第26話 エロビキニアーマーの女

 

 俺は、次の日、改めて銀級冒険者試験を受けに冒険者ギルドに訪れた。


 ん?銅級になった次の日に、すぐに銀級の試験を受けれるのかって?


 そんなの金さえあれば受けれるのさ。

 世の中、大体、お金で解決できるもんだし。

 冒険者試験って、金さえ払えば幾らでも試験が受けられるシステムなのである。

 まあ、受かるか受からないかは、別の話なんだけど。


 兎に角、冒険者ギルドは、進級試験もギルドの売上の足しにしようとする考えなのは、確かな事であるようだ。


「頼もう!銀級になる冒険者試験を受けさせてくれ!」


 俺は、受付けカウンターに、マール金貨10枚。10万マールを、ドン!と、置く。


「エッ!昨日、銅級冒険者に進級したばかりで、もうですか?もう少し銅級で実力を付けてからでも、遅くはないような気が……

 試験料もバカになりませんし、せめて、銀級下位の人達が居る時に受けられた方が、進級できる確率も、ぐ~んと、上がるのですが……」


 受け付けのお姉さんが、心配して教えてくれる。

 銀級の試験って、実を言うと、誰か銀級冒険者と試合をして勝てれば、進級するシステムなんだよね。


 だから、誰もが、銀級の中でも最弱の弱い冒険者と戦いたがる。

 そして、試験を受け持つ銀級冒険者も、試験官に名乗りを上げると、試験料の約3分の1が貰えシステムになってるのだ。特に銀級でも稼げない者は、喜んで試験官を買ってくれる。


 だって、試験時間って、大体、30分以内で終わるし、それだけの時間で銀級試験だと3万5000マールを貰えるって、とても美味しい仕事だし。


 そして、今現在、銅級冒険者にとって人気の試験官。

 まあ、いわゆる、銀級最弱と言われてる人が、他のクエストで出払ってて、たまたま冒険者ギルドに居なかったようであるのだ。


 しかも、悪い事に、2番手も、3番手も、4番手も、5番手もいない。


 現在、銀級冒険者が受けれるクエストの中で、一番ドル箱のクエストだと言われてる季節限定のクエストの真っ最中。

 田畑を荒らす、大量発生した巨大イナゴ退治するクエストの真っ最中で、殆どの銀級冒険者は、巨大イナゴが発生してる田畑のある街に遠征してて出払っているらしい。


 でもって、冒険者ギルドに居るのは、殆ど、金級を狙うような銀級でも上位の冒険者しか残っていなかったのである。


 銀級の上位ともなると、イナゴ退治より、もっと稼ぎの良いクエストが受けられるからね。


「全く問題ない。俺は、誰とだって試験を受ける用意がある!」


 俺は、堂々と胸を張って言う。


「私も太鼓判を押すわ! トトは、本当に凄いんだから!」


「はあ……」


 そりゃあ、受付けのお姉さんも、『はあ……』て、なるよね。

 つい最近冒険者になったばかりの、スキルも授かってない8歳の女の子が太鼓判を押しても。


 まあ、普通の8歳児にしては、王族なので少し大人びては居るが、所詮は、8歳は8歳なのだ。

 そんな子が太鼓判を押しても、大人は困惑するしかないよね。


「別に金を払うからいいだろ?俺って、結構、副業の手相占いで稼いでるから、これぐらいのお金、どうって事ないし!

 それより、早く銀級冒険者になる事の方が、俺にとっては重要な事なんだよ!」


 そう、俺は、とっととプラチナ冒険者になりたいのだ!


 プラチナ冒険者になってしまえば、流石に、弱くて危ないからという理由で、王都の外には行くな!と、王様も言えなくなると思うし。


 まあ、危ないダンジョンには行くなとは言われると思うけど、王都近郊なら、外に出ても良いと言われるかもしれないしね!


 王様も、この国でも数名しか居ないプラチナ冒険者が護衛騎士なら、サクラ姫が王都の外に出てもいいと言ってくれる筈!

 もう、俺は、そうだと思い込んでいるし、思い込んでないとやってられないし。


 俺は、それでも王様がダメだと言ったら、実をいうとサクラ姫を攫ってでも王都を出る覚悟が出来ているのだ。

 サクラ姫も、俺を好いてくれてるみたいだから、喜んで着いてくるしょ!


 俺は、剣を持てば剣豪になれる『握手』スキルの派生スキルを得た時点で、俺の子供の頃からの夢。まだ、13歳だから子供と言えば、子供なんだけど、冒険者になって世界を旅するという夢を抑える事が出来なくなっているのだ!


「本当に、知らないですよ!」


「ああ! 頼む!」


 受付のお姉さんの念押しに対して、俺は力強く胸を張って答える。剣を握れば剣豪になれる派生スキルを持ってる俺に、死角などないのだ。


「それでは、誰か、トト君の銀級試験を手伝ってくれる銀級冒険者の方はおられますか?」


 受付けのお姉さんは、冒険者ギルドに併設されてる食事処兼、飲み屋でたむろしてる暇そうな冒険者達に声を掛ける。


「は~い! 私がやってあげるわ!その子には、ちょっと興味があったのよね!」


 手を挙げてくれたのは、銀級冒険者の中でも上位に位置する戦士のお姉さん。

 ビキニアーマーというエロい鎧を装備してるイケイケのお姉さんである。


 俺も、初めて、そのお姉さんを目撃した時、そのあまりのエロさに、思わず股間のテントが張ってしまった程のナイスプロポーションのお姉さんだ。


 健康的なのにエロいって、しかも顔も可愛らしい顔をしてるので、マール王都冒険者ギルドでも、とても有名で人気がある一人だったりする。


「お願いします!」


 俺は、思わず股間のテントが張ってしまったのを隠す為に、深々とお辞儀をする。

 可愛くてエロい格好してる人を目の前にしてるのに、意識しないってのは無理って話だもんね。


「頼まれました! アナタには、昔から興味があったのよね! まだ、アナタがカスタネット領に居る頃からね! 個人的にも、私の頼みごと相談したいしね!」


 エロいお姉さんは、俺にウインクしてくる。

 どうやら、ビキニアーマーのエロいお姉さんは、俺に何やら相談事もあるようだ。


 カスタネット領に居た頃から、俺の事を知ってたとなると、占い師としての俺に相談したい事があるのだろう。


 それとも、実は、占い師としての俺の熱烈なファンかもしれない。(可愛いくてエロい年上のお姉さんにウインクされて、トトは、思いのほか舞い上がって、勘違いしてしまっている)


 もしかしてエロい相談事だったらどうしようと、試験前だというのに、まだ童貞であるトトは、何故だか、股間も不安も大きく膨らんでしまうのであった。


 ーーー


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