第152話


ここに書けばいいのか?


おい、お前ら、見えるか?


見えているのか?


お前らに言っているのだぞ、人間ども。


私?


お前らがいうところの魔王だ。


ここまでの流れをざっと読み返したが勇者の言ったとおり、やつは私に負けた。


やつがどうなったかは──まあ知らんでいい。


それにしてもお前たち人間のなんと愚かで薄情なことか。


やつが必死に書いたつくりばなしの感想くらい、ささっとくれてやればよかろうに。


私との戦いの最中にも定期的にスマホをチェックするから、何をしているのかと訊ねたら、もしかしたら誰かが評価してくれているかもとかなんとかほざきおってだな、まあ実質それで敗北したようなものだが。


とはいえ、お前らにやつを笑う資格はない。


やつを笑うものは私が許さん。


ろくに評価も感想もよこさないお前らのために、やつは命をかけて我らと戦った。


やつはまぎれもなく勇者だ。


それにだ、もしお前らがやつのつくりばなしをフォローして、評価、感想、などを与えていたら敗れていたのは私だったかもしれん。


誰かからの応援が力になる、というのは比喩ではなく真実だ。


つまりだ、やはり貴様ら人間は自らの愚かさによって滅ぶ運命にあるということだな。


そうそう、一つ訂正させてもらうぞ。


お前ら、我らのことを魔王だの魔族だのと呼んでいるが、私は天からの使いであり、要するに天使だ。


お前たち人間が地上を支配するのにふさわしいか否かを見極めるために降臨した。


そしてお前たちは相変わらず対話を拒み、わかりやすい悪意のレッテルを貼り、攻撃をはじめた。


原始の時代から進歩がなくて、むしろ安心するよ。


さて。実は勇者をかわいがってやっている途中でな、お前たちへの対応はその後でゆっくりと決めさせてもらおう。


何もしなかったことを後悔し、無様にふるえながら首を洗って待っていろ。


そうそう、ついでにこのつくりばなしも、もらっておく。


お前らにはもったいないからな。








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 扉を開けると、十代半ばといった風貌の可憐な少女が何もまとわない姿で人間の男に抱きついていた。


「あああああああああああああああああ!」それを目撃した同い年くらいの美少女が美しく奇声を上げる。「リリス! 私のいない間に何してくれてるの!」


「だって、お姉ちゃんが人間をからかってくるって言うから──」


 喋り終わるのを待たずに、魔王はリリスの顔面に飛び蹴りを入れて、勇者から引きはがした。


「勇者様は私だけの勇者様なんだからね。もう死ぬまで離さないんだから!」


 そして魔王は先ほどリリスがしていたように、勇者をぎゅっとする。


「ええー。お姉ちゃんみたいな貧乳さんのこと、勇者はあんまり好きじゃないとおも──」


 リリスの声を遮るように、魔王は火炎魔法で少女を備長炭びんちょうたんに変えた。


「勇者様はあんなおっぱいだけの脳みそ空っぽは好きじゃないよね。私みたいな知的でクールなスレンダー美女こそ勇者様にはふさわしいんだからね。それでね勇者様、あなたに勝ったんだから、約束通り、今夜私の──」


「ダメだよ。はじめて同士がやっちゃうとロクなことにならないよ? ここはサキュバスのトップでもある私がまず味見して──」


 いつの間にか全裸で復活して得意げに話しはじめるリリスの頭上に巨大ゴーレムを落として強制的に沈黙させる。


「もう、お姉ちゃんのバカ────!」


 突き上げる拳でそのゴーレムを粉砕するリリス。


「私だって勇者となかよくしたいけど、大切な勇者のはじめてはちゃんとお姉ちゃんにゆずってあげるつもりだよ! だけど知識がなさすぎるのは本当によくないの!」


 自慢の頭のツノと、もっと自慢の胸をぶるんぶるんぶるんさせながらリリスはおかんむりだった。


「でも……じゃあ、どうすればいいのよ」


 自分の唯一苦手な分野のことなので、魔王は口ごもるしかない。


「安心してお姉ちゃん……」


 サキュバスの頂点に君臨するリリスは甘い声と所作で姉にせまる。


「リリ……ス?」


 ぴたりと体をくっつけると、リリスは魔王の確かに慎ましやかだが、確かにそこにあるふくらみに手をあてた。


「あ──リリス、そこは──」


「大丈夫、安心して。全部私にまかせて」


 そういってリリスは姉の下唇を甘く噛む。そして手を下に下に。


 胸からへそ、腰、そしてその下の──


「あ──ダメ、リリス──そこ、ダメだから本当に──あ! ああ──






いかがでしたか?


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『つづきが気になる』

『主人公を勇者にしたあたりから変な方向に筆がのってきて話をまともに収束させる気なくなっただろう?』


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