第6話「どんどん依頼をこなそう!」

「お、おぉー! やるやんけウチら!」

「そ、そうだねー」


 キラキラした目でテーブルに並んだゴールドを眺める妹分たち。

 お袋が亡くなって以来──久々の現金収入なのだろう。


「一日で金貨2枚以上かー。……うん。これだけあったら借金返済なんてあっという間ねー」


 いやいや、

 んなわけないだろ。さすがにジュリー、ボケ過ぎ。……あ、エルフだから、もしかしてめっちゃ長期的な視野で見てる?


「ちょ、そ、そんなつもりはないわよ!……って、誰がボケだって?」

 ジトッ。

「いや、口には出してないけど──……まぁ、今回はラッキーもあったしな」


 実際は、これの半分程度の収入だったはずだ。

 サルマンさんが予想以上にお金をはずんでくれたおかげだ。


「だから、これは今回限りだと忘れるんだな」

「えー。ロメ兄は、もうちょっとこう~テンションをやなー」

「そーそー」


 ばーか。そんな悠長なこと言ってられないだろ?


「猶予は半年だぞ?……俺の装備だって、それより先に質に流れるかもしれないし……」

「「「それは自業自得」」」


 ──んがぁあ?!


「ちょっと、ひどくな~いい?!」

 みんなのピンチを救ったってのに……。

 わりに冷たい妹分たちに愕然としつつも、次なる依頼に向けて動き出すロメオ。


 ……そう。今は時間! 時間が重要だ。


 利子を払った期間はたったの半年だけ。いや正確には金貨600枚で五か月か。

 それに冒険者ギルドで借りた金貨1000枚のこともある。


 あとで調べた何だけど、借金返済のできなかった冒険者は半強制的にギルド付きになるんだそうだ。


 そして、ギルドの命に従い借金返済まで延々とクエストやら、ギルドの業務(例えば教官や解体など)をさせられるらしい。もちろん、命に危険があるクエストにいくには、家族やら内臓やらを担保にするんだとか──……エグイわ!!


 むしろ、ギルドのほうがエグくね?!


「うーん。冒険者ギルドのことはさておき、時間とお金が重要なのは、たしかにそうよねー。それも、工房の経営が順調に行くっていう条件付き──」

「さておかないでくれよ……」


 ……そう。


 ジュリーではないが、まずはコンスタンスに月に金貨120枚を稼ぎ、利子を必ず払える態勢にするという絶対条件がある。

 (※注:もちろん、元本を返していけばその限りではない)

 その縛りプレイ付きで、お金を稼がねばならない。

 当然、それが成らねば簡単にギルドからの融資金の返済もできない。


 つまり、金貨2、3枚程度で喜んでいる暇はないのだ。


「ま、まぁ、せやけど──たまにはええやん」

「うん……兄貴が帰ってきて何のお祝いもできてないし──」


 ベッキーとプルートはそう言って無理に明るい顔をする。

 それを見て、ハッとしたロメオ──よくみればジュリーも苦い笑い顔だ。


 そうか……。

 そうだよな──。


「悪い……ちょっと、イライラしてたな」

 すまん。

「え? いや、そんなことないでー……なぁ?」

「う、うん。兄貴が頑張ってくれてるのは知ってるし」


 うんうんと頷きあう妹分と弟分。どうやら、大分気を遣わせていたらしい。

 それに、この二人も──ジュリーだって、お袋を亡くしたばかりで気がめいっているのだろう。そこに来て金金金だ。


 あー……ダメだな。

 ホントダメだ。


「うっし! じゃー、とっておきのを見せてやる」

「「「へ?」」」


 同じ顔で目を丸くする3人の家族。

 そう、ロメオだって、厳しいことばかり言うつもりはないのだ。なにせこれから働く仲間であり家族──ある意味、パーティなのだから!


「──へっへっへー。見て驚け? この赤き輝きをー」


 そういって、取り出したのは、赤く肉々しいもの!

 なんと──。


「わ! 兄貴──そ、それってもしかして」

地猪グランドボアの赤身やーん!」


  わー♪


 一瞬にして顔を輝かせるベッキー&プルート。

 こういう所はまだまだ子供だ。


 そして、人一倍食いついてきたのは──。


「ちょ、ちょちょ! お、お肉?! お肉なの?!」


 お肉大好き、肉食エルフのジュリーさん。

 どうやら、お肉は久しぶりに様子で大興奮。


「お、おう。見りゃわかるだろ?」

「ど、どうしたのこ、こここ、これ──」


 わ、わかったわかった。

 わかったからちょっと落ち着け──。あと、涎……。


「ほら。サルマンさんだよ……。雨具のお礼にって──お金のほかに、獲りたての地猪のもも肉をくれたってわけ」

「「「ひゃ~♪」」」


 わっしょいわっしょい!


