出した。私の上に影が出来る。やばい、ドラゴンに踏みつぶされる。
死。
ドン!衝撃が走る。視界の端にはアクセルが見える。私を飛ばしてくれたんだ。
「ありがとうアクセル!ギフト・パワー!」感謝と共に、覚えたてのバフを掛ける。どこまでの効果があるか分からないけど、オリジナルよりはいい筈。
バフのおかげか、覚悟なのか、アクセルの動きは一層激しさを増した。氾濫した川の流れの様に、攻撃が止まることは無い。滑るようにドラゴンの背中を抉っている。
彼がここまでやる気なら、私も本気を出すかしら。覚えたてだけど上手くいきますように。そう願いながら、詠唱を始める。
「別れを残して生まれた命よ。世界に還る時が来た!悲しむことは無い!ただ、次の道へと歩みを進めるだけだ!旅路を見いだせ!!アポカリア・ブレイク!!」詠唱が終わると共に、トランペットの音が不気味に響き始める。
次第に音が、演奏が激しくなる。まるで、極限まで圧縮されたオーケストラの様に。辺りが魔法陣で覆われていく。
「アクセル!!離脱して!」私の言葉を聞いた彼はすぐに私の近くまでは駆けてきた。
「なんですかあの魔法陣は!?」アクセルは私が展開した魔方陣に理解が追い付いていないらしい。
「私が習得した禁断の魔法よ。もう終わるわ」魔方陣の中が神々しい光に包まれたかと思えば、全てを喰らうような漆黒に変わる。そして、地獄の炎のような赤。大海が来たと思わせるような青。色が変化をしていく。あいつの終わりも近い。
演奏の余韻のような音を後に、ボロボロになった、心臓が姿を見せた。
「まだまだ未熟なのね」死んでいないドラゴンを見て、ため息を吐く。
「それでも、あと一歩のところまで来ています」アクセルの言うように、鼓動の音が小さくなっている。
「あともう一発打ち込んでやるわ」杖を構えて詠唱を始めようとする。しかし。アクセルの言葉によって阻まれた。
「ブ、ブレイクさんが、中に居ます,,,ドラゴンの背中のあたりに,,,」指を差す彼の顔を真っ青になっている。
目線の先にあったのはおおよそブレイクではない、何かだった。隻腕で顔の半分が無く目は虚ろ。下半身は埋まっていた。
「私の魔法でああなったの,,,?」取り返しのつかないことをした。今の私の力ではどうすることもできない。攻撃することも、治してあげることも。
絶望の渦の中にいた私を、引き上げてくれたのは、やっぱり彼だった。
「オ,,,,マエタチ,,,来てくれた,,,んだな。パーティー,,,はカイ散だ,,,」ボロボロになった彼は、死に際でも私たちのこと思った言葉を発していた。
「ブレイクさん!!そんなこと言わないでください!!今行きますから!!」アクセルは何か希望を見出しているのかわからない。ただ、救いたいという思いだけで疾走していた。
そんな彼らを私はただ、黙ってみていることしかできなかった。そんな自分が死ぬほどに悔しい。
「
「ブレイクだけを残して喰らい尽くせ!!」彼の咆哮と共に、狼が疾駆する。白い軌跡を残して、ドラゴンを喰らい、消えた。その場に残ったのは、上半身と、顔半分のブレイクだけが残っていた。
「ブランさん!治してください!早く!!」泣きながら叫ぶ彼に対して黙ることしかできなかった。私には力が足りないから。
「だから、その力は早いって言ったでしょ?」聞き覚えのある声が聞こえる。私だ。だけど、全てがぼんやりしていて、輪郭すら掴めない。
「あんた、また説教を垂れに来たわけ!?もう帰ってよ!うんざりなのよこの世も、私も!!」行き場のない感情を、私自身にぶつける。意味が無いということを知って。
「私の存在が安定しなくなったから、見に来ただけよ。これは貸し二ね」私が私に手を向ける。暖かい光が私を包み込む。力が行き場を探す様に、暴れ始める。抑えきれない力に意識を手放しそうになる。
「じゃあね」私はそれだけ言うと、霧の様に消えてしまった。
「ブランさん!さっきの人は?ってそれよりも治療を!!」アクセルの言葉で意識が戻り始める。
「ちょっと待って!今やるから!」覚えたてで心配だが、やるしかない。禁断の魔法を。
「世界の摂理に反することを、魔導の名のもとに許してほしい!冥府の神よ!生命の神よ!今ここに、想い人を戻すことを受け入れろ!」この魔法は生命に対して研究を行った愚者が編み出したものだ。成功したことは無いらしい。なら、これが成功例の一つ目だ。
詠唱が終わると、ブレイクの体が戻り始める。それは、治療というより、時間が巻き戻っているようだった。
「ここは、お前たちは,,,」目を覚ましたブレイクが辺りを見渡す。そして、剣を向けてきた。
「お前らは敵,,,だな?」様子がおかしい。いつもおかしいが今回は本当に違う別人のようだ。
「どうやら、二回戦の様ですね」疲弊しきったアクセルが逆手で短剣を構える。
「冗談きついわよ」立っているのが限界だが、私も杖を構え魔力を集める。
「容赦はしない」いきなり間合いを詰めて、大剣を振り下ろしてきた。寸前で避けることが出来たが、それは向こうが無意識のうちに手加減をしているからだ。
これが無くなったら、正真正銘の全滅だ。こんなところで、終わりにしない。全力で抗ってやる!
