第45話 開幕ー3

まえがき

タイトルいまだ迷走中。

なお、めちゃくちゃアクセスは増えた模様。

もうわっかんねぇな! また総合一位に戻っちゃったよ! アリガトナス!






「アザルエル、夜虎から離れるかここで死ぬか選びなさい」

「あ! ローラちゃんだぁ!」


 扉を開けて吹雪と共に入ってきたのはオーロラ・シルバーアイス様です。

 違うんだ! これはアザルエルが勝手に! なんで俺が浮気した夫みたいな言い訳をしてるんだ? 


 するとアザルエルが、ローラのほうに駆け寄ってぎゅっと抱きしめる。

 

「ちょ、ちょっと!」

「おひさ! 何年ぶり?」

「はぁ……あなたといると調子がくるうわ。でも……久しぶりね。3年ほどかしら」


 どうやらローラとアザルエル自体は、友達のようだ。

 よかったよかった。お互いに、にこっと笑っている。

 そしてローラは、抱きしめるアザルエルの頭に手を置いて。


「それはそれ。これはこれ。……永遠の銀氷シルバーアイス

「あ……」


 アザルエルが凍ったぁぁぁ!!!

 というか死んだぁ!?


「ローラ!! なにやってるの!!」

「泥棒猫は許さない」

「だめだよ! えーっとお湯! いや、ローラの氷がお湯なんかで溶けないし!! どうすれば!!」

「大丈夫よ、夜虎。こんなので死ぬような女じゃないわ」


 そのときだった。


 あつ!?


 先ほどの寒さとは別、燃えるような熱気が部屋を満たしていく。

 と思ったら、ローラの氷が解け始める。

 永遠を溶かすは黄金の火?


「あーもう、ローラちゃんは冗談通じないんだから」


 そしてすべての氷を溶かし、にこっと笑いながら黄金の火を纏うアザルエル。

 俺は認識を改めた。

 五大貴族――ロートオリフラム。

 アフリカという人口10億を超える大陸を守る家のご令嬢が、この程度で死ぬわけがなかった。


 俺はアザルエルを先ほどまでとは違う目で見る。

 やっぱり強い。


「はぁ……魔術使うと、あっつ。ローラちゃんの氷で濡れちゃったし……もう脱ぐ!」

「――!?」


 すると、アザルエルがいきなり脱ぎだした。

 やっぱり貞操観念がおかしすぎる! 

 ここに男がいますが! これがギャルなのか! これが黒ギャルなのか!?

 

「ちょ、ちょっと! 夜虎が見てるじゃない! わ、わたしだって! 夜虎! 脱ぐわ! 私を見て!」

「なんで対抗心燃やしてるの!? ダメだよ!」


 そういって急いで服を脱ごうとするローラを抑える。

 

「モテモテね、夜虎。これは私も脱いだほうがいいのかしら? 夜虎、脱がしてくれる? ほんとに熱いわね」

「なんで静香お姉ちゃんまでそっち側なの!? 変なとこでノリが良いのやめて?」

「あら、お姉ちゃんの言うことが聞けないのかしら。ホック外して。おこちゃまの夜虎に上手に外せるかしらね? ふふ」


 なんでこんなに静香お姉ちゃんは楽しそうなんだ!

 くそ! ツッコミが足りない! 清十郎、助けてくれ!

 そのときだった。


「わ、私も脱ぐわ! 夜虎!」

「はぁ?」


 とっても聞き覚えのある声がした。

 俺は振り返る。

 そこには、年にわりには間違いなく若く、美魔女と言っても過言ではない、いやむしろすごい美しいのだが、それでも少しだけ年を感じさせる女性がいた。

 その女性がせっせとなぜか服を脱ごうとしている。


 俺は全身の血の気が引いた。


 バチッ!!


 急げ! 雷鳴となれ!!


「母さん!! なにやってるの!?」


 俺は稲妻の速度で本当に本気で走り、なぜか脱ごうとしている我が母親を全力で止めた。

 ノリなのか、冗談なのか、本気なのか。母さんのすることがいまだわからないときがあるが、とりあえず母親の下着姿なんて本当に見たくない年ごろなのでやめてほしい。まじで

 

「夜虎。久しぶりね! 会いたかった!」

「俺も会いたかったけど……」


 するとぎゅっと俺に抱き着いてくる。昔は俺が抱きしめられていたほうだが、今では俺のほうが随分と大きい。

 ローラやアザルエル、静香お姉ちゃんが微笑ましく見ている。 

 やっぱり、すごい恥ずかしい。


「息子の晴れ舞台だもん! ほら、これ! パパは解説だからママが二人分応援するからね!」

「うわ……なつかし」


 かつて俺が国家魔術官試験を受けたときに、応援席で両親が振ってた黒いうちわだった。

 エアハグして♡って書いてる。


「あ、あの! お、お久しぶりです! ご挨拶に伺おうと思ってたんですが、タイミングが合わなくて申し訳ありません! こんな形で失礼します!」

「あ、オーロラ姫様! うわぁ、すっごく大きくなられましたね! それにとても美人になられて……」

「そ、そんなこと……気軽にロ、ローラと呼んでください。お義母様」


 なんだ? ローラが凄く畏まっているし恥ずかしそうだ。

 というか今、俺の母さんをお義母様って呼んだ? 呼んだよね?