 ロメオを囲んでクルクル躍る三人に、思わず笑顔を浮かべるロメオ。


「ったく、しょんぼりしたり、笑ったり、現金な奴等だなー」

「うるさいわねー。お肉なんて何日ぶりかしら?」

「何日じゃないでぇ、ジュリ姉。……何週間やで!」

「違う違う、何カ月だよ!」


 わいのわいの。


「……ってマジか?! そ、そんなに?!」


 えー。

 ウチって金持ちじゃないことは知ってたけど、そんな前から困窮してたの?


「う、ごめん、泣いていい?」

「「「……??」」」

 

 さめざめと涙を流すロメオにハテナ顔の妹分3人……。うん、ごめんやで──。もうちょっと、こう、一番年上(?)として頑張るから。


 お肉一つで、お家に事情を知ってちょっと暗い顔のロメオ。


「……あ、ああ、いや、そんなに気にしないで? た、たまたまよ、たまたま──ね?」

「ぉ、おう、せやでー」「う、うん、たまたま、たまたまー」


 おっふ、3人の気遣いが悲しい。


 ひとり王都でのんびり(?)冒険者していたのが心苦しいくらいだ。

 すまん、すまんやでぇ──もう少ししたら、仕送りとかしようとは思ってたねん……嘘ちゃうでぇ?


 ひとまず、もうちょっとこう──一家の食事事情をなんとかしようと固く決意するロメオなのであった。


「ま、まぁ──とりあえず、ご飯にしましょ!──ベッキーは裏の畑からお野菜お願いね」

「がってん~」

「プルートは、鳥小屋から卵をお願いねー」

「あ~い」


 んー。


「ロメオは、支度手伝ってくれる?」

「へ?」


 くるりと振り向いたジュリーはもうエプロン姿。

 その可憐な姿に一瞬、ドキリとするロメオであったが、その隙にサっとお肉を召し上げられてしまう。


「ふふ、『何でも屋』発営業記念と──ロメオの帰郷祝いもかねて、おいしいの作るわね」

「お、おう……。ん? 卵に野菜に肉──?」


 そ、それってもしかして──。


「うふふ、もっちろん、お祝いと言えば──」


 そうか!

 古代エルフ料理の────……。


  ばーん!


「野菜ゲットー♪」「卵、4つ確保~♪」

 土と鶏糞で顔をドロドロにした二人が飛び込んでくる。

「そして、こちらはお肉を薄切りにしまして──」


 すちゃ!


 野菜を五指に、卵も五指に、口に包丁を咥えたジュリーが不敵に笑うと、4人全員で声を合わせる!!



   「「「「すき焼きだー♪」」」」



 ぐつぐつぐつ。


「はーい、召し上がれー」

「あー。姉貴、それ僕が狙ってたやつ」

「あっほう! 早いもん勝ちや──あ、うんまぁ!」


 はいはい。


「取り合いしないの。まだまだいっぱいあるんだから──」


 エプロンに血をつけたまま微笑むジュリー。

 虐殺天使──ってかー?


「変なこと考えてない?」

「べっつに──……う、マジでうめぇ」


 くつくつに沸騰したお鍋には、エルフ流の割下とお砂糖──そして、ラードが溶け込み何とも言えない甘い香りが漂う。

 そこに、ピンク色をした地猪の薄切り肉を、潜らせること、数十秒。

 すっかり赤身が綺麗なブラウン色になったところで、掬って、器に割った溶き卵に潜らせる。


「んーーーーーーーー……うまし!」


 うまし!!

 マジでうまし!


