本作はロマンスと陰謀劇が交錯する幻想的な後宮ファンタジーです。占い師として生きる夏紅月は呪いによって白猫の姿へと変わってしまいます。後宮に渦巻く権力争いと得体の知れぬ呪術の影が絡む中、紅月は皇帝凌雲との関係を深めながら、自らの運命と向き合うことになります。
紅月と凌雲の関係は最初こそ距離があるものの、彼女が猫の姿で彼の側にいることで、次第に心を通わせ、特別な絆を築いていきます。一方で、後宮では蠱毒や呪術を駆使した策略が渦巻き、皇后・明珠の陰謀や、異形の存在である玄牙の関与など、スリリングな展開が繰り広げられます。
宮廷の華やかさと闇の対比。紅月が猫の姿で凌雲の胸に収まる場面や、呪いが発動する瞬間の緊迫感ある描写は、幻想的でありながらもリアルに迫るものがあります。占いやまじないを駆使して自ら運命を切り開こうとする強さを持っている紅月の描写も魅力的です。
ロマンスと陰謀、幻想と現実が交差するこの物語は、深みのある後宮恋愛ファンタジーとして高い完成度を持っています。紅月と凌雲の絆がどのように運命を変えていくのか、目が離せない作品です。
占いやまじないが得意な主人公が、「猫鬼」を倒しそびれて夜だけ猫になってしまう。そしてそれをきっかけに皇帝に寵愛されて――というお話です。
中華ファンタジー世界観で後宮を舞台にする小説は多いですが、主人公が猫に変身するというのはあまりないパターンなのではないでしょうか。
物語がサクサク進んで非常に読みやすいですし、主人公の紅月や猫鬼の玄牙をはじめ脇役のキャラも魅力的なので世界観にグイグイ引き込まれて没頭して読めました。
果たして呪いをかけたのは誰なのか、いったい何の目的で? そして呪いを解く方法はあるのか? 最初から最後まで面白く目が離せない展開が続きます。必見の作品です!