「その調子じゃないと、私が無くなるから頑張ってね」どこからかそんな声が響いた。そして、本当の戦闘が始まった。
どこから攻撃をしようか。致命傷を負わせてしまうのはダメ。後遺症が残るような攻撃も駄目。何か対応策は,,,
「ブレイクさん!気を確かにしてください!」アクセルは攻撃を寄せつつ、声をかけている。だが、呼びかけは虚しく、攻撃が帰ってくるだけだった。
「アクセル!魔法で足止めをするわ!あなたは見に徹して!」アクセルに伝えて、ブレイクの足の周りを泥沼にする。
ズブズブ。ブレイクが脱出しようともがくたびに、深く嵌っていく。膝辺りまで埋まったところで、完全に石化させる。初級の魔法も案外使えるわね。
「完全に動きを止めたけど、何かわかるかしら?」ひたすらに観察をしていたアクセルに聞く。
「仮説になってしまいますが、恐らく、寄生されています。この山龍を動かしていた奴に。ですが今も山龍は活動を続けています」アクセルは周りを見ながら教えてくれた。
確かにそうだ。心臓はすべて潰した。なのに動いている。考えてみればおかしな話だ。
「なら、ブレイクに巣食っている寄生虫を殺せばいいわけね」杖を向けて、浄化魔法をかける。たいていの寄生虫はこれで死ぬ。
「ぐああああぁぁぁぁ!!」ブレイクが絶叫する。鼓膜が破れそうなくらいにでかい。
「効いていないみたいです,,,って沼から出てきています!」アクセルが教えてくれていなかったら、私は死んでいた。反射でバックステップを取ったのが功を奏した。一秒前、私がいたところには、大剣が突き刺さっていた。
「どうやら、僕たちが知っているブレイクさんではないみたいですね。どうにか無力化しましょう。それが、彼にも僕らにも一番いい選択ですから」悲しそうな顔をして、アクセルが私に、全力で戦うことを指示した。
「そうね,,,ごめんねブレイク。私が馬鹿だから」一滴の雫が地面に落ちたと同時に、死闘が再開した。
「があああぁぁ!!」雄叫びを上げながら、突進をしてきた。本当に、私たちが知っているブレイクではない。
「ブラスト!」魔法で横から衝撃波をぶつける。ブレイクの進行方向がずれて、壁に激突した。
血と肉の霧の中から出てきたのは、全てが赤く染まったブレイクだった。眼も、皮膚もすべてが赤い。完全に寄生されている。
「アクセル、時間を稼げる?超級魔法で、凍てつかせるから」体力がないアクセルに、聞く。我ながら非常な奴だと思う。でも、これが一番いい選択肢だ。
「何とかやってみます」短剣を握り直して、ブレイクのほうを向く。
「ぎゃあおおお!!」涎をまき散らしながら、また、突進をしてくる。今度は魔法対策で体験を振りながら。
「ふん!」アクセルは二刀を巧みに操り、攻撃をいなし続けている。それがどこまで持つか分からない。私も急いで詠唱をしないと。
「すべての自然を脅かすほどの冷気よ、春を閉じ込めるほどの寒さよ、敵対するものを冥府の彼方まで流し込め!!コキュートス!」
詠唱が終わると、魔方陣が展開しきった。門が開くように、立体魔方陣の中心から、凍てつく冷気が押し寄せてくる。
バキバキ!!凍ったのは私とアクセル以外のものすべて。おおよそ、三百メートルくらいが凍っている。
「これが超級ですか」恐れるようにアクセルが凍ったブレイクを見ながら呟いた。
「コストは,,,最悪よ。あとは任せたわ」私は地面にバタッと倒れ込んだ。最善の選択をしたはずなのだが、何かが引っかかったような感じだ。
「分かりました。凍ったおかげで、寄生虫も死んだようですね。ブレイクさんは恐らく仮死状態でしょう。山龍はもうじき活動を停止するはずです」淡々と状況を説明しながら、アクセルは脱出の準備をしている。
天井を見上げる。動いてた肉の壁が徐々に鈍くなってきている。
