EITOエンジェルズ総子の憂鬱(仮)65

クライングフリーマン

65.私を誰だと思っているの?

 ===== この物語はあくまでもフィクションです =========

 ============== 主な登場人物 ================

 南部[江角]総子(ふさこ)・・・大文字伝子の従妹。南部興信所所長の妻。EITOエンジェルのチーフ。

 南部寅次郎・・・南部興信所所長。総子の夫。

 大前英雄管理官・・・EITO大阪支部の管理官。コマンダー。総子からは『兄ちゃん』と呼ばれている。

 足立祐子・・・EITO大阪支部メンバー。元レディース・ホワイトのメンバー。

 石動悦子・・・ EITO大阪支部メンバー。元レディース・ホワイトのメンバー。

 宇野真知子・・・ EITO大阪支部メンバー。元レディース・ホワイトのメンバー。

 丘今日子・・・EITO大阪支部メンバー。看護担当。元レディース・ホワイトのメンバー。

 河合真美・・・ EITO大阪支部メンバー。元レディース・ホワイトのメンバー。

 北美智子・・・ EITO大阪支部メンバー。元レディース・ホワイトのメンバー。現在は休暇中。

 久留米ぎん ・・・ EITO大阪支部メンバー。元レディース・ホワイトの総長。EITOエンジェルス班長。

 小峠稽古 ・・・ EITO大阪支部メンバー。元レディース・ホワイトのメンバー。

 和光あゆみ・・・EITO大阪支部メンバー。元レディース・ブラック7のメンバー。

 中込みゆき・・・EITO大阪支部メンバー。元レディース・ブラック7のメンバー。

 海老名真子・・・EITO大阪支部メンバー。元レディース・ブラック7のメンバー。

 来栖ジュン・・・EITO大阪支部メンバー。元レディース・ブラック7の総長。EITOエンジェルス班長。

 愛川いずみ・・・EITO大阪支部メンバー。EITOエンジェルスの後方支援担当になった。

 本郷弥生・・・EITO大阪支部、後方支援メンバー。暫く米軍に研修に行っていた。

 大前[白井]紀子・・・EITO大阪支部メンバー。事務担当。ある事件で総子と再会、EITOに就職した。

 神代チエ・・・京都府警の警視。京都府警からのEITO出向。『暴れん坊小町』の異名を持つが、総子には、忠誠を誓った。

 芦屋一美(ひとみ)警部・・・大阪府警テロ対策室勤務の警部。総子からは『ひとみネエ』と呼ばれている。アパートに住んでいる。

 用賀[芦屋]二美(ふたみ)二曹・・・。三つ子の芦屋三姉妹の次女。陸自からの出向。総子からは『ふたみネエ』と呼ばれている。オスプレイやホバーバイクを運転することもある。後方支援メンバー。総子の上の階に住んでいたが、用賀と結婚して転居した。

