第78話 66階層攻略!
俺達は、塔のダンジョン66階層フロアーボス部屋に突撃する。
一度扉を閉めてしまったせいで、死んでた筈のリザードマンメイジとリザードマンファイターが復活してる。
というか、リザードマンメイジが魔法の詠唱してるし。
完全に、俺達が扉の外に居るのに気付いていて、魔法の詠唱をしていたのだろう。
66階層のフロアーボス部屋に居る魔物になると、どうやら相当、頭も回るようである。
俺達は、当たり前のように回避する時間も無く、巨大なファイアーボールにぶつかりそうになったのだが、
カッキ~ン!
ナナミさんが、十一文字金剛権蔵棍棒で打ち返してしまった。
というか、魔法って打ち返せるの?
そんな事より、カッキ~ン! て、どう考えても魔法を打ち返す音じゃないし……
それより、魔法を打ったリザードマンメイジが燃えてるし。
しかも、お腹に風穴が開いてるし……
どう考えても、リザードマンメイジが打ったファイアーボールより威力が上がってるし、というか、燃え盛る石の玉?が、壁に埋まってるし?
リザードマンメイジの腹に風穴を開けたファイアーボールが、実体化して隕石になってたようである。
まさかとは思うが、ナナミさんがリザードマンメイジが放った、ただのファイアーボールに土魔法で魔法付与して打ち返したのか?
だから、ただの現象であった火魔法を打った筈なのに金属音が聞こえたのだ。
金属音?というのも謎なのだけど、兎に角、ファイアーボールをメテオに魔法変換して、ナナミさんは打ち返していたのである。
というか、敵が放った魔法に干渉して、違う魔法に変えてしまうって、これって、相当技術が居る事のような……
まあ、天才のナナミさんなら、それぐらいやってしまうか……
俺達『銀のカスタネット』にとって、ナナミさんがトンデモない事するのはいつもの事なので、それほど驚かないが、それをフロアーボス部屋の外から観戦していた『氷の貴公子』の面々は、アゴを外して相当驚いていた。
無理もない、ただのお子様だと思ってた、魔法使いのコスプレをしてた幼女が、イキナリ高度な魔法を使ったのだ。
いや違う……魔法と棍棒を使ったのだ。
メテオが飛ぶ動力は、ナナミさんのフルスイングのバッティングでもたらせられていたから。
普通、棍棒フルスイングして、相手の魔法に付与魔法掛けないし。考えれば考える程、ナナミさんはトンデモない事をクールな顔をしてこなしてしまうのである。
というか、ナナミさんがリザードマンメイジを倒したと同時に、アマンダさんとサクラ姫も動き出している。
アマンダさんとサクラ姫の動きは、めちゃんこ速い。
ズザン!
アマンダさんは、斬れ味が良くなった大剣ナナミ13号で、リザーマドンファイターの右手を斬り落とした。
リザードマンファイターは、上段から振り落とされたアマンダさんの剣戟を、一応、剣で受けていたのだ。
それなのに、アマンダさんは、リザードマンファイターの剣ごと、右手を斬り裂いたのである。
これにも、観戦中の『氷の貴公子』の面々は、目ん玉飛び出して驚いてる。
『氷の貴公子』の面々は、先程までリザードマンファイターと戦ってたのだ。
リザードマンファイターが使ってた剣が、まあまあの業物だと知っていたのである。
それなのに、アマンダさんは、まるで豆腐でも切るように簡単に切断してしまったのだ。
『氷の貴公子』の驚きは、これだけでは終わらない。
右手を斬り落とされて動揺してるリザードマンファイターに、サクラ姫がレイピアで一突き。
リザードンマンファイターの顔が、ボゴボコと、横や縦に色んな所が膨らんだり、凹んだりした後、
「ヒテブーー!!」
ベチャッ!!
体が破裂してしまったのだ。
サクラ姫は、リザードマンファイターの返り血を浴びて血だらけ。
もう、ここまで来ると、『氷の貴公子』の面々は、理解が追いつかな過ぎて笑うしかないようだ。
そして、ついに俺の番。
『銀のカスタネット』のメンバーが、俺の為に舞台を整えてくれたのだ。
俺は、カスタネット子爵家の家長として、『銀のカスタネット』の団長として、格好良い勝ち方をしなくてはならないのだ。
ナナミさんと、アマンダさんと、サクラ姫の戦闘がトンデモ無かったからね。
俺は、それを越える戦いをしないといけないのである。
てか、そんなの良く考えたら無理だろ?
俺、普通に、剣を持ったら剣豪になる派生スキルを持ってるだけだし。
確かに、俺は強くなったよ。
だけど、ナナミさんやアマンダさんやサクラ姫のように派手な戦い方は出来ないのだ。
どうする?どうする?どうする?
俺は、必死に頭を回転させて考える。
普通に、リザードマンキングに勝てると思うけど、勝ち方が重要なのだ。
魚の活き造りみたいに、生きたままリザードマンキングを捌くとか?そんな突拍子のない事をしなければ、俺の凄さが『氷の貴公子』には伝わらない。
とか、思ってたら、いつの間にかリザードンキングが、俺の目の前まで迫っていた。
俺は、反射的に居合斬り。
スパン!!
リザードンキングは、斜めに斬り上げられた俺の十一文字権蔵によって、上半身が地面にズリ落ちる。
「「エェェェェェェーーー!!!」」
外野が五月蝿い。
どうやら、フロアーボス部屋の外で観戦してた『氷の貴公子』の面々が騒いでいるようだ。
というか、コレで良かったのか?
俺、普通に倒しただけなのに。
決して、魔法変換させて、相手に風穴開けたり、剣ごと腕を斬り落としたり、ましてや、経絡秘孔突きで!相手をヒデブーさせてないのである。
「あの……リザードンキングを一撃で……」
氷剣のアレックスが、ワナワナ震えてるし。
まあ、俺達の実力としては、こんなもんでしょ。
だって、俺達には、どう考えてもプラチナ級のナナミさんも居るんだし。
最初に、ナナミさんがリザードマンメイジの奇襲攻撃を跳ね返して、しかも、逆にやっつけちゃった所で勝負あったのだ。
「占い師さん……こんなに凄かったの……」
「『銀のカスタネット』団長……ちょっと聞いた事無かったので、舐めてたが侮れんな……」
だけど、そんな風に思ってるのは、どうやらトトだけだったようだ。
少なくとも、『氷の貴公子』の面々は、倒す事は不可能と思われていた、リザードマンキングを、トトが、たった一撃で倒してしまった事に、衝撃を受けていたようだった。
ーーー
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