「ブランさん失礼しますね」彼はそういうと私のことを持ち上げた。
「転送石が無いのでスキルで走ります」疲れた様子を見せることなく彼は走り出した。二人を担いで。彼はどのくらい私たちのことを信頼してくれているのだろうか。視界が大きく揺れる中、そんなことを思う。
「そろそろ外に出れますよ」笑いながら走っているが、息は切れていて、とてもつらそうに見える。私は、魔法で負担を軽くすることしかできない。
無力感を感じていると明るい光が、私たちを出迎えてくれる。外に出れたのだ。
「やっと、出れましたね。山龍も崩壊を始めているみたいです」ボロボロになっていく山龍を見ながら、彼は達成感にあふれた顔で言った。
「ここからは自分で歩くわ。ありがとね」お礼を言って、アクセルの肩から降りる。地面の感覚が久しぶりに感じる。
「おい!山龍様に何が起こったのか見に来たら、変な人間がいるぞ!!」やばい。グレイ・スカイの住民だ。こいつらは何故だか、モンスターを進行しているやばい人間だ。
「アクセル、逃げるわよ」私が耳打ちをして、辺りを魔法で凍らせていく。範囲も威力も小さいが、足止めくらいにはなるだろう。
その間にアクセルはブレイクを担いで、隣の国の国境のほうに走っていた。私も追い付かないと。
「アクセラレーション」加速をして、囲まれるのを回避する。
「止まれお前ら!!殺すぞ!!」後ろからは物騒な言葉が飛んでくる。気になって、後ろを見ると、血眼になって追ってきている、住民たちがいた。数は三十人くらいだ。
こいつら本当に異常だわ。たかがモンスターになんでそこまでの敬意を抱くのかしら。そんなことを思いながら、暗い森の奥地へと足を進めていくのだった。
~ブレイク視点~
なんだか、見覚えのある空間に来たな。また俺は瀕死の状態ってわけかい。
「作者さんよ、今アクセルとブランはどうなっているんだ?」何もない空間で、上を見て声を上げる。
「やあやあ、こんにちは」爽やかな声共に現れたのは、どこか見覚えのあるような顔をしていた。だが、不思議なことに誰なのかを思い出すことはできない。
「お前は一体誰なんだ?」突然目の前に現れた、人物に問いかける。
「僕は,,,そうだな、調停者と名乗っておこうか」目の前に居る人物は少し考えて、そう名乗った。
「調停者ってお前は神かなんかかよ。俺はお前より作者に用があるんだ」こんな奴は放っておいて、作者に現状を聞かないと。
「必死になっているところ悪いんだけど、作者は『今は』いないよ」調停者は驚きのことを言った。作者がいない。なら、誰がこの物語を書いているんだ,,,って俺達か。
「そういうことを言うから、作者が困っているんだよ」調停者は呆れたように俺に言う。
「どういうことなんだ。一から説明してくれ」調停者に言うと「いいよ」と承諾してくれた。
「まず、第一に設定から離れすぎているんだ。そのせいであらゆるifが生まれてしまっているんだ。作者は今その対処に追われているんだ。此処の軸は比較的安定しているから、こうやって会話出来ているけど、別の軸だったらそうはいかない」調停者は淡々と説明を始めていく。
正直長いな。ここからは俺が要約して,,,
「そういうことをしないでくれ。また増えてしまう可能性がある」カットしようとしたら、遮られてしまった。勝手な行動は控えるか。
「でも、ifはifのままにしておけばいいじゃないか」俺が調停者に言う。
「今みたいなが起きてしまうから、そうはいかないんだよ」調停者は俺の世界を空間を歪めて見せてくれた。
「俺凍ってるじゃないか!?どういうことだよ!?」胸倉を掴もうとしたが、霧の様にすり抜けてしまった。
「見せたいのはこれよりも前の出来事だよ。ほら、ブランが二人いるだろう」調停者に言われて、目線を戻す。本当だ二人いる。何をしているんだ?
