第7話 時を超えて

数日後、母に連れられ、千紗の家へ。


行き先を告げられておらず、着いた時に僕は拒否した。


けど母は「今日は2人で来たの。あんた1人じゃない。だから大丈夫。」と僕の手を握った。


でも僕は、玄関で動けずにいた。


千紗が母に、「お姉ちゃん先上がって」と中に通した。


僕は動けない。体が強ばっていた、

数年ぶりに見る千紗はまた綺麗になっていて僕はそこで同じ人に2回目の恋をした。


でもやっぱり動けなくてドアから飛び出そうとしてドアの方に振り返ろうとすると、


「ダメだよ。」とだけ千紗に言われた。

「……。」

「入るかそこにいるかはあんたが決めな。」


数年前の千紗と話し方は変わってなかった。


「…は、は、は、は、入りたく…ない。」

と言うと、

リビングに繋がる戸を閉めて、僕の目の前まで来て、


「ここなら座れる?」と玄関に座るように促した。


僕がゆっくり座ると、千紗はその傍に座った。



「あのさ、一応言っとく。あの時の男とはあの日のうち別れた。あんたのせいじゃない。あんたを失うくらいならあたしは男なんて要らないって思った。今も変わらない。それにあの時だって母さんに色々言われて腹が立ってた。…でもね、実際あんたは父親そっくりなんだよ。あたしが本当に好きで好きで一生かけていいって思えた相手。でも、なんでだろうね。あたしと別れたあと、紗里に行って、すぐに母さんに行った。あたしでもお姉ちゃんでもなくて母さんに子供が出来た。もう、意味わかんないでしょ?…でもねあたし、あんたの父親の事は恨んでない。だってある意味だよ?こんなに大切な子を残してくれたからさ。」


「…俺の父親ってどこ行ったの?」

「亡くなった。夜にお酒飲んで酔っ払ってベランダに居たんだけど気付いたら落ちてた。…あたし、あいつが死んだ日その直前までやってたの。それにあいつあたしに手紙残しててさ。『お前を愛してる。もし、できることならお前との間に子供が欲しかった』って。これ、誰にも言ってないからね。あんたは子供のように見えるけど多分もう理解できると思うから話した。」


「…ありがとう。教えてくれて。」


千紗を抱きしめた。

やっぱり無意識で頭の後ろを撫でていた。


「カツシそのまま…匂いまで似てるんだけど。」

「ごめんね。僕は僕だよ。お父さんになれなくてごめん。」

「そりゃそうだよ。わかってる。」

「でも僕、、ずっとずっと千紗が好きだった。今もずっと。」



僕は千紗にキスした。


「僕は千紗が大好きだ。」


そう囁いてもう一度キスした。



僕はまた無意識で右手で髪をかけて、首にキスしようとしてた。すると、ドアが開いた。


…と思ったらまたドアが閉まった。


「千紗…」

「おあずけね…」




――――――――――――数日後。


「千紗…」

「…どこで覚えたの?」

「何も知らない。ただ、千紗としたい。」



――――――――――――。


「出来たらどうする?」

「あたしは産むよ。」

「俺も育てる。」

「そこは任せるかな」


―――――――――。


「アイツよりでかいかも…」

「ずっと千紗に使いたくて」

「…言ってることまで同じ。」


―――――――――。

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