第4話
ブクブクと細かな気泡が上がっていく。
目の前に覆いかぶさる透明の袋の様なものから透けて見える向こう側。深い暗闇。
まるで永遠に続く宇宙の様に終わりが見えないその中で、私は『浮かぶ』感覚を味わっていた。
呼吸とか瞬きとか考えるとか意思を持って身体を動かすとかそうゆう事は何も存在しない世界。ただ揺らぎ、漂う心地。どのくらいそうしていたのか分からない。長くて長い見えない時の流れの先で突然『今だ』という声が降りてくる。
私は無我夢中で目の前の袋を破った。
ここから今すぐ出なくちゃいけない、変わらなくてはならない、今じゃなきゃいけない、私の中で眩しい光はどんどん大きくなりながらそう言った。
暗い水の中で息をしながら、クルクル回転する身体。自由の効かない身軽さは、私をまっさらな状態に戻していくようだった。『もう一度、またもう一度生まれ変わればいいじゃない。好きな様に選べばいい。』自分の中から音が聴こえる。新しい心の臓の音。パシャ…と水が跳ねた。小さな身体が勢いよく地上に投げ出された。
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