第9話スジ
「ちょっと待って。私、牌譜見返したら七筒捨ててるけど、ロンされてるよ。七って四のスジで安全……じゃなかった、比較的安全じゃないの?」
「そこに気付いたか」
「どういうこと?」
「七はスジの中で比較的安全界の中の比較的危険なんだ。逆に一は比較安全界の中で比較的安全なんだ」
「ややこし! 比較的安全の中で比較的危険? 比較的安全の中で比較的安全? わけわからないよ……」
「スジを改めてまとめていこうか。PCのテンキーの縦列がスジの関係になっている。電卓でもいい。一四七、二五八、三六九だ。四がリーチ者の河に捨ててあれば、一と七がスジの関係になっている。五が捨ててあれば、二と八がスジの関係になる。六が捨ててあれば三と九がスジの関係になる。PCでやってればその場で確認することが出来るから覚えなくてもいい。そのうち見なくても秒でわかるようになる」
「うん。それは心強いよ。四が捨ててあれば一か七を切ればいい。五が捨ててあれば二か八を切ればいい。六が捨ててあれば三か九を切ればいい。テンキー見ながらだからわかりやすい。話は戻るけど、何で私は七筒切ってロンされたの?」
「逆に聞くけど、その場合相手はどんな形になっていたと思う? まあ、牌譜見れば答えは一目瞭然だが」
「八九持ってる……あ、そっか! ペン七筒に当たったんだ!」
「その通り。スジは両面だけの話だから、ペンチャンに関係ないんだ。相手が五六を持っている場合の四七待ちはフリテンになるから当たらないけど、ペンチャンには当たる。当然単騎にもシャンポンにもカンチャンにも当たる。逆に一はペンチャンもカンチャンも存在しないから比較的安全だ。これが七が比較的安全界で比較的危険といった理由だ」
「そっか、腑に落ちたよ」
「じゃあ、六が河に捨てられている場合、九は比較的安全界の中で比較的安全だけど、三は比較的安全界の中で比較的危険なのはわかるか?」
「九はカンチャンもペンチャンも存在しないから当たらないけど、三はペンチャンにもカンチャンにも当たる。それに単騎にもシャンポンにも当たる。当たるパターンが多いんだ」
「その通り。いいぞ、飲み込みが早い」
「やった! これで守備マスターだよ」
「おいおい、気が早いって。でも、一歩前進したのは間違いない」
「まだまだ守備について知りたいよ。他に何かある?」
「二人には真っすぐリーチに向かってほしいから字牌はあまり持たないように言ったが、守備に関してだけなら字牌は安全だな」
「何で?」
「東南西とか南西北みたいに字牌は階段状に出来ないから、数牌より当たるパターンが少ない」
「お守り代わりに持ってたらいけないの?」
「もちろん対子や面子になっているのなら持っててもいい。でも、孤立している字牌を持っていると手が遅れる。お守り代わりに一枚持っているくらいならいいが、あまり持ちすぎるとアガれないと思う」
「私は中々字牌が捨てられないです……振り込むのが怖いですから……」
「その気持ちもわかる。だが、字牌が危険になることもある」
「危険になる……ですか……?」
「ああ。当たるパターンが少ないからこそそこを狙ってやろうというのが人間だ。実際、七対子や国士の待ちに字牌がなることが多い」
「確かに……私がよく放銃しているのは七対子です」
「怖いね……それって見分ける方法あるの?」
「河をよく見るんだ。三~七といったど真ん中の牌を序盤からバシバシ切っている人がいれば七対子や国士の可能性が高い」
「河が濃くなっていれば、七対子と国士無双警戒ですね。メモメモ」
「じゃあ、絶対に安全な牌って現物だけなの? 他に安全な牌ってないの?」
「確かに現物は完全に安全だな。その牌が危険か安全っていうのは河次第で刻一刻と変わってくるから、この牌がどの場面でも安全っていうのは言いにくいと思う。っていうのは前提だけど、一応これは安全だっていうのは頭を振り絞って挙げてみようと思う」
「やった!」
「さっきも言った通り、字牌は比較的安全だ。三枚切れの字牌は国士以外でロンされることはない。二枚切れだと単騎には当たるけど、シャンポンには当たらない。一枚切れだと単騎とシャンポンには当たるけど、順子がないからその他のパターンには当たらない。例外としてどちらも国士には当たる。その他だとスジの一九は比較的安全だし、スジ二五は一九よりは頼りないけど、比較的安全界の中で中くらいだし、スジ三七はさらに頼りないけど、安牌がないなら仕方なく切るって感じかな。他にもあるけど、これ以上やると頭がパンクしそうだから今日はこのくらいでいいと思う」
「確かに。頭整理する時間欲しいかも」
「私はもっと聞きたいです。絶対に放銃したくないんです!」
「田所さん、その意気はいいけど、麻雀で放銃率0ってのは絶対にないんだ。ダマテンに振り込むことなんてしょっちゅうあるんだし、田所さんはもうちょっと振り込むことに寛容でもいいと思う。それよりかはアガることに注力してほしい。今度は守備じゃなくて、牌効率の勉強をしよう。本来、守備より牌効率を身に付けるのが先決だから」
「わかりました。アガれるように頑張ります!」
二人に守備を教えているうちに思い出したんだ、子供のころのことを。
振り込み過ぎて悔しくて泣いていた。その時に兄貴が優しく守備を教えてくれた。
それでも思い通りにならずに振り込むことはあったが、徐々に放銃率が減らせるようになって嬉しかったっけ。
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麻雀基本ルール・用語解説
ドラについて
ドラとドラ表示牌 王牌に表示されている牌の次の牌がドラ。例えばドラ表示牌が一なら二がドラ、二がドラ表示牌なら三がドラ。九がドラ表示牌なら一がドラ。
東がドラ表示牌なら南がドラ、南がドラ表示牌なら西がドラ、西がドラ表示牌なら北がドラ。北がドラ表示牌なら東がドラ。
白がドラ表示牌なら發がドラ、發がドラ表示牌なら中がドラ、中がドラ表示牌なら白がドラ。
王牌 対局時にツモる事の出来ない十四枚の牌。ドラ表示牌一枚、裏ドラ表示牌一枚、カンドラ表示牌四枚、裏カンドラ四枚、嶺上牌四枚で構成されている。
ドラの種類 アガった時に役の数が増えるドラだが、いくつかの種類があります。
赤ドラ 萬子・筒子・索子の五をそれぞれ四枚のうち一枚の赤く塗られた牌をドラとして取り扱う。ドラ表示牌が四なら赤ドラはアガった時に二翻アップする。
赤ドラにはドラ表示牌はなく、持っているだけでドラ扱いになる。
裏ドラ リーチしてアガった時に捲ることが出来る。
カンドラ カンをした時に新しいドラが増える。
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