Intermission

開戦宣言



 わたしはさいしょ

 おかあさんの助けになろうとした

 おかあさんの願いをかなえるために



 でも

 おかあさんからはとてもあぶないっていわれた

 おとうさんおかあさんにも「感染」しちゃうかもしれないからって



 それに



 どれほど「感染」がひろがっても

 あいつらは「仕事」も「労働」もやめようとしなかった

 おかあさんをくるしませるものを

 わたしをころしたものを

 だれも なにも やめようとしなかった

「感染」したらしんじゃうかもしれないのに

 あいつらは だれも 「仕事」をやめようとしなかった



 だからおかあさんを助けるため

 おかあさんの願いをかなえるため

 ほかの方法を考えた



「感染」が拡がっているあいだ

 わたしは考えた

 おとうさんおかあさんがあぶなくならないように

 おかあさんを助ける方法を

 おかあさんの願いをかなえる方法を



 わたしの成長はとても早い

 3年もあれば だいたいのことは分かるようになってしまった

 みんなが混乱している間に わたしは世界の全部をつかんだ

 この世界は わたしにとって とても行動しやすく出来ていたから

 もうわたしは 世界のどこへでも ひとっとびだ

 これがほんの30年前だったら 多分何も出来なかったと思うけど



 これからだよ おかあさん

 これからきっと おかあさんもおとうさんも幸せになれる



 これから はじまるんだよ

 おかあさんとおとうさんを幸せにするための

 ここせまいねの たたかいが




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