PHASE4 心瀬開の日記~「舞音」成長~

2019年12月30日


 このところ仕事が随分忙しく、あまり舞奈たちに構ってやれなかった。

 この日記も、かなり長いことご無沙汰してしまった。


 仕方がないとはいえ夜勤がとても多くて、舞奈にもかなり寂しい思いをさせてしまったと思う。この前のクリスマスも、ケーキを買ってきたぐらいでほぼ何も出来なかったし。

 舞音にとっては初めてのクリスマスだったのに、本当に申し訳ない。


 実際、舞奈からは何度も責められた。


「どうして、そこまでして働く必要があるの!?

 今週も先週もその前もずっと夜勤じゃない! しかも土曜の深夜にまで呼び出しが何回もあるし! 朝4時に起きて出勤だって何度もあるし! 何時間連続で労働してると思ってるの!?

 こんなに無茶したら、開くんが死んじゃうよ!!」と。


 舞奈の意見はもっともだと思う。

 ましてや、ザクシャルであんな目に遭った彼女だ。会社や仕事というものに対して不信感を抱くのは当然だろう。


 だけど、仕方ない。僕の仕事はそういう業種なんだし。

 それに僕が仕事をやめたら、僕も舞奈も、勿論舞音も生きていけない……

 舞奈も仕事はしてるし、舞音を育てる為の支援金はコノハナ研究所からそこそこの額が出ているが、やっぱりそれだけじゃ足りないんだ。


 でも、年末年始はさすがに休める。

 そして例年通り、僕の実家と舞奈の実家に挨拶に行く。

 お互いの両親に、舞音のことをどう説明するか迷ったが――

 舞奈は、きっちり説明した方がいいと主張した。何故なら、れっきとした自分たちの子供なのだからと。


 確かに、後から「何故黙っていた」と責められるよりはいいだろう。

 しかし、どこまで理解してもらえるかはすごく疑問だ。特に僕の父はかなり頭が固い。

 だから「舞奈の辛さを紛らわせる為、舞奈と僕が協力して作ったAI」と説明することにした。舞奈は大分渋ったけど、何とか納得してもらった。


 正月はちょっと気が重いけど……それでも、久しぶりに舞奈と一緒にドライブだ。

 今度は、「舞音」も一緒に。




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