第7話 意外な結果

アンケートの結果。


①他のラーメン屋の出店に賛成か反対か


賛成 82% 反対 11% 無効 6%


②モンブラン日本一の開催に賛成か反対か


賛成 71% 反対 19% 無効 9% 



カミーネはもっと圧倒的に賛成多数で決まると思っていた。


「思ったほど、賛成されない・・・・」

結果を見て落胆するカミーネに

「この学園の生徒は優秀ね、ちゃんとアンチテーゼを示せているわ」

ななみが声を掛ける。

「アンチテーゼ?」

「そうよ、例えばこのアンケートが100:0だったら危険なのよ」

「え、どういうこと?わかんないよ」

りっちゃんがななみに聞く。


「ま、説明の前に反対意見を見ていきましょう」

ななみが携帯を操作して画面を切り替えると

集計結果の他に、何件かの意見の投稿もあった。


ラーメン屋の反対理由

・近所の肉屋さんが潰れてガッカリしたのを思い出した。

・ラーメン屋を危機に陥れるのが可哀そう。

・よくわからないけど、姉の嫁いだ先の農家でシャインマスカットが3年で半額になったのに似てる気がする。


モンブランの反対理由

・費用対効果が悪そう

・地元のケーキ屋さんの売上が心配

・モンブランだけなのが不公平な感じ、栗きんとんや甘栗は?

・アメリカのウィルマートを見ろ!まあ、日本のイオナでもいいが

・モンブラン嫌い!

・・・

・・


「どう?ちゃんとした意見だと思わない?」

携帯に見入っているカミーネにななみが言う。

「思うわ・・・みんな凄い

私が安易にアクセルに使おうと思ってたのが浅い考えって良く分かるわ」

目を見開いてカミーネに真剣に頷きを返す。


「アンチテーゼが示せてるってのは?」

りっちゃんがななみに問いかける。

「日本人は同調圧力に弱いって言われてるのよ

上の人がそう言ったからそうだ、とか、

みんながそう言ってるからそうだ、とかね」

「あ、なんかわかる、そういうのあるね」

ななみは一つ頷いて、

「ちゃんとみんなが自由に意見を言えたら100:0なんてありえないってことよ」


「ねえ、なな、このウィルマートを見ろってのは?」

今度はカミーネがななみに質問する。

「ウィルマートが出店すると町がゴーストタウンになるって言われてるのよ」

「何それ!怖い・・・お化けがでるよ?」

りっちゃんが自分の二の腕を擦る。

「りつ、そうじゃないよ、周りのお店が全部潰れてシャッター街になるって意味」

「どうしてそんなことになるの?」

「極端な例を挙げると、、、開店時に自転車を10ドルで売って、近隣の自転車屋さんが撤退すると100ドルにするとかね」

「なにそれ~!悪魔じゃない」

「そして、自転車屋さんを低賃金で働かせるってとこまでセットね」

「地獄の所業だわ」

「あくまで一例よ、利益優先の極みね」


「利益優先・・・そんなの、嫌よ」

2人のやり取りを黙って聞いていたカミーネがぼそりと呟き、続ける。

「私の理想は・・・・同じ未来を共有する家族・・・・国民が真の幸福を感じる社会・・・」

「「玉音放送!」」

ななみとりっちゃんの声が被る。

カミーネは2人の目を見て頷く。


そして、携帯を操作した。

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