第41話 銀のカスタネット
なんか、『銀のカスタネット』が、俺のハーレム冒険者パーティーになってしまったのは置いといて、
ナナミさんが権蔵爺さんの店に居たのは理由があり、ナナミさんは、アマンダさんのビキニアーマーの採寸をする為に、たまたま権蔵爺さんに店に呼ばれてたようであった。
男の権蔵爺さんが、アマンダさんの体を採寸する訳にはいかないからね。
「そうかそうか! みんなこやつの女房になるのか! そりゃあ、めでたいな!」
やっぱり、権蔵爺さんもズレてる。
多分、自分が気に入った人物が、違う人にも認められる事が、とても嬉しいのかもしれない。
基本、権蔵爺さんが気に入った人って、辻斬りの殺人鬼とか、普通の人に受け入れられない人の方が多いからね……
たまに、俺みたいにみんなに、ちゃんと受け入れられると、とても嬉しくなっちゃうのだろう。
そんな話は置いといて、俺は、久しぶりに王都の外に出たいのだ!
アマンダさんとナナミさんを探してたのも、それが理由だし。
もう、王都内のクエストなど飽き飽き。
俺が冒険者になった理由って、世界中を旅してみたいってのが、理由だからね。
最終的には、王様にサクラ姫を連れ回すのを認めさせて、サクラ姫と一緒に世界中を旅するのだ。
まあ、全てはプラチナ冒険者になってからの話なんだけどね。
俺は、王様が絶対に駄目だと言っても、出で行く腹積もりである。
自分勝手? なんとでも言ってくれ。俺は、サクラ姫の面倒は絶対に見るし。やるべき事はやる。
まあ、俺のせいでサクラ姫が死んでしまったら目覚めも悪いし。俺は冒険者だから一度請け負った仕事は絶対に守るのだ。
それこそが、冒険者としての矜恃。
王様には、サクラ姫の面倒をみる事は約束したが、俺が王都に留まる事は了承した覚えはないからね。
俺の、世界を旅したいという冒険への熱い気持ちは、例え、この国を統べる王様にも押さえ付ける事など出来ないのである。
そんな訳で、既にビキニアーマーの採寸を終えていたアマンダさんと、ナナミさんも引き連れて、俺は、ついに王都の外に出たのである。
「トト君? 今日は何のクエストを受けたの?」
王都の外に出ると、アマンダさんが訪ねてくる。
ウン。俺って、何のクエストも受けてなかった。
アマンダさんとナナミさんが、冒険者ギルドに居なかったから、そのまま探しに出掛けてしまってたのである。
「ええと……常に受付けてる薬草採取や、スライム、ゴブリン狩りとか受けてみようかと思って……」
「ん? それって、鉄級や銅級がやるクエストで、決して、金級のトト君がやるようなクエストじゃないと思うのだけど?」
アマンダさんが、最もな事を言っている。
「トトは、基本を大事にしてるのよ!この『銀のカスタネット』では、家長であるトトの意見が絶対なの!」
何故か、サクラ姫が怒りだした。
というか、家長?団長じゃなくて?
もう、サクラ姫は、『銀のカスタネット』を、カスタネット子爵家による冒険者パーティーと思ってるようだ。
「なるほど。家長ね。確かに、これはトト君の妾の立場としては従わないといけないわね!」
何故か、アマンダさんは納得しちゃってるし。
というか、アマンダさんは貴族というものに憧れていて、貴族の家長の命令は絶対だと思いこんでしまっているように思われる。
完全に、うちの父親のような古き良き武士道じゃなくて、騎士道に憧れを抱いてしまってるようだ。凄い勘違いだと思うけど。
「僕も、君を認めてるから従う」
ナナミさんは、やはり権蔵爺さんの血を色濃く引き継いでしまってるようだ。
一度、自分が認めた者には、とことん甘い性格のようだ。
「それから、トト君。これからは私の事はアマンダと呼び捨てでいいから!
トト君は、カスタネット子爵家の家長なんだから、妾に対しては呼び捨てに呼ぶべき!
その方が、私も興奮するから!」
アマンダさん、興奮するって、どんなプレイなんだよ。貴族の妾になって、家長に呼び捨てに呼ばれたいって……
「僕も呼び捨てでいい。それから君の事は、これから我が主と呼んでいい?」
ナナミさんまで、おかしな事を言い出した。
「それは、ちょっと」
「じゃあ、おっととトト君と呼ぶ事にする」
「我が主でいいですから!それから、振り幅デカ!」
何で、我が主から、突然、おっととトト君になる?夫と、おっとと!と、トト君を掛けてるのか?本当に、どんな頭の思考をしてるのだろう。
取り敢えず、俺はこれからはみんな、呼びすてで呼ぼう。俺の冒険者のイメージって、そんな感じだし。イザという時、さん付けだとワンテンポ遅れて敵に攻撃を受けてしまうかもしれないし。
それに、いつも人が居る時と居ない時で、サクラ姫とか、サクラとか呼んでると間違えちゃうからね!
てな訳で、
「サクラ、アマンダ、ナナミさん! スライム退治に出掛けるぞ!」
ナナミさんだけは、やはり相当な歳上だから、さん付けになってしまった。
「ハイ!」
「了解!」
「ウン」
こうして、色々の伝説を産むこととなる、俺達『銀のカスタネット』の活動が始まったのである。
ーーー
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