「ジュリーちゃん、やるなー」

「うふふ、おだてたってこれ以上だせませんよー」


 そういいつつも、ちょっと大きめのお肉をロメオに取り分けてくれる。


「あ、ベッキーはお野菜も食べなきゃだめよ」

「うぇー。肉だけでいいんだけどなー……あ、リーキもうめぇわ」

「でしょ? この時期は中がトロトロなのよ──はい、プルートは白菜しろなの柔らかいとこ好きでしょ」

「サンキュー姐御。あーしゃくしゃくしてて、うまーい」


 ほほう。

 白菜が好きとは、なかなか通よな──プルートめ。


 だが、ここはあえて、

「ふふん、せっかくなので──俺はこの赤いキノコを選ぶぜ」

「あら、お目が高い」


 ジュリーが端に寄せてくつくつになるまで火を通してくれたのは、裏の森で取れる大きなキノコ。

 なんでも、乾燥させても生でもうまいキノコなんだそうだ。ちなみに、あまり流通していないらしく、この辺で食べるのは内くらいな物らしい。さすがエルフ……森の産物には詳しい。


「お! う~ま!」

「ふふ、春菊はるぎくもどーぞ」


 お、いいねぇ。


 緑の鮮やかな春菊は、花も綺麗だが、こうして若い葉っぱと茎を煮てもうまい。

 そのままでは苦すぎるのだが、お砂糖と割下が絡むと、このほろ苦さが癖になる通な食べ物──。


「うん、うん。うまいうまい────っていうか、ジュリーも食えよ?」

「え。あ、そうだね」


 人の世話を甲斐甲斐しくするのもいいけど、肝心のお料理担当のジュリーちゃんが一口も食べてない。


「へっへっへー、ジュリ姉ってば、いつもと違ってしおらしい・・・・・やん」

「そーそー。いつもなら『肉は全て私のもんじゃー』って感じで──あいだ!」

「そんなことしてないわよ! もー」


 ぷんぷん。


「いっでー。ぐーで殴らんでも──」

「余計なこと言うからやでー」

「アナタもよ、ベッキー。……そ、それじゃ、ちょっとだけ」


 いや、ちょっとも何も、遠慮せんでも────。


「んーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー、」


 お~いすぃぃいいいい♪


 思わず、もろ手を挙げて全面降伏するジュリーさん。

 普段のクールな様子からは一転して、両頬を抱えて幸せそうにモッチャモッチャとお肉を頬ばる。


「さいっこう! お肉、さいっこう~♪」

「お、おう……。ゆっくり食え、な?…………あと、皆の分は残そうな?」


 ちょっとが、やや多めに。

 やや多めが、がっつきに──……おっふ、ジュリーさんが、ものすっごい勢いですき焼きを平らげていくのでした。


 そして、



「ぱー! ご馳走様ぁ♪」


 ん?


「どうしたの?」

「いや、どうしたもなにも──」

「ジュリ姉ぇ、半分ちかくお肉食べてたよ?」

「……一塊5キロはあったから──え? 2.5キロを」


 じとー。


「ちょ……。そ、そんなに食べてないわよ──」


 からっぽー。

 すっからかんになったお肉ののったザルをゆするロメオをみて、見る見るうちに顔を赤くするジュリーさん。


「う、う、う、うわーん! ごめんなさーい!」

「いや、なんも泣かんでも──」

「まぁ、ジュリ姉はひとりで家計切り盛りしてたしねー」

「まぁ、僕らも甘えすぎてたとこあるし、これくらいは……うん」


 なぜか、最後しんみりしちゃったんんですけどぉ?


「はは、ジュリーがお肉好きなのはみんな知ってるし、そんな恥ずかしがるなよ」

「だって、だってぇ……」


 ん? キャラのこと気にしてる?


「こくり」

「大丈夫──……皆知ってるから」

「せやせや」「うんうん」


 何年一緒に、ここで家族やってたと思ってんだよ。

 たしかに、ここ数年は王都で好きにやってたけどさ──……帰って来たからには、家族仲良くやっていきたいものさ。


「うぐ……。そ、そんなお肉大好きキャラじゃないもん」

 「もん」って……。

 いい年したお姉ちゃんが使っていい言葉じゃねーぞ。


「ったく、見栄張るなって。食べたいもんくらい好きに食えって」

「へへ、そらぁ、ロメ兄は乙女心──」


 ごんっ!


「あだぁ! な、なんでえ!? 何で殴られたんウチぃ」

「いらんこと言うからでしょ! もー!」


 ん? 何の話だ?


「まぁいいか。それよりも、肉が全然食えてなかったってのは由々しき事態だな──」


 育ち盛りの皆には大変よろしくない。

 じー。 


「……いや、僕を見られても。僕──ホビットだよ?」

「ウチの胸見んなや……殴んぞ」


 みてねぇよ!!

 そりゃ、ベッキーのその年にしてはなかなかのバインバイ──おっとゲフンゲフン。


 ……あと、ジュリーさんや? アナタのお胸・・は気にしなくていいから!

 種族だから、そのサイズは種族特性だから!