 芦屋三美(みつみ)・・・芦屋グループ総帥。EITO大株主。芦屋三姉妹の長女で、総子からは『みつみネエ』と呼ばれている。芦屋三姉妹と総子は昔。ご近所さんだった。


 小柳警視正・・・警視庁から転勤。大阪府警テロ対策室室長。

 真壁睦月・・・大阪府警テロ対策室勤務の巡査。

 佐々一郎・・・元曽根崎署刑事。横山と同期。大阪府警テロ対策室勤務。通称佐々ヤン

 指原ヘレン・・・元EITO大阪支部メンバー。愛川いずみに変わって通信担当のEITO隊員になった。

 用賀哲夫空自二曹・・・空自のパイロット。EITO大阪支部への出向が決まった。二美の元カレだったが、二美と結婚した。

 デビット・ジョンソン・・・アメリカ空軍軍曹。EITO大阪支部専従パイロット。

 幸田哲夫・・・南部興信所所員。


 =====================================

 = EITOとは、Emergency Information Against Terrorism Organizationを指す =

 ==EITOエンジェルズとは、女性だけのEITO大阪支部精鋭部隊である。==


 午前9時。EITO大阪支部。会議室。

 マルチディスプレイに、いつもの通り、小柳警視正が映っている。

「何者ですかね?『時の氏神』って。」と、大前は小柳尋ねた。

「さあな。お陰で助かったのは事実だが。単に『邪魔者』をEITOに始末させたのかも知れん。」

「そう言えば、東京本部の事件で、そんなケースがありましたね。」

「油断は禁物だよ、大前君。ちょっと待ってくれ。一旦、切るよ。」

 マルチディスプレイから、小柳が消えた。

「トイレ休憩かな?」と小町が言い、総子が睨んだ。

 大前が、まだ確執があるのかな?と思っていたら、10分後にまた小柳の顔がマルチディスプレイに映った。

「阿倍野区で、惨殺事件が起きた。ガイシャの男性は下着姿で、両手首と両足首の4か所に革製のバンドが巻かれ、首と腹の皮膚は変色していた。発見されたラブホテルの防犯カメラの映像で、そのガイシャが別の男性と入ったことが判明している。困ったことが2つ。1つは、お名前カードと名刺で、『一心の会』の市議だと明らかになったこと。もう一つは、『これくらいで済むと思うなよ』という、ワープロで書いて印刷した紙が『書き置き』が残されていたことだ。当然だが、吉本知事が動いた。警察だけでなく、EITOの案件、即ち、テロだと言っている。」

 小柳の言葉に、「政敵とチャイますのん?」と、大前はつい言ってしまった。

「チャウかどうかは、調べてみないと判らない。取り敢えず、知事には、ガイシャを恨んでいる人物をピックアップしてくれと要請した。そして、阿倍野区の聞き込みをしている。問題のラブホテルは、商店街を抜けた、住宅密集地にある。数人だけでもいい。聞き込みに加わってくれ。」

「今回は、ジュン、真子、みゆき、あゆみで行って。」と総子は指示をした。

「反社が絡んでいるかどうか判らんが、『これくらいで済むと思うなよ』と書き置き残す位やから、連続するかも知れん。後の者は待機や。寝不足の者は仮眠とってもエエ。家には帰るな。」と、大前は指示を足した。

「ラブホテルってことは、狙われていたんか。一緒にラブホテル、って・・・性癖でなければ密談やな。」と、小町は言った。

「欺されてついて行って、エライ眼に遭わされた、ちゅうことですか、コマンダー。」

「うん。一心の会に向けてのメッセージと受け取るのが正解やろ。選挙の裏取引とか、かな?兵庫県のように、『不倫』絡みじゃないやろう。」

 午後3時。

 ジュン達は、帰って来た。

「すみません、手ぶらで。あの辺は、あたしらの庭みたいなもんです。知り合いも大勢いるけど、黒いハットで上手く顔を隠していたらしいことしかわかりませんでした。南部興信所の皆さんも手伝ってくれて、阪堺線の『松虫』の辺りまで、線路脇の店とかに聞き込みに回ったけど、さっぱり。」

 ジュンの報告に「ご苦労さん。煎餅でも食べて一服しときや。」と、大前は労った。

 午後4時。

 突然、総子のスマホが鳴動した。

 総子はスピーカーをオンにした。

「吉本です。市議が2人、誘拐されました。助けて下さい。勿論、府警に連絡するな、って脅迫状に書いてあるし。」

「知事。落ち着いて下さい。知事はEITOに連絡した、EITOから警察に連絡しても、犯人の指示を無視したことになりません。誘拐された市議の資料を送って下さい。」

 10分後。誘拐の被害者の市議の資料が到着し、ヘレンが画面に出した。

「殺された四宮乙次郎と陸前太郎、近江雅人は、『三羽ガラス』と言われた市議か。去年、研修旅行に那珂国に3回渡航・・・ハニトラが原因かあ。」

 大前の言葉に、弥生は珍しく「自業自得ね。」と、毒を吐いた。

 午後5時半。

 事態は急変した。

 マルチディスプレイに南部興信所の南部が映った。

「コマンダー。大火災や。大正区の倉庫や。」と南部が言い、横から幸田が、「王子本通り商店街のうどん屋の主人が、市議3人が一昨日、客として来た時に、『大正区』とか『倉庫』とか『ヤング』とかいう言葉を小耳に挟んだと言っていました。今、燃えてる倉庫かも知れん。」と言った。

