第25話 モブルート、モブに成り果てる

 

「お前、俺の事言ってんのか!」


 なんか、やはり三男坊だったのか?モブルートが反応した。


 俺は、取り敢えず無視。無視しとけば、俺がモブルートに対して言った言葉とは思われないと思うし。


 別に、冒険者試験を受けてる貴族の三男坊は、俺と、モブルートだけという訳ではなさそうだしね。結構、受験者居るし。


「おい! 無視してんじゃねーよ! このロリコン野郎!」


 ん?コレは最早、俺を名指しでディスって来てる気が?

 子供連れの男子って、俺だけだし。


 とは、言っても、俺もまだ13歳で子供だから、やっぱり俺の事ではないと思おう。


「テメー舐めてんのか?!」


 モブルートが、ブチ切れて、とうとう俺の前に立ちはだかった。


 舐めてるのは、モブルートの方だと思うのだが、だって、今は試験中だし。

 こんな事したら試験官のオッサンに怒られちゃうと思うのだが……

 まあ、貴族の子息であるモブルートは、冒険者になっても、未だに、貴族の選民意識が消えていなのなもしれない。


 貴族の息子であっても、爵位を継げなければ、ただの一般庶民なのに、本当にアホだ。


 そして、俺は既に、貧乏貴族の三男坊であっても、王様から直接、爵位を賜った正真正銘の子爵様なのだ。このアホなモブルート的考えなら、既に本物の貴族である俺に、こんな舐めた態度取って良い筈ないのだが、本当、知らないって恐ろしい。


 ここは敢えて、そのモブルートの考えに合わせる事にする。

 即ち、貴族は、庶民に無礼を働いても良いという選民思想の考え。


 俺は、お貴族様だから、貴族の三男で、絶対に爵位の継げないモブルートに、何をしても良いのだ。だって、俺の方が偉いんだし。


「クックックックッ。貴族の三男坊風情が、さっきから何を調子に乗ってるんだ?

 俺って、既に爵位を持ってる子爵なんだよね!

 あの、モブルートさんだっけ?まあ、爵位継げない三男なら庶民になっちゃう訳だし、例え年上であっても、もう、呼びすてでいいよね。

 ヤイ! モブルート! そこ、邪魔だから!そこに居ると手が滑って、思わず斬り裂いちゃうかもしれないぞ!」


 俺は、腰に差してた5000万する大業物、十一文字権蔵を、これみよがしに、スラリと抜く。


「エッ! 嘘だろ?! まだ子供なのに、子爵様?!」


 モブルートは、俺の5000万もする十一文字権蔵より、子爵という言葉に反応した。

 もしかしたら、モブルートの家は、子爵より下の爵位だったのかもしれない。


 それなら、ことの他、都合が良い。

 モブルート的、選民思想なら、地位が高い者は、地位に低い者に対して何をしても良い筈。

 なので、俺がモブルートに何をしても許されちゃうって事だもんね!


「あの? 邪魔って言わなかった?俺の目の前に居たら、あやまって事故が起きちゃうかもしれませんよ?

 まだ、試験中だというのに、試験会場に飛び出してきた、もう試験が終わった筈の部外者を、誤って斬って殺しちゃっても、それは単なる事故で、僕の責任ではありませんよね? ね! 試験官さん」


 俺は、殺気を漲らせたまま、モブルートから目を逸らさず、試験官のオッサンに質問する。


「ああ。試験中の事故だからな。ましてや、試験が終わった受験者が、故意に、受験者を邪魔してモンスターと試験者の前に飛び出した訳だから、全く罪は問われない!」


 なんか、試験官のオッサンは、とても嬉しそうに答えてくれた。


「まあ、そういう訳なので、爵位を継げなくて庶民になっちゃうモブルートさん! サヨウナラ!」


 現在の俺は、剣を持てば剣豪になれてしまう『握手』スキルが発動している。

 なので、俺の目の前にいるモブルートは、どうやらとんでもないプレッシャーに晒されてしまってるのか、腰が抜けて逃げ出す事が出来ないでいる。


 俺としては、ここで逃げて欲しかったのだが、仕方が無い。俺はモブルートに向かって、剣を振り下ろした。

 当てるつもりは、更々無いが、少々痛い目にはあってもらう。


 無駄に、『握手』スキルの派生スキル、剣を握ると剣豪になってしまうスキルを最大限に発揮し、ズボンとパンツのスレスレ。チ〇コの皮、薄皮一枚を狙って、ストンと軽く振り下ろしてやったのだ。


 まあ、手元が狂って、スパンとチ〇コを切り落としちゃっても、しょうが無いよね!

 だって、モブルートは爵位が継げない庶民で、俺はモブルートが言うところのお貴族様だから。


 モブルートのチ〇コを切り落としても、間違いなく不問となるだろう。


「ギャアアアアーー! 止めてぇーー!」


 モブルートは、余りの恐怖だったのか、叫びながら脱糞して、オシッコまで漏らしてしまった。

 そして、パンツまで、俺が斬り裂いちゃってたから、もう分かるよね。


 腰が抜けた状態で、這った状態で逃げたら、その場にウ〇コがポロリ。

 冒険者は、舐められたら終わりの職業。


「アッハッハッハッハッ! あの貴族のオッチャン!大人の癖に、ウ〇コ漏らしてる!」


 試験を受けていた孤児の子供達にも、笑われる始末。

 もう、これじゃあ、恥ずかし過ぎて、冒険者やれないよね。


 銅級に上がる冒険者試験で、脱糞したモブルートって、有名になっちゃったし!


 二つ名、脱糞のモブルートって、まあ、銅級で二つ名持ちになるって、多分、王都冒険者ギルド史上初めての偉業だろう。


 俺だったら、恥ずかし過ぎて冒険者止めるレベル。


 ん? 俺が原因じゃないかって?


 まあ、最初に俺に喧嘩を売ってきたのは、モブルートだったし、モブルートの理論だと、正真正銘の貴族の俺が、貴族の三男で、爵位を継げないモブルートに何をしても良い筈なので、問題無いだろう。


 兎に角、モブルートが漏らしたウ〇コがあまりに臭過ぎて、試験が30分ほど中断されてしまったのは仕方が無い話。


 ん? 俺の試験の結果は?


 そりゃあ、問題なく合格でしょ!


 ーーー


 面白かったら、フォロー、☆☆☆押してね!

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る