第46話

ーーーーー***

『え⁉ 順平くんと付き合うことになったの⁉』


 誕生日のプレゼントをもらった日に告白されたあたしは、次の日にはすぐに絵里子に報告をしていた。


『うん、昨日誕生日プレゼントもらって、その時に』

『まじか! いーなぁ、めちゃめちゃイケメン彼氏じゃんっ、評判もいいし。羨ましいっ! まどかは幸せ者だよー!』

『えへへ……そうだね』


 あたしの報告に、誰よりも喜んでそう言ってくれたのは絵里子だった。

 見た目はクールビューティー。美人で取っ付きにくそうに見えるけど、話してみれば元気いっぱいで楽しい子だ。

 はじめは、あたしも近寄りがたかった。だけど、慣れない大学生活に友達も作れずにいたあたしに一番に話しかけてきてくれたのが絵里子で、その人脈であたしにはどんどん友達が出来て行って、毎日が楽しくなった。

 絵里子のことが好きだった。

 お洒落だし、メイクも上手いし、たくさん自分で綺麗になりたいと努力しているのを知っていた。


『あたしも彼氏作ろっかなー』

『え! 絵里子好きな人いるの?』

『……んー、ちょっとしつこいけどあたしのこと気にかけてくれてる人は、いるんだよね』

『え! そーなの⁉ 全然話してくれないから知らなかったよー。どんな人? うちの大学?』


 休みの日にランチをしながら、絵里子にも良い感じの人がいる事を知って、あたしは嬉しかった。おススメランチの渡蟹のトマトクリームパスタをフォークに絡めつつ、あたしは絵里子の返答をワクワクしながら待つ。


『ううん、あたしが通ってるとこの美容師』

『……わーっ、すご。そんな出逢いがあるんだ』


 美容師さんとお客さんって、出逢いのキッカケになったりするんだ。絵里子美人だからなぁ。


『初めはカットモデルを頼まれたから引き受けたんだけど、それからご飯誘われたり遊びに行ったりしてて』

『わぁ……あれ? 待って、絵里子の行ってるサロンって、あたしも行ってるじゃん! え! どの人⁉』

『……今度教える』


 そう言って、照れた様な顔をしていた絵里子がすごく可愛くて、その後に紹介された彼氏は、大人の雰囲気を纏う、優しそうで、お洒落で格好良くて、絵里子にはすごくお似合いだと思った。

 それが、さっき映画館で見た、絵里子の隣で楽しそうに話す男の人だった。

 彼氏と別れた話は聞いていない。

 だったら、どうして順平とそんなことになってしまったの? 絵里子の方こそ、一夜の過ちを犯してしまったんじゃないの? そう思ってしまう。

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