 皆、帰る準備をしていたが、用賀がスマホで二美を呼び出した。用賀はスピーカーをオンにした。

「今、どこだ?」「ここよ、ダーリン。慌てないで。」

 後ろから来た二美が、今度は三美にスマホで電話をし、事情を話した。

「判った。2号機は、私が発進させる。」「え?免許持ってたの?三美。」と大前が叫ぶと、「私を誰だと思っているの?」「失礼しました。」

 大前が謝っている内に、総子達は出発した。

「兄ちゃん。消防に連絡しといて。消火弾落すからって。」去り際に総子は言った。

 そうだった。空自のオスプレイの部隊MAITOの好意で、オスプレイ2機に消火弾が搭載されたのだ。消火弾というのは、MAITOが開発した、災害消火用の『巨大な水風船』だ。

 午後6時。大正区の倉庫。

 現場はすぐ近くだ。先に到着した三美が乗る2号機と、デビッドが操縦するEITO大阪支部の1号機が、消火に苦戦している消防の前で数発消火弾を落した。30分で、鎮火間際になった為、総子達は、後を佐々ヤンこと佐々刑事に任せてオスプレイで移動した。

 午後7時。旭区。城北公園近くの雑居ビル。

 NPO法人ヤング支援の占有のビルだった。

 メガホンで、総子は言った。

「市会議員襲って何したいんや。ええ子やから、自首しい!!」

 忽ち、ビルから、ヤクザっぽい男達が武装して出てきた。

 最近は、NPO法人の名前で跋扈する半グレの社員が多い。

 総子の名乗り、いや、口上が始まった。

「天が呼ぶ、地が呼ぶ、人が呼ぶ、悪を倒せと我らを呼ぶ。参上!!EITOエンジェルズ。満を持して。」

「何か判らんが、いてまえ!!」

 1時間後、社長は、その言葉を後悔することになった。

 シューターとペッパーガンで威嚇し、バトルスティックで闘った、総子達EITOエンジェルズと、水流ガンで攻撃した弥生、いずみ、用賀のホバーバイク隊の勝利だったから。

 シューターとは、うろこ形の手裏剣で先端に痺れ薬が塗ってある。ペッパーガンとは、胡椒等の台所調味料を丸薬にした弾を発射する銃である。水流ガンとは、飛び出すとグミ状になる水を撃つ銃である。ホバーバイクとは、『宙に浮くバイク』で、EITO独自の、戦闘・運搬用バイクである。

 ぎんが長波ホイッスルを吹いた。長波ホイッスルとは、犬笛に似たサイレント・ホイッスルである。

 それが合図だったように、半グレの3幹部は凶弾に倒れた。

 EITOか鉛の弾の銃の携帯を許されていない。対テロ組織とは言え、民間組織であり、日本で拳銃を持っていい警察や自衛隊ですら、厳しい規制があるのが現状だ。

「あそこから、撃ったのね。那珂国マフィアがハニトラ女に始末させたかもね。」二美は、拳銃が撃たれたと思しき方向の建物を撮影し、スマホでEITO大阪支部に送った。

「ありがとう、二美。よう射撃場所が特定出来るな。」「私を誰だと思っているの?」

 2人のやりとりに、EITOエンジェルズは口を押えて笑った。

「よし。後は警察に任せて、撤収!!」と、総子は号令した。

 午後9時。総子のマンション。

「府警から連絡があったよ。倉庫の2人は、既に殺されて転がされていた。闇金に借金があることも判った。闇金は、ヤングの副業や。踏み倒そうと思ったのが間違いやったな。ヤングは、初めから生きた人間の身代金を狙っていた訳やない。3人の不祥事を黙っててヤル代わりに、とダニのように一心の会に纏わり付く算段やったらしい。幹部3人が殺されたお陰で、『警察の保護』と引き換えに、完落ちした。」

「それで、小町が帰り際に別行動したんやな。小町が吐かせたか。」

「名推理やな。」「私を誰だと思っているの?思い込んだら、上司に夜這いかけるおんなやで。」

「失礼しました。」

 南部は、ぺこりと総子に頭を下げた。

 頭を下げるともう『用意』が出来ていた。

 スタミナつきそうな夕飯だった訳だ。

 幸田も今頃、エライ眼にあってそうヤナア、と南部は呟いた。

 ―完―

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

EITOエンジェルズ総子の憂鬱(仮)65 クライングフリーマン @dansan01

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