「……っていうか、私はとっくに成長期終わってるわよ! あと、胸のことばっか言うなぁぁあ──お肉は食べたいけど」

 食うんかーい!

「ま、まぁ、皆の栄養状態を考えるなら──衣食住は健全にしないとな。借金返済までの長い道のりも越えられそうもないぞ」


 うーむ。これは課題が多そうだ。

 なにせ、仕事だけしているわけにもかない。4人にも生活があるし、働けば腹も減る。


 こりゃー大変だ。

 だけど、この4人なら何とかなる気もするな……!


「よーし! 今日は腹いっぱい食べたし、明日も元気にやってこー」

「「「おー!」」」


 お肉食べて元気いっぱい。

 4人は改めて、決意をするのであった──。



※ ※


 チュンチュン──。



「ふわぁぁ!」

「おっきなあくび──はい、ご飯……ってどうしたの? ど、ドロドロじゃない?!」


 え? あ……。


「あ、あはは! ちょっと昨日の夜トレーニングをだな」


 まさか、今日も肉を食わせてやろうと工房の裏山を駆け回ってたとは言えない。

 ……そして、一匹たりとも捕まえられなかったとは、なおも言えない。トホホ。


 裏山にも、兎とか狐くらいいたんだけどなー。しゅ~ん。


「??──なんでもいいけど、ご飯食べたらミーティングしましょ」

「おう、そうだな」


 センキュー。


 もぐもぐ

 ジュリーの朝ごはんを食べつつ、どやされて風呂で体を綺麗にしてから本日の予定を確認。


「ぷひー……さすがに水だけだと冷たいな」

「朝から風呂とかええ身分やのー、ロメ兄ぃ」


 うっせー。ジュリーが汚いと怒るんだよ。

 冒険者稼業中は二、三日入らないこともザラなんだけどねー。


「絶対ダメよ!」


 キリッ! とした顔で全否定のジュリーちゃん。

 あ、はい。……ガンバリマスー。


「──こほん。それじゃ、皆の予定決めていこうか」

「「「はーい!」」」


 うん。いい返事。


 さーてさて、

 それじゃ、まずは予定確認……の、その前に、昨日の今日だが、そこそこ依頼を集めてきたので、まずはそれをこなしていこうか。


 え~っと、昨日黒板に貼った依頼は、っと。


 ※ 井戸の修理 銅貨58枚

 ※ 新規釣り舟作成 銀貨46枚

 ※ 低級ポーションの作成(1ダース) 銀貨6枚 

 ※ 湿布薬たくさん 一枚あたり 銅貨1枚

 ※ 割れた瓶とコップの代替品の作成 銀貨1枚

 ※ 釣り竿の修理 銀貨1枚

 ※ 鳥小屋の補修 銅貨32枚

 ※ 荒縄の作成×5束 銀貨2枚


「ふーむ。結構あるな」

「ねー。お金は高いんだか低いんだか微妙だけど」


 いや、それはどうだろうな……。


 とくに低級ポーションは、どこにいっても引く手あまた──。町売りなら、だいたいの相場は一本で銀貨1枚前後。

 ならば一本の買い取りが銅貨で5枚は品質から考えて妥当な範囲だろう。(銀貨1枚の半分)


「そうなの?」

「まぁな。卸値としてみれば破格なんじゃないか?」

 流通や手間賃を差し引いても店としてはこんなもんだろ。

 ナマモノだし、ほっとけば腐るというリスクもあるしね。

「ふ~ん。さすが都会にいただけはあるわね」

「よ、よせやい」

「別に褒めてはないけど──……」


 あ、はい。


 ちょっとジト目のジュリーちゃん。

 すんません、調子に乗りました──。


「えーっと、ウチはどうしよか?」

「僕も手が空いてるよ」「私も──」


 ふむ。

「そうだな……」


 今日はロメオも含めて、4人とも手隙──そして、仕事はたくさん。


 サクサクモノづくりもいいけど、まずは、目の前の仕事をドンドン進めて、評判を獲得するのだ。

 そうすれば自ずと向こうから仕事も来るだろう──こういうところは概ね冒険者と同じだ。


「よし! 決めた」


 まずは、昨日の予習になるが──。


「手先の器用なプルートが、釣り竿の修理と荒縄をやってくれるか?」

「オッケー。荒縄の作成には材料がいるね──農家によって藁がもらえないか聞いてみるよ」


 おう! さすが呑み込みが早い。


「そんでもって、ベッキーは割れた瓶とコップの代替品を頼む」

「了おう、まかしときー。火の扱いならお手のもんやで──せやけど、ウチの工房の古い溶鉱炉じゃ、綺麗な瓶をそのまま作るのは無理やなー」


 うん。そりゃそうだ。

 まぁ、代替品だし──綺麗な瓶は作れるようになってからにしようか。


「他に、アイデアはあるんかいな?」


 ふむ、そうだな……。


「材料は割れた瓶をそのまま溶かして作れば十分だろうけど、……念のため『陶器』も作ってみよか?」


 陶器??

