邂逅
「じゃあ仮の名前も決めたし次は、元の世界に戻る方法を調べましょ」
「あー分かった。でもどうやって元の世界に戻る方法調べるんだ?」
「うーん、分かんない」
ハチはガクッと肩を落とす。
「いや、分かんないって」
「まあ、取り敢えず図書館に行って調べてみましょ」
「そうだなネットも使えないし調べるなら図書館しかないか」
ふと、ハチはそもそもどこに図書館があるか分からないと思ってナナに場所を知ってるか聞く。
「そんなの元の世界と場所は変わらないわよ」
確かに言われてみると今いる場所は、自分の部屋だし外を見てもいつもの景色だと今さら気づく。
「あーそれと外のあいつらに触っちゃだめよ危ないから」
えっ、と言いハチは恐る恐るとどうしてか聞き返す。
ナナは、あいつらに捕まると食べられちゃうよと言いながら両手を上げて驚かしてくる。
「や、やめろよ驚かすのは」
「冗談冗談、でも気をつけて行動しましょ」
「わ、分かった気をつけるよ」
ハチは、取り敢えず外にいるのに見つからない様に行動しようと思った。
何とか図書館の前に着いたけど、ハチはそもそもどうやって中に入っていいか分からなかった。
だからナナにどうやって入るんだと聞くと。
「そんなの普通に開けて入ればいいでしょ」
ナナは、そんな当たり前な事も分からないのかと言わんばかしの顔で、取っ手に手を掛けて引くと扉は、何の抵抗もなく開く。
「えっ、何で鍵が開いてるんだ?」
「何でってこの世界に鍵を閉める人何て居るわけないでしょ」
ナナは何言ってるんだこいつみたいな顔をしてこっちを見る。
ハチはえっ、自分がおかしいのかとぼそぼそと小声で喋りながら困惑する。
「ほら早く入りましょ」
ナナはハチを置いてさっさと中に入って行った。
「ちょっと待って置いて行くなよ」
ハチは慌ててナナの後を追う。
あれから中に入って探してみたけどそれらしい物は見当たらなかった。
「なーナナそっちは何か見つかったか?こっちはそれらしい物はなかったぞ」
すると奥の方からナナがちょっとこっちに来てと言う声が聞こえたからナナの所に歩いて向かう。
ナナは、これを見てとすごくくたびれた冊子の様な物を見せてきた。
「えっと『界渡りの神ついての調査結果』何だこれすごく胡散臭い冊子だな」
ハチは汚れている冊子を見てあまり触りたくないと思った。
「でも界渡りの神って事は、世界を行き来出来るんじゃない?」
「まあ確かにそう言われたらそうかもしれないけど」
ハチはまあこれしか手掛かりになりそうな物は無いと思い冊子を開く。
『界渡りの神は、その名前の通り世界の壁を越えてあらゆる世界に行く事が出来ると言われる存在。
私は界渡りの神について調べる事にした。
調べていくと、どうも界渡りの神はとこしえの杜に居る事が分かった。
早速私は、とこしえの杜に行く事にした。
でも、とこしえの杜があると言われる場所に向かってもそこには何も無かった。
何か条件を私は、満たしてないのかそれとも私には会う資格がないのか私には分からなかった。
もしこれを読んでる君が界渡りの神に会える様に私が調べたとこしえの杜の行き方を書いておく。
【丘の下の十字路を左に行き、右側に小さな地蔵の横を通り、下を見て十の段を下り、そのまま歩くと周りが明るくなり、正面を見て左右に大きな灯篭の先、鳥居を潜って登れば、とこしえの杜に】
私は見つけられなかったけど、君が見つけられる事を私は願う
神…睦…』
「最後は掠れてて読めないけど名前か?」
「そうねこの冊子を書いた人の名前だと思う」
「取り敢えずこの冊子に書かれてる丘を探すか」
よ~し早く行こうとナナは、早足で図書館から出ていった。
ハチも後を追い図書館から出る。
「なあ、よくよく見るとこの町、山に囲まれてないか?」
「それは当然でしょ。この世界はこの町しかないもの」
「えっ、マジで?」
ハチはまさかこの世界がこんなに狭いとは思わなかった。
「そんなことどうでも良いから早く丘を探しましょ」
あれからずっと探していたけど山はあっても、丘らしい所は見当たらなかった。
でも丘か分からないけど周りより高い所はあった。
「もしかしてだけどさっきの場所が丘じゃないか?」
「う~ん、確かにあそこの前に十字路があったから取り敢えず行ってみましょ」
ハチ達は、丘を正面にして十字路の上に立つ。
「確か左に歩いて行けば良いんだよな?」
「そうね、そしたら右側に小さなお地蔵様がいるのよね」
左の道を歩いて行くがなかなかお地蔵様を見つけられなかった。
ハチはもしかしたら道を間違えたのかもしれないと思いナナに戻ろうと言う。
「そうね、もしかしたら正面じゃなくて背にして左の道だったかもしれないね」
そして、また十字路に戻り今度は、丘を背にして左の道を歩く。
歩いていると右側に小さなお地蔵様が見えてきた。
「もしかしてここか?」
ハチはお地蔵様に近づいて周りを確認する。
「ねえ、そこに下りれられそうな道があるからここじゃない」
「確か下を見ながら下りるんだよな」
ハチは下を見ながらお地蔵様の横を通り下りていく。
下に下りて少し歩いていると、急に周りが明るくなってきた。
冊子には明るくなって正面を見ると大きな灯篭があると書いてあったからハチは顔上げると目の前に大きな灯篭があった。
「おー本当に大きな灯篭があるな、それに奥に大きな鳥居もあるし」
ハチ達は鳥居の下まで歩いて行くと目の前に石段があった。
石段を登って行くと厳かな雰囲気の杜があった。
「ここがとこしえの杜か?」
ハチは周りを見渡しながら呟く。
すると突然目の前に男が現れた。
急に現れた男に驚いていると男が話しかけてきた。
「君達はここに何か用があるのかな?」
「じ、自分達は界渡りの神に会いにとこしえの杜を探してここに来ました」
「そうか界渡りの神か、そんな神はここには居ないけど、ここは君の言うとこしえの杜で間違いはないよ」
ハチは界渡りの神には、会えなかったけどとこしえの杜には来ることが出来た。
すると男はハチに界渡りの神に会ってどうするつもりだったのか聞いてきた。
ハチは界渡りの神に会って元の世界に戻してもらえないか聞こうと思ったと男に言う。
「そうか、君は元の世界に戻りたいんだね。それなら僕でも出来るよ」
ハチはえっ、出来るんですかと男に駆け寄る。
「でも君には集めて来て欲しい物があるんだ。僕は、ここから出られないから」
「わ、分かりました。どんな物を集めて来ればいいんですか?」
「うん、それじゃあ大月の種と天の雫を取って来てくれるかな。
あっ、それとこの生命の杯を渡しておくよ。
これに天の雫を入れて持って来てね」
「えっと、大月の種と天の雫は、どこにあるんですか?」
「大月の種は杜の先にある丘の上に大月の樹の上にあるよ。それと天の雫はちょっと大変だけど大月の樹がある丘の先にある天霊山の中腹にある光る柱が立つ泉で取れるけど取る時に注意して欲しい事があるんだけど、天の雫を生命の杯に入れる時に光が当たる場所で取ること絶対に影を杯の中に入れてはいけないよ分かったかい」
「わ、分かりました。気を付けて取ってきます」
ハチは男から生命の杯をもらいとこしえの杜の先にある丘を目指して歩いて行く。
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