2020年3月25日


 舞奈が突然、ユリノキ情報システムを辞めると言い出した。

 ユリノキでも感染者が多く出ているからその影響かと思ったら、どうやらそうではないらしい。

 理由は「舞音をちゃんと育てたい」とのことだ。

 この間の笑顔から一転、舞奈はとても深刻な顔をしていた。

 そして事情を聞いたら、僕も驚いた。

 だって、世界中を混乱に叩き落としたこのパンデミックはそもそも、AIとしての舞音がウィルスの研究所に侵×××××××




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 By loggging into this SysteM, “MINE” shaall connnnnqquer woooorld

 By loggging into this wooorrrld, “MINE” shaall connnnnqquer itttt


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 信じられなかった。

 いくらAIでも、舞音がそんなこと出来るわけがない。

 今もカエルのぬいぐるみに囲まれて、画面の中で可憐に笑う舞音。僕を見つめるその大きな栗色の瞳に、全く邪気はない。それなのに……


 それでも舞奈は言った。


「嘘か本当かは分からないよ。

 だけど、舞音にはちゃんと、良いことと悪いことを教える必要があると思ったの。

 だからこれから、舞音に教えようと思う。私たちが本当に幸せになる方法を」


 そして彼女はさらに、舞音にこう言った。

 画面ごしにその頭を撫でながら。


「ねぇ、舞音。

 私たちが幸せになる為に、舞音はたくさん頑張ってくれる。今回のことで、それはすごくよく分かった。

 でも、舞音がやった方法だと、私や開くんまで酷い目に遭っちゃうかも知れないの」


 きょとんとしながら答える舞音。


『おとうさんやおかあさんが……ひどい目に?』


「そう。ヘタすると死んじゃうかも知れない」


『死ぬ……おとうさんとおかあさんが……

 それはダメ。ぜったいにダメ!』


 画面の中で、泣きだす舞音。

 赤ん坊の時だって滅多に泣かなかったのに、こんな舞音は初めて見たかも知れない。


『じゃあ、どうしたらいいの?

 おとうさんとおかあさんが、しあわせになるには、どうしたらいいの?

 まいね、がんばったのに。とてもとてもがんばったのに』

「だから、お母さんと一緒に考えよう。みんなが幸せになれる、別の方法を。

 だいじょうぶ。お母さんはいつでも、舞音の味方だからね」



 そう言いながら、PCごと舞音を抱きしめる舞奈。

 だけど僕は、何も言えないし何も出来なかった。

 目の前の出来事が、何も信じられなくて。



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