 ベッキーが首をかしげるも、


「あー! 陶器なら僕、ちょっとだけかじったことあるよ! 代替品でいいなら、十分かも」


 ほほう、プルートができるとな。


「うん! さすがに素材も設備もないし、今日中には作るのは無理かもだけど──色々考えてみるね」

「いいね! 任せるぞ」

「ほいほーい」


 うむ。

 色々作れるようになっておくのはいいことだ──なんたってこちとら何でも屋だからね。

 まぁ、これは将来への布石だな。


 さて、残りの作業は──。


  《依頼確認票》


 ※ 井戸の修理 

 ※ 新規釣り船作成 

 ※ 低級ポーションの作成 

 ※ 湿布薬たくさん 一枚あたり 

 ※ 割れた瓶の代替品の作成  (ベッキー受注)

 ※ 釣り竿の修理       (プルート受注)

 ※ 鳥小屋の補修

 ※ 荒縄の作成×5束     (プルート受注)


 ふむ……。


「よし! じゃあ、そっちの目途がついたら、俺とプルートの手伝いを手分けしてほしいんだができるか?」

「内容次第やなー」


 当然だな。


「もちろんだ。力仕事と手先の器用さが重要な鳥小屋の修理を、プルート、ベッキーのペアで二人で時間を合わせてやってくれないか?」

「あー。なるほどな、基礎はウチがやった方がええわな──」

「網の張替えとか鍵の付け替えは僕の方が得意だね」


 そういうこと。

 さすが二人ともツーカーだぜ!


「いいね! そして、ベッキーばかりで悪いけど、釣り舟作成も手すきの時に頼む。これは俺とペアだな──だいたいの形は俺がやるから、ベッキーも補助してくれ」

「ほいほーい。場所は湖の桟橋?」

「──の傍だな」


「了解のすけー」


 うん。

 とすると残りは、

「井戸の補修は俺がやるから──」

「じゃあ、私が低級ポーションと湿布ね。任せて」


 おっと、さすが皆わかってるな。

 ということは現在のところ──。


  《依頼確認票》


 ※ 井戸の修理        (ロメオ受注)

 ※ 新規釣り船作成      (ロメオ&ベッキー受注)

 ※ 低級ポーションの作成   (ジュリー受注)

 ※ 湿布薬たくさん 一枚あたり(ジュリー受注)

 ※ 割れた瓶の代替品の作成  (ベッキー受注)

 ※ 釣り竿の修理       (プルート受注)

 ※ 鳥小屋の補修       (ベッキー&プルート受注)

 ※ 荒縄の作成×5束     (プルート受注)



 うむ!

 いいね!!


「よし! じゃあ、その割り振りでいこう! 途中材料が必要になったら、金庫からお金を持って行ってくれ──あとで計算するから、なるべく……」


  「「「値切って買う!」」」


 オッケィ!!


 全員でに、ニヒッ! といたずらっぽく笑うと、そこで分かれて作業に向かう。

 どれもこれもまずは依頼主のとこに行ったり材料の確保が必要なものばかりだ。


 今日の依頼のうちいくつかは即日で終わらないモノが多そうだ。

 あまりしょっぱなからこんを詰めると体を壊すからな。


「よし! じゃー今日も張り切っていこー!」

「「「おー!!」」」







※ ※ ※

 一口メモ


 ●《ロケーション2》工房の裏


 ビター・スプリングス郊外に位置するロメオ達の工房に広がる私有地。

 主に畑と裏山があり、畑はジュリーが手入れをしている野菜畑と薬草園がある。そして裏山には林が広がり、薪の元となる原木が生えている。

 山の中腹には伐採した木材を乾燥させる小屋があるらしい──。

 幼き日々のロメオ達の遊び場でもあり、今でも山の中のいくつかに朽ちた秘密基地がある。

 採取可能な素材は、主に木材や、簡易的な薬草である。


 稀に野生動物も生息しているが、管理されている山ということもありその数は少ない。

 モンスターはほぼいないとされているが、近隣の森林などから迷い込む可能性は否定できない……。


※ ※ ※

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