第59話 受け継がれてー2
静香お姉ちゃんが、マイクを握って読み上げる。
千代子婆ちゃんの最後の言葉? 予定にはなかったけど、一体なんだろう。
『まず初めに、ご出席の皆々様。この度は死んでしまって大変ご迷惑をおかけしました』
会場に少しだけ笑いが起きる。
始まり方も婆ちゃんらしい。
『まぁ冗談はさておき、湿っぽいのは好きじゃないんだ。それに伝えたいことは全部、個人個人に伝えたはずだよ。だからここであえて言う必要なんかないからちょっとした約束事をもう一度話そうと思う。ヴァイスドラグーン家、黒王家、シルバーアイス家、ロートオリフラム家、そして紫電家。
それは俺も聞いていたことだ。
距離的に近い黒王家と、力的に最強のヴァイスドラグーン家がこの国を割って統治するとも。
しかし周りがざわついていることからそれはきっと、公表されていなかったのだと思う。
『そしてその約束には続きがある。もしも……日本が優勝したならばってね。あのときは全員大笑いしてくれたねぇ。特に黒王
「ふん。仕方なかろうが……誰が日本が優勝するなどと思った」
「私は思ってましたよ」
「それはあの小僧を知っておったからじゃろうが……だが約束は約束だ。それにこれは黒王にも理がある。まったくあの妖怪ババアはどこまで見えておったのか」
参列している五大貴族の面々は腕を組みながら、それでいて少し笑っていた。
優勝したときの約束? そんなのは聞いてない。
だが、優勝したのは俺だ。日本だ。なら……。
『これから世界は激動の時代に入る。私の先祖、つまり土御門家の祖――安倍晴明様が作り出した
そして静香お姉ちゃんが俺を見る。
『だが……夜虎はまだまだ未熟だ。まだまだ子供だ。だからこそ、まだまだ伸びる。多くを経験しながら成長してほしい。でも夜虎だけじゃないよ。五大貴族の令嬢共。あんたたち全員だ。あんたたちが同じ年に、もっとも才ある子供として生まれたのには必ず意味がある』
「どういう…………まさか」
もしかして婆ちゃんの約束って。
『オーロラ・シルバーアイス! 黒王冥! アザルエル・ロートオリフラム! ゼフィロス・ヴァイスドラグーン!』
呼ばれたのは、五大貴族の令嬢4人。
俺はその四人を見るが、彼女たちも何のことかと首をかしげる。
だが現当主達はわかっていた。
『紫電千代子、並びに
「やっぱり!?」
『同じ学び舎で、ともに過ごし、ともに笑い、ともに泣いて、青春を謳歌せよ。そして……心身ともに成長し、成熟し、子供から大人に。そして立派な魔術師になることを期待する。魔力は強き意思に宿る。……なんてね。まぁ……つまりこういうことだ』
するとやっぱりまた俺の目の前に婆ちゃんがいるような感覚で、俺の頭を撫でていつものように言った。
『後は任せたよ。現代最強の魔術師たち…………あんたたちならできる』
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これが正真正銘最後の言葉でしょう。
婆ちゃんはやってくれました。
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