2019年7月20日
今月始めから、舞奈はユリノキでの勤務を開始した。
ザクシャルとは違い、特に問題もなくちゃんと仕事を教えてくれるし、舞奈も大きなミスをすることなくきちんと業務をこなしているようだ。それが当たり前なんだけど。
週3の派遣では収入面は大して期待はできない。せいぜい自分のスマホ代とか生命保険料など、舞奈自身に関する毎月の支払を賄える程度だろう。だがそれでも、環境面は正社員の時よりは雲泥の差だ。
舞奈は言っていた。人間って、本来はこういう勤務形態がちょうどいいんじゃないかと。
自宅の近くでのんびりと、働きたい時に短時間だけ働いて、それで生活できるだけの収入が得られれば最高なんじゃないかと。
正社員になって、満員電車に乗って一日をほぼ仕事で潰し、仕事に人生を捧げなければ生きていけないような今の社会がおかしいのだと。
それは確かに、僕自身もそう思うことはある。
僕だって何度も会社で叱られて、昇進もおぼつかず収入も増えず、残業規制には悩まされまくってる。深夜寝ていても、会社からの電話で当たり前に叩き起こされることもしょっちゅうだ。
それに早朝や夜遅くの満員電車ではやたらトラブルも多くて、仕事以上に疲れることさえある。
だけど――そうしなければ生きていけないのが社会なんだから、仕方がないじゃないか。
現に舞奈の収入だけでは、僕ら夫婦二人の生活さえ維持できない。僕が正社員として残業も辞さずに働かなければ、無理なんだ。
そして明日もまた、僕らはコノハナ研究所に行く。
遂に――僕らの子供・「
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます