第35話 魔法使いナナミ
俺は晴れて銀級冒険者となった。
ついでに、俺とサクラ姫とアマンダさんが冒険者パーティーを組んだ事を、冒険者ギルドに言って、登録して貰う事とした。
そして、その冒険者パーティーの名前は、『銀のカスタネット』!
本当に意味が分からない。銀のカスタネットって、どんな音色がするのだ?カチカチ金属音がするだけだろ……
まあ、サクラ姫が決めたのだが、マール王族の特徴である銀髪と、俺の家名のカスタネットを合体させただけの単純な名前だったりする。
そんでもって、アマンダさんが、
『うん。その名前、カスタネット子爵家の特徴を強調してて、とてもイイわね!』
とか言うもんだから、速攻で決まってしまったのだ。
アマンダさんは、自分がカスタネット子爵家の妾になった事を、何故かホント喜んでいるのだ。
どうやら、お貴族様になる事に憧れを持ってたのかもしれない。
まあ、喜んでくれるのは嬉しいのだけど。なんだか変な感じ。
早速、家紋を入れたビキニアーマーを新調しなきゃとか、訳の分かんない事言ってたし……
家紋って、もしかして銀のカスタネットじゃないよね……
サクラ姫も、『銀のカスタネット』を家紋にする為に、ギルドパーティーの名前にしたのか?
まあ、家紋って、家の特徴をモチーフにするから、元々のカスタネット家の家紋に、王家の人間の特徴である銀髪を組み合わせる事は、正当なやり方と言えば、正当なんだけど。
なんか知らんが、アマンダさんはカスタネット子爵家の家紋のモチーフを、セッセと紙に書いてデザインし始めてるし。
それを見て、サクラ姫も、
『う~ん……ここをこうしたら、もっと威厳がある家紋になるんじゃないかな?』
とか、やっぱり、カスタネット子爵家の家紋で間違いなかったみたい……
まあ、2人で仲良くやってるので、うちの実家みたいに、本妻と妾が仲が悪くなる事はなさそうだから、安心なのだけど。
そうこうしてるうちに、図案が完成して、アマンダさんは喜び勇んで、防具屋に行ってしまった。
もう、完全にカスタネット子爵家の人間になったと思い込んでるようだ。
俺は多分、こんな感じでアマンダさんに外枠を埋められいって、正式に結婚する羽目になってしまうのだろう。
まあ、実を言うと、それはいいんだけど。
だってアマンダさんって、可愛くてエロくて、喋り易いし。
やはり、俺も貴族になったんだから、やはり、妾の1人や2人は必要でしょ!
貧乏貴族だった親父にも、俺の母親みたいな妾がいた訳だしね!
でもって、俺はアマンダさんが居なくなってもやる事は変わらない。
俺は再び、冒険者ギルドカウンターに行き、金貨30枚。30万マールを、デン!と、カウンターに置く!
「もしかしてトトさん……まさか、今から金級の冒険者試験を受ける気ですか!」
「そうだが!」
受け付けのお姉さんが、俺の有り得ない所業にビビっている。
しょうがないじゃん。俺、速くプラチナ冒険者になりたいんだもん。
「もう、止めはしませんよ! 二つ名狂戦士のアマンダさんを倒したんですから!
それじゃあ、今、丁度、冒険者試験を手伝ってくれそうな金級冒険者の方が居ますから、冒険者試験を手伝ってくれるように頼んできますね!」
受け付けのお姉さんは、すぐに、その金級冒険者に話し掛けに行き交渉してくれる。
なんか、その金級冒険者はOKしてくれたようだ。
何故なら、受け付け嬢が、その魔法使いの三角帽子を被った小柄な少女を連れてきたから。
「この方は、金級冒険者で魔法使いのナナミさんです。 一応、魔法使いですが近接攻撃も盾役も得意としてる、オールラウンダーですね」
受け付け嬢のお姉さんが、ナナミさん?の戦闘スタイルを教えてくれる。というか、子供にしか見えないのに、本当に金級冒険者?
しかも、魔法も、攻撃役も、盾役も出来るって、華奢な子供にしか見えないナナミさんに出来るとは思えない。
「アッ? 僕の事、今、疑ったでしょ! 子供なのに、本当に金級冒険者なのかって!」
なんか、ナナミさん?が、プンプンに怒ってる。
「アッ! トトさん、安心して下さい! ナナミさんは、こう見えて大人の女性ですから!ただ、種族的に小さいだけですから!
因みに、なんの種族かというとドワーフ族で、本当に力持ちなんです!
そのどう見ても杖に見える棍棒で、敵を殴り殺したり、敵を弾いて盾役も軽くこなしちゃうんですよ!」
まさかのナナミさんは、ドワーフであったようだ。しかも、僕っ子。
「フフフフフ! 僕、本当に強いんだから!
だから、トト君と言ったかな? 君は、絶対に金級冒険者にはなれないのだよ!
君が払った試験料は、全て、私の酒代に化けちゃうのだー!!」
僕っ子のナナミさんは、無い胸を張りふんぞり返る。
やはり、女冒険者の間では、エッヘン!と胸を張るのが流行ってるようだ。
まあ、だけれども、俺は、全く負ける気など無いのだけど。
俺も、力勝負なら全く負ける気ないし、ただ手で何かを握った時、限定だけど。
だけれども心配な事もある。俺ってまだ、魔法攻撃を受けた事が一度もないんだよね……
それが、唯一の心配な事なんだけど、まあ、なんとかなるっしょ!
その油断が、トトの敗因になってしまうとは、この時のトトには、全く気付けない事であったのだ。
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