第35話 クラン(6)


 さて、僕たちはドラゴン退治をさせられることになった。

 さっそく、僕たちはドラゴンの生息するダンジョンへやってきたよ。

 メンバーはもちろん、いつもの4人と、フェンリルのフェンちゃんだ。

 危険なダンジョンの中を、敵を倒しながら進む。


 しかし、さすがはSランクのダンジョンだ。

 まだドラゴンが出てきていないというのに、すでに強いモンスターばかりだ。

 まあ、僕のパーティーメンバーのほうが強いけどね……。


 でも、すでに僕は死にそうだよ……。

 Sランクオークがこん棒を振りまわす……!

 僕の横の地面に、大きな穴が空く。

 こんな攻撃当たったら一撃で死んでしまいそうだ。


「ワンワン……!」

「フェンちゃん……。俺が守るから大丈夫だって? ありがとうね……」


 まあ、さすがにフェンちゃんもいることだし、なんとかなるだろう。

 僕はいつも通り、後ろのほうでおとなしくしておけばいいや……。

 それに、僕にはマリアが防御結界を張ってくれているからね。

 僕に攻撃が当たることはないはずだ。

 うん、なんだか不安が和らいできたよ。

 さっさとドラゴン倒して帰ろう。



 ◆



 僕たちはドラゴンのもとまでやってきた。


「グオオオオオオ!!!!」


 ファイナルドラゴンは、思っていた以上に巨大だった。


「ひええええええ……」


 こんなの、人間にどうこうできる相手なのか……!?

 ファイナルドラゴンははるか頭上から、僕たちを見下ろす。

 まさに僕たちなんか餌にしか見えてないんじゃないのか……?


「さっそく倒すわよ……! 火炎烈火フレア・フレイム――!!!!」


 まずはエリーが先制攻撃だ!

 エリーの杖の先から、火炎が放射される。

 しかし、火炎はドラゴンの分厚い皮膚に弾かれて、消滅してしまった。

 ドラゴンにはなんら効果がないようで、けろっとした顔ですましている。


「そんな……! 私の最大火力の焔魔法が効かないなんて……!」


 まじか……エリーの攻撃ですら通用しないのか……!?

 こんなの、どうすればいいっていうんだ。

 ドラゴンには焔魔法は効かないのかもな……。

 だけど、エリーに使えるのは焔魔法だけだし……。


 すると、ドラゴンはニヤリと笑い、今度は大きく息を吸い込んだ。

 ドラゴンブレスを撃つつもりだ……!

 やばい……!

 さすがにドラゴンブレスとなると、ロランの盾でも防ぐことはできないぞ。


「みなさん……! 私の後ろへ……! 防御結界を張ります……!」

「よし……! たのんだ……!」


 マリアがみんなの前へ出る。

 そうだ、マリアの防御結界ならなんとかできるかもしれない。

 僕に常に張られているマリアの防御結界は、今まで破れたことのない、無敵の結界だ。


「グオオオオ……!!!!」


 ――ゴオオオオオ!!!!


 僕たちのもとへ、ドラゴンブレスが襲い掛かる。

 ドラゴンブレスは、マリアの防御結界にぶち当たると――、

 ――なんとそのまま、防御結界を破壊した……!!!!

 

 ――バリィン!!!!


「だめじゃないかぁ……!!!!」


 僕たちはすんでのところで、ドラゴンブレスを避ける。

 しかし、危ないところだった……。

 なんていう威力なんだ……。

 マリアの防御結界でも防げない攻撃だなんて……。

 じゃあ、僕にあいつの攻撃が直撃したら死ぬってことだよね……!?

 やばい……マジで帰りたくなってきた。


 マリアの防御結界があるから、まあ命だけは大丈夫だろうと思っていたけど、それも役に立たない。

 それに、頼みの綱のエリーの火力も通用しない。

 いったいどうすればいいんだ……。


「よし、作戦を考えたぞ……!」

「ロラン……! すごい! きかせて!」


 さすがはロランだ、こんなときにも作戦を思いつくなんて。

 あとは頼みの綱はロランだけだ。

 僕たちは岩陰に隠れて、ドラゴンをやりすごしながら作戦を考える。

 さっきのドラゴンブレスで視界が途絶えて、うまく岩陰に隠れることができた。


「いいか? ノエル。マリアの防御結界は破られるし、エリーの火炎もだめだ。だから、作戦はこうだ」

「うん」

「まずはフェンちゃんがドラゴンにとびかかり、あいつを地上に落す」


 たしかに、それならまだ戦いになりそうだ。

 でも、フェンちゃんにそんなことができるかな……?

 僕はフェンちゃんに尋ねる。


「フェンちゃん、大丈夫? できそう?」

「ワン……!」

「よし」


 どうやらフェンちゃんのほうは大丈夫みたいだね。

 それで、作戦の続きは……?


「よし、そして次に、俺が盾であいつを抑え込む」

「わかった……」

「そこをノエル、お前が剣でぶった切ってくれ」


「うん……って……ええ……!?!?!?」

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