第5話

「靴を飛ばせば童話になる」


スパイクをさあ、車の上に乗せてたんだよ

原沢、免許取ったんだっけ

そ、んでさ、荷物を後部座席におきにいったの

んん

しばらく走ってさ、ボコって音がしたんだよね

ほう

んで、駐車場に止めてスパイク落としたのに気が付いたの

うん

かえってさ、家の周りを探したわけ

おお

したら、道路沿いにあるフェンスの脇に置かれていて

へー

誰かがおいてくれたんだよ!

こー

諦めずに探せば見つかるもんだなって

おー!

鹿野、この話、童話になりそうじゃね?

どんな教訓が込められているん?

何事も諦めずに探せばみつかるって教訓。

私も見つけた。

なに?

相槌のレパートリーも探せば五十音なんでもあてはまるって教訓。

相槌のを被らせへんことに必死になるほど興味がわかへんかったことに悲しむべきなんか、気遣いに感謝するべきなんか迷うわ

いや、そもそも靴なくして親切な人のおかげで見つかった話のどこが童話なん

ただ親切な人がいてくれてラッキーだけやっただけちゃうん

鹿野・・・お前なあ

けど俺も実はスパイクの辺から見この話の有益性を見失っていた

原沢の話に有益性を期待したことないから安心してくれ

安心していいのか複雑な感情やわ

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