「彼女は君を助けるために禁断の魔法に手を出した。そしてそこでいろんな世界が生まれたんだ。成功した世界。失敗した世界。暴走した世界,,,とまあ、こんな感じでたくさんね」パチンと指を鳴らすと空間が閉じてしまった
「これを見せて何が言いたいんだ?」調停者に問いかける。別に何の支障もないじゃないか。
「あの軸の彼女はまだ優しいけど、別の軸だとどうなっているか分からない。いきなり殺されてしまうかもw」笑いながら、教えてくるこいつに苛立ちを覚える。
「頭がこんがりそうだ。簡潔に教えてくれ」調停者に頼む。
「要は自由にしすぎて、軸がたくさんある。その中で敵意を持った自分たちが攻撃をしてくるかもってこと。あと矛盾が良く生まれてしまうからな。気を付けろよ」語気を強めて、教えてくれた。本当に釘が刺さった気分だ。
「了解。これからも自由に動いて生きていくよ」この話を聞いても、俺は生き方を変えない。『自由』というもの背負って生まれたから。
「はぁ。なんとなく想像はついていたけど、ここまでの馬鹿だったとは」調停者はため息を吐いた。
「すまんな。ある奴に言われたんだ。お前はお前でいろってな」笑いながら、胸を叩く。
「誰だかわかるよ。これから僕は不安定な世界の処理を手伝ってくるよ」向こうも誰だかわかった様子で手を振って消えていった。
最後に「君たちは、君はどうか残っていてくれ」という言葉を残して。って言うか、俺蘇生される前このまま?まじか。,,,そうだな、昔話でもしてやるか。お前たちのために。
さっきも言ったが俺は自由を背負って生まれてきた。この世界では皆が宿命や運命を持って生まれてくるんだ。爺さんたちなら、冒険と、武器。両親なら、慈愛と和解を持って生まれてきている。
これらは本能のようなもので、はっきりと分かるのは長い年月が経ったときだ。厄介なのが自分の意思ではなかなか制御できないんだ。今の俺みたいにな。
哲学的な話になるんだが、お前たちは何を目標に生きているんだ?富のためか?名声のためか?誰かに必要とされたいからか?
こう聞かれたときに、困惑するんじゃないか。あれ?ってな。この世界の住民からしたら羨ましいものだぜ?それって。自由に決められるんだからな。
俺も同じなんだが、制御が効かないからな。その点、自由に選択できるお前たちが羨ましいんだ。話が逸れかけたな、何でもかんでもべらべら言ってしまうからなこの口は。
ま、そんな宿命を持って生まれてきた俺だ。いろんな迷惑をかけてきたさ。勝手に外を出たり、火の中に入ったり、モンスターに喧嘩を売ったり。
一見無謀に見える行為も、俺からしたらただ、自由を求めているだけなんだ。多分この宿命はどの世界の俺も持っているんじゃないかな。
分からないけど。別のを持っている可能性もあるし。ブランみたいに。アイツは希望という運命を持っていたんだが、今は禁断のほうに変わっているらしい。
対極なものを持つなんて皮肉なものだよな。でも俺はまだアイツのことを信じたい。俺の、皆の、世界の希望として生きるということを。
おっと、また逸れそうだな。戻すぞ。この宿命に気づいたのはいつだったかな。ああ、思い出した。空を羽ばたく鳥たちを見た時だ。俺もあんな風に飛んでみたい。大空を翔けてみたい。そう思った時だ。
その瞬間から、心の奥底、人間が、生きているものが生きている間は感じれないほどの深いところから、じわじわと熱いものが込み上げてくる感覚があった。
そして、さらに自由をいうものを求めるようになった。その時に気づいたんだ。ここからは、誰も手を付けられないほどの、奔放さで町中に名前を轟かせていた。今は違うぞ。仲間がいるからな。こいつらがいる限りは無謀なことはしない。
あれ、でもこいつらのために無謀なことをしたよな,,,まぁいいか。救うためだったからな。結局は俺が助けられたんだが。強くならなくちゃな。
意識を失う前に言ったパーティーの解散は実現させよう。皆のためにも。それに、この宿命も逃げ道を探している。体が引き裂かれたような痛みが時折走っている。
今話しているこの時にもだ。これをどうにかしないと、まともな旅は出来ないだろうな。
自由を求めて、自由に縛られる、か。滑稽だな。俺の好きなじいちゃんの話に似ているな。
自由を掲げて戦った英雄は地位に縛り付けられて、自らの命を絶つという話。戦闘の話は聞いているこちらも手に汗握るもので、感動する場面では、息を呑んで聞き入れて、最後は命と運命の儚さに涙を流していたな。
この空間に居ると、死んだ人間のことを思い出してしまうな。早く目を覚ましたいなそんなことを思いながら、俺は眠りについた。
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