第10話 愛の記憶
――――――数日後、千紗の家。
誰にも見せられない顔を千紗に見せていた。
千紗の後ろから抱き着いてずっと無言で項垂れていた。
その間、千紗は何も言わなかった。
「千紗…」
「無理しなくていいよ。あたしでいいならいつでも来ればいいよ。」
「うん…ぐちゃぐちゃ…」
「何か起こす前によくあたしのとこ来たね。それだけでも成長じゃん。」
「成長なんかしてない。だって俺今すぐでも叫びたい。」
「なんて叫びたいの」
「『千紗ー!』って。」
「いるけど。」
「いてもいいの。」
僕は僕の方に千紗を向かせてキスした。
「最近、父親の気持ちが凄くわかる。」
「そうだね。考え方は似てたかな。」
「千紗は今でも好き?」
「んー…いい思い出かな。」
「言っていい?」
「ん?」
僕はもう一度千紗にキスした。
そのまま…舌を絡ませて耳に…首筋に…。
さらに片手で反対の耳を指先で撫でた。
千紗はこれに弱い…。
僕はそのまま耳元で言った。
「千紗が死ぬほど好き。本当に好き。」
彼女はそれだけで体を震わせた。
だから意地悪に聞いた。
「親父?千紗にこれ教えたの。」
「千紗は答えなかった。」
―――僕は無言でその場を後にした。
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