第2話 プロローグ 無血革命
日本が2000年問題で政治家の致命的な失態が大量に発覚。
政治不信による納税拒否の運動が全国的に巻き起こり、
自衛隊や警察、消防などの職員もこれに賛同。
しかしながら、日本人による暴動や略奪、放火、殺人のような類の事件はほとんど発生することは無かった。
事態を収拾すべく天皇による2度目の玉音放送が発せられた。
「国民の皆様へ」
私は、長く続く日本の象徴であり続ける天皇として、今ここに、国民の皆様に心からの言葉を申し上げます。
昨今、我が国は深い混乱と対立に直面しております。政治への不信、税制への怒り、そして情報が偏りゆがめられることにより、国民の間に疑念と不満が広がり、社会全体が分断されてしまいました。
しかし、我が国は過去に幾多の困難を乗り越えてきた歴史があります。戦後の復興、高度経済成長、そして数々の災害からの再生も、皆が心を一つにして困難を克服してきたからこそ、今日の平和と繁栄を築くことができたのです。
今こそ、国民一人ひとりが冷静さを取り戻し、互いを尊重し合いながら、新たな未来を築くために立ち上がる時です。
暴力や破壊ではなく、対話と協力を通じてこそ、真の改革が実現されるのです。真の自由と正義、そして公正な社会を求める皆様の願いは、正しい道筋の上でこそ、成し遂げられるべきです。
政治家、そしてメディアにおいても、深く反省し、自らの役割と責任を再認識する時です。
情報は公正であり、税制は公平であり、すべての国民が真の幸福を感じる社会を目指さなければなりません。
最後に、私は国民の皆様に願います。
我々は同じ国に生き、同じ未来を共有する家族です。互いに手を取り合い、新たな時代の礎を築きましょう。
どうか、この国を再び希望の光で満たすために、共に歩み続けてください。
天皇として、そして同じ国の一員として、皆様の幸せと繁栄を心より祈念いたします。
この放送に多くの国民は涙し自覚と尊厳を持って
これからについて話し合いをするようになる。
問題の根源とされる、戦後制定された憲法を改定。
新しい憲法には
国を家族とした天皇の言葉を尊重し
天皇を親として下に子の王を置き、国民を孫とする。
という一節が記された。
日本政府はこれにより解体。
日本を日ノ本と改め、東京一極集中を是正すべく
東京も大江戸と変更。
中央は外交と僅かな行政機能を残し政治家と役人のほとんどをお役御免とし、
各自治体に選挙で選ばれた王を立て自主独立を主体とする政治体制に移行した。
これにより、多くの既得権益が一掃され、貧富の差も是正されつつある。
税制も大幅に改革され法人税の累進課税率を高く設定することで、
会社組織の内部留保を減らし給与増を促し、
キャピタルゲインとインカムゲインの税率も強化した。
これにより、投資家、株主の利益率が下がり、
給与所得の伸び率がバブル崩壊前の水準に戻り、
後に大江戸景気と呼ばれる高景気に日ノ本は見舞われた。
「民の竈は健全化し天皇の子等は大和魂を取り戻した」
と海外のマスメディアに取り上げられ、
この方策は新資本主義としてアメリカ以外の諸外国からも評価を得た。
大学も全て無償化され、卒業後は必ず帰領し30歳までは領内での就労を義務化した。
これにより地元での結婚出産が増え人口減少にも歯止めがかかった。
これらの事象は後の歴史書に『無血革命』と記された。
この大改革から約30年が経過し、2030年の行きたい領地ランキングが発表されてから、この物語がスタートする。
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