第23話 鉄級クエスト

 

 俺とサクラ姫は、晴れて鉄級冒険者になる事ができた。


 だがしかし、鉄級では限られたクエストしか受けれない。

 薬草採取や、野ウサギの狩り、落し物探しや、迷子の捜索。後、ゴブリン討伐なんか。


 俺に至っては、王都の外に出れないので、落し物探しや、迷子の捜索程度しかクエスト出来なかったりする。


 とはいえ、意外と王都内でできるクエストって、たくさん有るんだよね。

 王都って大きいし、人もたくさん住んでいるし。


 クエストが張ってる掲示板を見ると、お手伝い系のクエストが、わんさか載っているのだ。


 王都でのクエストは、世界を旅するという俺の目的からは逸脱するんだけど、如何せん。冒険者って、銅級からやっと、冒険者と認められるのだ。


 そして、ある程度鉄級の依頼を受けると、冒険者試験なるものが受けられる。


 これは、冒険者なら誰でも受けられ制度で、自分の階級を上げたい場合に受ける制度。


 鉄級だと、まだ半人前扱いなので、ある程度実績を積まないと受けれないけど、銅級からは自由に試験が受けられる。


 まあ、自由と言ってもお金が居るんだけど。

 ある程度、稼げると判断された者だけが受ける資格があるという訳。

 だって、鉄級から、銅級に上がる為の試験は、タダだけど、銅級から、銀級に上がる為の試験を受ける為には、10万マールも必要なのだ。そして、銀級から金級に上がる試験を受けるのには30万マール。そして、金級からプラチナに上がる試験は、ぐ~んと金額がアップして、500万マール。


 プラチナになる為には、実力だけでなく、金も必要なのである。全ては金の力かよ!って、本当に、世知辛い世の中だよね。


 まあ、プラチナの試験を受けれるような冒険者は、金級でも上位の冒険者で稼ぎもいいから、案外、余裕で受けれるという仕組みなのだけど。


 要は、冒険者は実力主義。金が稼げる奴が正義という訳である。


 てな訳で、俺達は、取り敢えず、実績を積まなければならない。

 鉄級から銅級に上がる為の試験は、唯一、お金の力で受ける事が出来ない試験なのである。


 兎に角、銅級の試験を受ける為には、鉄級のクエストを30回成し遂げる事。


 俺とサクラ姫は、王都内で完了するクエストを次々に受けて行く。


 だけどね。お姫様が、お掃除クエストって、なんだかシュール。


 サクラ姫はホウキの持ち方も知らないし。またがって空を飛ぼうとした時は、本当に、どうやって掃除する気なのかと思ったよ。


 まあ、普通に家のお掃除クエストだけなら良かったのだけど、トイレ掃除(トイレに溜まった糞尿を、街の公共施設に運ぶ仕事)や、馬小屋の掃除(馬の糞尿を処理して綺麗にする仕事)など、お姫様が糞尿だらけになって仕事したもんだから、遠くから見守ってた護衛の人達が、俺に対して、サクラ姫になんて事させてるんだと殺気を飛ばしてたし。


 コレって、やっぱり俺のせい?

 まあ、冒険者一緒にやろう!て、確かに言ったけど、今は、サクラ姫の方がノリノリなんだけど。


 それを置いといて、俺の『握手』スキルは役に立つ。

 派生スキルである、どんなものでも握ろうと思えば、握れてしまうスキルてのが有るのだけど、握る対象を見て握ろうと思えば、何でも握れてしまうのだ。


 例えば、迷い犬。発見してから捕まえようと思った瞬間に、俺は何故か、犬の手を握ってるのだ。犬のほうもビビるよね。

 俺もビビるし。絶対に俺、瞬間移動してるし。


 だから俺って、見えてる範囲なら瞬間移動出来ちゃう訳よ。コレって、物凄い派生スキルだよね。


 こんな感じで、俺とサクラ姫は物凄い勢いで鉄級のクエストをこなして行き、ついに銅級の試験を受ける事ができる30回のクエストを、成し遂げたのであった。


 因みに、たった2日間で、銅級に上がる為のクエスト30回をこなしたのは、俺とサクラ姫だけだったらしい。

 まあ、俺って、力仕事系の重い荷物を運ぶ仕事とか、『握手』スキルによって重さが感じないんだよね。握ったモノの重さを感じなくなる派生スキルとか持ってるから。


 しかも、サクラ姫を隠れて護衛してる人達を、俺の見える範囲に等間隔で配置してもらって、瞬間移動するから、クエストをこなすのが早い早い。


 それにより王都で、突然、人が消える怪事件が多発したのは、また、別の話。


 ーーー


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