大月
とこしえの杜から少し歩くと森があった。
「なあ、この森をまっすぐ歩けば良いのかな?」
「私に言われても分かるわけないでしょ。いいからほら、足を動かす」
ハチは、急かされるようにナナに背中を押される。
「分かったから押さないで」
「分かったならちゃんと周りも見て探しなさい」
ハチは、ぶつぶつと文句を言いながらも周りを見て歩く。
周りには木しかなく、本当にこの先に大月の樹があるのかと思ったハチは、少し歩くペースが落ちていく。
「ナナちょっと休憩しよう。もう疲れて歩けないよ」
「そうね、じゃあそこにある岩の近くで休みましょ」
ハチ達は、少しだけ休みまた歩きだすと木と木の間から光が見えた。
やっと、森から出られた~と言いながらハチは腕を上げて伸びをする。
「ねえねえ、あれが大月の樹かな?」
ハチは、ナナが指差す方を見ると、丘の上に枝に葉のない螺旋状に伸びる大きな樹があった。
すっげー大きな樹と言いながらハチは走って丘の上に登って行く。
ハチ達は、大月の樹の周りを探してみるが種らしき物は見つからなかった。
「なあ、種落ちてないよな」
「確かにないわね、もしかしたら樹の上にあるんじゃない?」
ナナは大月の樹を見上げながら言う。
「えっ、これを登るのか?結構高いけど」
ハチは、命綱もなしにここを登るのは危ないと思いナナに言う。
「でもちょうど良く螺旋状になってるから登りやすそうよ」
と言いながらナナは螺旋状になっている隙間に指を差してゆっくりと登り始めた。
ハチも慌ててナナ後を追い大月の樹を登る。
登り始めて少し経ち、余裕が出てきたハチは、やめればいいのに下を見てしまう。
「ひえっ、た、高い」
ハチは、あまりの高さに体が震え大月の樹から手を話しそうになる。
「何やってるの、下を見るから怖くなるのよ」
「わ、分かってるけど見てしまったものは、しょうがないだろ」
それからハチは、恐怖に耐えながらゆっくりと登りついに頂上に着いた。
「はあ~、やっと登れた」
ハチは地面に腰をおろして少しだけ休み、顔を上げて前を見ると人にも見える木があった。
「何で樹の上に木があるんだ?それに人にも見えるし」
ナナは、そもそもここを普通の世界と変わらないと思ってるのが間違ってるのよと言いハチの頭を叩き立たせる。
「痛っ、叩くなよ。はあ~取り敢えず近くに行ってみるか」
近くに行くとより気味の悪い見た目をしていて、色々な果物と野菜がなっている。その中にゴルフボール位の赤い種らしき物があった。
木の中央にある赤い種を取り手にしてみると普通の種とは違い鼓動してる様に感じた。
「大月の種は手に入ったし、次は天の雫か」
あっ、そういえばここから下りるの大丈夫?とナナに言われてハチは、登っていた時の事を思いだし体が震える。
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