第4話 妹天使リーナ
手相占いを続けていたら、次々と新たな『握手』スキルが覚醒してくる。
もう、本当。ウッヒョー!だし、全然『握手』スキルは、ハズレスキルじゃないし。
本当に誰だよ?『握手』スキルが、外れスキルなんて言った奴。
アッ……多分、親父か……
絶対に、家の為には利用させないし、稼いだ金も渡さんからな!
で、それは置いといて、新たに得た能力の説明。
どんな重い物も持ち上げられる能力や、どんな扉も開けられちゃう能力。それからHPを人から奪う能力。MPを人から奪う能力。自分のHPを人に与える能力。MPを与える能力。
基本、全ての能力が、握手の動きをすると発現する能力である。
そして、Lv.35にして、ついに発現した能力が、癒し手の能力。握手した人の怪我や病気を治す能力。これって、最早、聖女様の能力と同じなんだよね。自分に使う時は、自分のステータスを見る時と同様、右手と左手を握るだけでOK!
これで、カークに理不尽に殴られても、簡単に治す事ができちゃう。
しかも、最近は、手相占いにも、新たに得られた能力を利用し、ちょっと疲れてるような人には、自分のHPを分け与えてみたり、元気が有り余ってそうな人からは、少しだけHPを奪ってみたり、家事で手が荒れてるなと思う、主婦なんかの手を、癒し手の能力で少しだけ治してあげたりしてたら、なんか、想像以上に手相占いの人気が出てきちゃって、王都からも噂を聞きつけて、お客さんが、たくさん来るようになってしまった。
王都って、カスタネット準男爵領から、歩いて来ると3日間もかかるというのに、本当に、女の人って占い好きだよね。
まあ、目に見えて手荒れが治ったり、顔のニキビが治ったりしたら、そりゃあ、お客も来るか。
まだ、骨折の治療とか、目立ち過ぎる治療はしてないけど、なんか癒し手の能力は、聖女様と同等の力がありそうなので、骨折でも、体の欠損でも、伝染病でも、お腹を斬られ腹わたが飛び出てたとしても、死んでなかったら、何でも治せちゃうみたい。
今、気を付けるのは、兎に角、目立ち過ぎない事。
俺の『握手』スキルは、どうやら規格外の力ぽいから、変な奴らに目を付けられたら、攫われて監禁されちゃう可能性もあるからね。
そんなの嫌だし、小金を稼げて、少しだけ良い暮らしが出来るくらいで、俺は大満足なのだ。
もう、実家を出る準備は着々と進んでるし、街に部屋も借りてたりする。
今は、どんな理由で、家を出て行くか考えてる所。
家の中で、もうビクビクしてないし、継母に、逆にいびられたいぐらい。
ブチ切れて、「もう、出てってやる!」て、言ってやって、早く家を出たいしね!
でも、そんな事を思うようになってから、逆に、全く、継母にいびられなくなっている。
多分、俺が街で結構稼いでるのを知ってそう。継母も、一応、女子だから占いが好きなのであろう。
妹のリーナも、事ある毎に、「手相占いして!」て、オネダリしてくるしね。
で、俺も、可愛い妹の手相見てあげちゃうんだよね。
で、妹リーナのステータスがコレ。
名前: リーナ・カスタネット
年齢: 8歳
職業: カスタネット準男爵家長女
大好きな人: トト・カスタネット
大嫌いな人: カーク・カスタネット
趣味: 三男トト・カスタネットの観察
HP: 20
MP: 45
なんか、妹リーナは、俺の事が大好きらしい。しかも、趣味が俺の観察。
俺の事を、やたらと見てくる理由が、これで分かった。
俺が、井戸掘りしてる時も、ずっと井戸の上から覗いてたしね。
ちょっと、ストーカーぽいけど、妹なので、ギリセーフでしょ。
リーナは、天使のように可愛いいのだ。
透明感のある白い肌に、サラサラのホワイトブロンドの髪。どうやったら無骨な父親と、性格が悪い継母から生まれたのか分からない。
まあ、ホワイトブロンドの髪の色は、継母に似たのだと思うけど。
「お前、ちょっと手が荒れてないか?」
俺は、リーナの手が少し荒れているのに気付く、というか、手の平にマメまで出来てるし。
「お兄ちゃんが居ない間、代わりに井戸を掘ってみたの」
「え? リーナが井戸を掘ってたのか?」
「うん! 私、井戸掘り得意なんだよ!ずっと、お兄ちゃんが掘ってたの見てたから」
「得意だからって、女の子が井戸掘りするもんじゃないだろ?」
「だって、お兄ちゃんが井戸を掘らないと、お兄ちゃんが、お母さんに怒られちゃうでしょ?」
ウオォーー!!俺の妹は、なんて優しくて、兄思いなんだ?あの意地悪な継母や、性格悪い長男カークの妹だとは、到底思えない。
「リーナ、もう、井戸掘りなんかしなくていいからな!知ってるだろ?俺が、世界一、井戸掘り得意な事!」
「知ってるよ。だけど、誰かが井戸掘りしないと、お兄ちゃんが怒られちゃうんだよ!」
リーナが、ウルウルしながら、俺を見上げてくる。
ここで、やらなきゃ、俺はお兄ちゃんじゃない。
俺は、いつでも、リーナの格好良いお兄ちゃんでいたのである。
継母に怒られても良いと、今迄、井戸掘りをサボってたが、それにより、リーナに心配かけて、しかも井戸掘りまで、俺の代わりにやらせる事となるとは……本当に、悔やんでも悔やみ足りない。
俺は、リーナの手を優しく握り締め、癒し手の力で、リーナの手荒れとマメを綺麗に治し、しかも、元よりスベスベサラサラにしてから、リーナに力強く言い放った。
「リーナ、見てろよ! お兄ちゃんの力を!」
ーーー
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