第12話連続形と多面張

「変な形になった時どうしたらいいかわからないんだけど」

「変な形?」

「四四五六みたいな形。四五六に四がくっ付いてるんだけど、この四を切っていいかわからなくて」

「亜両面か。連続系の中では一番弱いな。じゃあ、連続系について考えてみようか」

「うん。連続系っていくつか種類があるの?」

「ああ。四連形、中ぶくれ、亜両面がある。強さとしては四連形が一番強くて、亜両面が一番弱い。四連形は三四五六みたいな形、中ぶくれは四五五六みたいな形、亜両面は四四五六みたいな形だ。それで亜両面の取り扱いがわからないということだったな」

「うん」

「この亜両面という形は、分解してみると四五六の面子に四が単独でくっ付いていると見ることもできるし、四四の対子に五六の両面ターツがくっ付いていると見ることができる。この亜両面が連続系の中で最弱と言われている理由がわかるか?」

「う~ん……なんだろ……? 他の連続系の強さがわからないから比べようもないんだけど」

「確かにな。では、四連形から見ていこうか。この三四五六という形が激アツということがわかるか?」

「そうなの? 三四五だけでも良さそうだし、四五六だけでも良さそうだけど。なんか余計なものがくっ付いているとしか思えないんだけど」

「この三四五六という形は、三四の両面ターツと五六の両面ターツがくっ付いていると見ることもできる。二と五が来たら嬉しいし、四と七が来ても嬉しい」

「来たら嬉しい牌が多いんだ。確かに激アツな形かも」

「余計なものがくっ付いていると考えて切ってしまうのはもったいない。それにこの四連形に一つくっ付いて五連形になった形を残してテンパイした場合さらに激アツだ」

「どんな風に?」

「多面張になる。この場合三面張だな。例として三四五六七を挙げる。何待ちかわかるか?」

「全然わかんないよ……」

「これも分解して考えれば大丈夫だ。三四五が面子でそれに六七の両面ターツがくっ付いていると考える。まずは五八待ちだ。それに加えて五六七に三四の両面ターツがくっ付いていると考えることが出来る。二五待ちだ。合わせて二五八待ちになる。五連系は代表的な三面張の形だ。どうだ? 激アツじゃないか?」

「確かに! 三種類も待ちがあるんだ。それならかなりアガれそう!」

「ああ。こういう良い形でテンパイした場合かなりアガりやすくなる。次に中ぶくれを見ていこう」

「うん」

「四五五六みたいな形だ。これも分解して見ることが出来る。四五の両面ターツと五六の両面ターツだ。三六待ちと、四七待ちだ」

「中ぶくれも来たら嬉しい牌が多いんだね」

「ああ。だが、四連形が激アツだとしたら、中ぶくれは中アツだ。中中繋がりだ。その理由は四連形の様に多面張にならないからだ」

「そうなんだ。でも、強いことに変わりは変わりはないんでしょ?」

「ああ、強いな。普通に強い。中ボスだ。五連形はラスボスだ。ラスボスと比べると見劣りするのは否めないが、この中ぶくれも強いことには変わりない。四五五六の形で邪魔と勘違いして、安易に五を切らない方がいい」

「わかった。中ぶくれも大事にする。メモメモ」

「最初の質問に戻るんだが、連続系最弱の亜両面だ。さっきも説明したが対子に両面ターツがくっ付いている。強さとしてはチュートリアルボスだな」

「強いのか弱いのかわからないよ」

「例を出すと、四四五六に六を引いてくると嬉しいか? 一応一盃口一まで後一牌だ。でも、形的には五のカンチャン待ちだ」

「全然嬉しくないかも。一応アガれたら一翻アップするけど、そんな形でリーチするのは怖いよ」

「そうだな。逆に五を引いてくると形的にはかなり良い。三六待ちの両面が出来るし、六を引いてくると一盃口が付く」

「うん。五の方が嬉しい」

「例として四四五六を出したけど、この形は弱くない。元々真ん中の牌はくっつき力が強いから単独でも強い。それが集まってるから弱いわけがない。別の例を出すとすると、一一二三や、七八九九の形をどう思う?」

「う……なんかあんまり嬉しくないかも……」

「そうだな。亜両面に限らず連続系全体の話だが、端の牌が連続するより、真ん中の牌が連続した方が強い。真ん中の牌のほうがくっつき力が強いからな」

「うん。真ん中の牌はくっつき力が強い」

「例の場合でもう一個四を引いてきて四四四五六になり、さらに既に雀頭がある場合を見ていこうか。雀頭は例として東にする。四五六を面子として見ると四と東のシャンポン待ちだな。四四四を面子として見ると四七待ちだな。合わせて四七東待ちだ。両面シャンポンと呼ばれる形だ。亜両面は両面シャンポンに進化することが出来る。まあ、自分で五枚使っているから最大の待ちは少ないが」

「そうなんだ。今までの話を総合して聞いていると、亜両面ってあんまり強くなさそう」

「そうだな。ブロックが少ない序盤は安易に切らない方がいいけど、ブロックが充実してきたら切っても問題ない。迷ったら亜両面を切るという選択をしてもそんなに悪くなることはない。もちろん、端っこか真ん中なのかということは大事だが」

「迷ったら亜両面は切っていい。ふむふむ。大分連続形のことがわかった気がするよ。今、清人が言ったこと以外で連続形に強くなるコツはある? 連続形だけじゃなくて形に強くなるコツとか」

「まずは何切る本を読むことだな。大体今俺が言ったことが書いてあるが、さらに詳しく書いてあるので、理解が深まると思う。それと三人麻雀を打つと良い」

「三人麻雀? 何で?」

「三人麻雀は萬子を使わないので、筒子か索子のぐちゃぐちゃした清一色や混一色になりやすい。最初の内は何を切ったらいいかわからないと思う。部活では四人麻雀しか打たないと思うので、家に帰ってからネット麻雀で試せばいいと思う」

「そうなんだ。大会ではほとんど四人麻雀ばっかりだから、部活でもみんな四人麻雀しか打たないんだよね。だから必要ないと思ってた。三人麻雀では、ぐちゃぐちゃした形になるから形に強くなるのか。うん、やってみる」


 俺は四人麻雀より三人麻雀を好んで打っていた。今でも四人麻雀より三人麻雀の方が好きだ。理由は高い手がアガりやすいってことがあると思う。

 最初の内は何を切ったらいいかわからなかったんだけど、三人麻雀を打ちなれてきた頃、四人麻雀を打ってみるとなんてシンプルな形なんだろうと思った。

 三人麻雀を打つうちに形に強くなっていった実感がある。おかげで、四人麻雀で先制リーチを打つ回数で負けたことはない。

 三人麻雀より四人麻雀の方が競技人口が多いからか、三人麻雀を下に見ている人がいるのも事実だ。

 そういう人からすると、四人麻雀を上達するには四人麻雀を打つしかないと考える人もいるだろう。その考え方も間違ってはないだろう。

 でも、そういう人たちにも三人麻雀の楽しさを知ってほしい。


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 麻雀基本ルール・用語解説


 ターツ 後一牌で順子が完成するようなブロック。三四を持っていて二五を待っている状態や、四五を持っていて三六を待っている状態。

 ターツのこと自体をブロックと呼ぶこともある。

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