第71話 トランペット冒険者ギルドに帰還
俺とサクラ姫とアマンダさんは、現在、塔のダンジョンに通っている。
サクラ姫のレベルを上げて、銀級冒険者にする為なのだけど、レベル上げが面白過ぎて、もう2週間近く、塔のダンジョンに居座っているのだ。
その為、俺はLv.25、アマンダさんはLv.27、そして、サクラ姫はLv.19になった。
サクラ姫なんて、俺が最初に塔のダンジョンに来た時よりレベルが高くなってるし。
でもって、今は62階層を攻略してる。
62階層の攻略をしてるのは、金級以上の冒険者だけ。間違っても銅級のサクラ姫は訪れてはダメな階層だったりする。
でも、サクラ姫って、もう実際は銀級上位の実力があると思うんだよね。
俺達、サクラ姫を姫プレイでガンガンレベルを上げさせたし。
実際、30階層程度に居る魔物ならサクラ姫はソロで倒しちゃうのである。
というか、サクラ姫って、とても目がいいんだよね。
銅級冒険者試験でも、スライムの生き〆で倒してたし、得物もいつの間にかレイピアに変えてるし。
そのレイピアで、魔物の魔核を一突きで倒すのが、サクラ姫の必殺技みたい。
デッカイ魔物は、目とか、なんか分からないが経絡秘孔?とかなんかを確実に突いて、魔物にダメージを与えていくし。
たまにサクラ姫が魔物をレイピアで突くと、魔物が突然止まったり、震え出したり、はたまた爆発したりするんだよね。
本当に、どんな理屈で爆発するのだろう。
俺には、サッパリ訳が分からない。
兎に角、サクラ姫は経絡秘孔尽きのレイピア使いに成長したのだ。
これで、サクラ姫もある程度戦力になる。
てな訳で、俺達はどんどんダンジョンの攻略を進める。
最早、レベル上げじゃなくて、塔のダンジョンの攻略の方にのめり込んでしまっているのだ。
本当に、冒険者って楽しいよね。
俺は、こんな心躍るワクワクする冒険がしたかったのだ。
「サクラ! そっち言ったぞ!」
「任せるのです!」
ブスッ!
ひでぶー!!
また、魔物がグロテスクに爆発した。
サクラ姫は、返り血を浴びてベチョベチョ。
これは、一度、パーティーハウスに戻って着替えた方が良いかもしれない。
サクラ姫の魔物を爆破する技は、物凄い威力なのだが、至近距離で魔物を爆破させちゃうので、毎回、サクラ姫が血だらけになってしまうのである。
「冒険者なら、これくらい何とも無いのです!
それより、一度、トランペット城塞都市の冒険者ギルドに戻ってみませんか?
私も、そろそろ銀級冒険者になりたいので」
サクラ姫が提案してくる。
姫様が血だらけなのは、物凄く問題あるように思うのだが、サクラ姫は意に介さず。
本当に、もう、姫様じゃなくて、冒険者の感覚になってるようである。
「じゃあ、銀級になっとくか?」
「ウン!」
サクラ姫は、嬉しそうに返事をした。
最近、カスタネット子爵家の本妻としてお姉さんぶってたが、こういう時に、子供ぽさが出てしまうのが本当に可愛らしい。
「あっ! そしたら私も金級に上がっとく!
もうバーサーカー化しなくても、普通に金級の実力有ると思うし!」
どうやら、アマンダさんも金級に上げたいようだ。
俺も、本当はプラチナに上がりたいけど、中々、試験を手伝ってくれるプラチナ冒険者って居ないんだよね。
もしかしたら、たくさんプラチナ冒険者が増えるとプラチナ冒険者の価値が無くなるので、試験官をやりたがらないだけかもしれない。
てな訳で、俺達はトランペット城塞都市の冒険者ギルドに行ったのだが、案の定、
「ウオォォーー! あのお嬢ちゃん、血だらけじゃねーか! 大丈夫なのかよ!」
そりぁあ、そうなるよね。だってサクラ姫、頭からつま先まで血だらけだし。
魔物の返り血なのか、自分の血なのか、見た目だけでは全く分からない状況だし。
だけれども、サクラ姫は平気な顔をして、王族らしく堂々と歩いてるもんだから、暫くするとサクラ姫に掛かってる血は、全て返り血だと理解するのである。
そして、冒険者カウンターに着くと、
「本当に心配したんですよ!アナタ達が、塔のダンジョンに行った後、2週間以上も帰って来ないから、私、もうアナタ達が死んじゃったと思って……私、アナタ達に塔のダンジョンを勧めちゃったから、責任感じて……」
前に冒険者ギルドに来た時に受付けしてくれた受付け嬢だったのか、俺達はイキナリ泣かれてしまう。
まあ、塔のダンジョンに2週間も潜ってたら、そりゃあ心配するよね。
俺達、野営の道具とか全く持ってないように見えるし、まあ、誰も、俺達が魔法の収納鞄を持ってる事や、どこでも扉を持ってる事知らないし。
俺達は、毎日、夕方にはパーティーハウスに帰って、お風呂に入って、継母のご飯を食べて、ぐっすり眠って、休養もしっかり取れてたんだけど、そんな事は、目の前の受付け嬢は全く分からないのだ。
ただ分かる事と言えば、サクラ姫が全身返り血で血だらけになってる事だけ。
多分、受付け嬢は、俺達が相当な修羅場を生き延びて、やっとの想いで、ここまで戻って来たと思ってるに違いない。
「まあ、兎に角、帰って来たから! そして、今から、この子と、アマンダさんの冒険者試験を受けるからね!」
俺は、カウンターの上に、ドン! と、金貨袋を置いてやったのだ。
「エッ! 今から、塔のダンジョンから帰って来たばかりなのに?
休憩も、食事も、疲れも取らずに、冒険者試験?! どんだけ命知らずなの!!」
まあ、そうなるよね。知ってたよ。
俺も、ただ驚かしたかっただけだし。
やっぱり、冒険者って、ワイルドと思われてなんぼだから。
ーーー
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