 そのときだった。


「そこをどきなさい。邪魔よ、駄犬!!」


 扉を開けて入ってきた美女。

 黒王 冥――現アジア最強の黒王家の次期当主だった。


「あぁ、冥様。すみません。母さんは観客席に戻って。特別観覧席なんでしょ」

「そうなの! 御屋形様が用意してくださって、すっごいのよ! 遊びに来てね。じゃあ夜虎、皆さん! 応援してるから頑張ってね!」

「はいはい、頑張るよ」


 俺は無理やり母さんを部屋の外に押し出してため息を吐いた。

 相変わらずのマイペース具合だった。


「ふん。母親と仲が良いのね」

「まぁ……はい」

「……羨ましい」

「ん?」


 そういう冥は少し悲しそうにしていたがすぐにいつものきりッとした顔に戻る。


「アザルエル、久しぶりね。オーロラ、あなたは初めてね。黒王冥よ」

「ええ……よろしく。オーロラ・シルバーアイスよ」

「静香は一週間ぶりね。例の件は、よく考えた?」

「ええ、紫電がこの国を守るということだけはね」

「ふん! 威勢だけはいいわね」

「冥ちゃん、おひさ!」


 各々と挨拶をして、パンっと手を叩く冥。


「じゃあいきましょ! 始まるわよ」

「まだゼフィロスがきてないですが……」


 ここに五大貴族次期当主は四人揃った。

 しかし、一人足りない。ゼフィロス・ヴァイスドラグーン。


「ふん! あいつはこないわ。集団行動なんてできるような人間じゃないの。時間になれば勝手に来るでしょ」

「そっか」


 少し話したいと思っていたんだが、来ないというのなら仕方ない。

 するとテレビのニュースが、慌ただしくなる。

 と同時に、扉を開けて入ってきたのは。


「さぁ、出番だよ。ひよっこ共! お祭りの時間だ!」


 紫電千代子、この国の代表だった。

 



 俺達は千代子婆ちゃんの誘導のもと、競技場へと進んでいく。

 そして長い廊下を抜ければ、目の前には石造りのバトルフィールドと熱気あふれる会場が広がる。


「じゃあ一人ずつ呼ばれたら出ておいで」


 そういって千代子婆ちゃんだけが、競技場へと進んでいく。

 それだけで会場のボルテージが上がっていく。

 すると千代子婆ちゃんがマイクを握った。拡声器を通して、会場中……いや、世界中にその声が届く。


「今日は歴史の転換点だ。眼ん玉ひん剥いて一瞬たりとも見逃すんじゃないよ。これからの世界の担い手たちの戦いをね!」


 静まり返る会場、その声を聞き逃さないと先ほどまでの喧騒が嘘のように消え去った。


「まずは、うちのひ孫。紫電静香!!」


 最初に呼ばれたのは静香お姉ちゃん。

 スモークと共に会場へ。

 おそらく大多数の日本人からの全力の拍手で会場が揺れる。

 次に、冥夜。ローラ、そしてアザルエルが呼ばれ、会場のボルテージはどんどんあがっていく。

 ゼフィロスは諸事情で遅れると言われ、飛ばされているが、そして、最後は俺……結構緊張する。


「最後の6人目、今日まで隠してきたがね。まぁ……変な目立ち方はしてたようだから知ってる奴も多いだろうね。名を白虎夜虎!! 白虎家の次期当主だよ!」


 世界中の視線が俺に集まっている。

 前を見ると静香お姉ちゃんが、ローラが、アザルエルが、冥夜が俺を見る。


 少し戸惑う。

 そして観客席も俺の名に困惑と戸惑い、そんなざわざわとした状態だった。

 しかし、ひと際大きな声が聞こえた。


「夜虎ぁぁぁぁ!! お前は俺の子だぁぁぁ。がんばれぇぇぇ!!!」


 俺は笑ってしまった。父さんの声だ。

 見渡せば、特等席から大きく手を振ってうちわををみせてくる母さんも見える。

 俺は少し笑いながら、一歩踏み出した。


 世界最強の舞台へと。


「じゃあ、さっそく始めようか。ほら、これを全員引きな」


 そして俺達は、千代子婆ちゃんが握る紐を順番に引っ張る。

 先には数字が書かれていて、おそらく対戦番号だろう。


 そして、競技場のスクリーンにそれは映し出された。


「…………これが組み合わせか」





あとがき。

大変長らくお待たせしました! お待たせしすぎたのかもしれません。

次号よりずっとバトルです。

二章のラストまで駆け抜けるように、魂込めて書いてます。こめ過ぎてちょっと抜け殻になりそうですが、書き切れるように頑張ります!

それぐらい頑張って書いてるので二章終わりまで読者様の皆々様も一緒に頑張っていただけると嬉しいです。離脱しないでね。(切実)


よければ下の★で応援していただけると嬉しいです。

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