世界観、設定など(ネタバレなしで3章時点のもの。随時更新予定)

 書くに当たって考えていたことを整理したものです。作中に出ていないネタバレになりそうなことは書かないようにしています。他にも追加があれば更新していきます。

 細かい設定を考えるのは苦手なのですが、整理してみたら結構細かくなりました。矛盾が出ないように気を付けないと……。


令和6年12月15日時点

・舞台

 カルバ王国の東部にあるラソーン市周辺が舞台。アランティ工業、サイブルダンジョンは市の北方にある。

 3章でタリヴァスが幽閉されているダンジョンがどこにあるダンジョンかは不明。


・タリヴァス・アランティ

 アランティ家はラソーン村(現在のラソーン市)の住人で、少なくともサイブルダンジョンが出来た六〇〇年前から歴史がある。詳細な経緯は不明だが四〇〇年前に村からダンジョンの管理権を移譲されダンジョン管理者となった。

 ラソーン村は攻略者相手に商売をしていたが、マジックアイテム専門店を経営していたアランティ家が独立し三〇〇年前にアランティ工業を作った。

 現当主は主人公のタリヴァス・アランティ。タリヴァスの両親はタリヴァスが八歳の時にダンジョン研究のために調査に出て行方不明になっている。それ依頼祖父のドラコルが親代わりとなってタリヴァスを育てたが、三年前のタリヴァスが一八歳の時に病死。タリヴァスが会社を継いで社長を務めている。二一歳で未婚。社交的な社長として陽気に振舞っているが友人と呼べるのは幼馴染のバルシンとフィオレッタのみ。

 タリヴァスはマジックアイテム開発を通じて国の発展を願っており、攻略者が命を落とすことがなくなるように研究を行っている。

 生まれつき両足の膝から下が欠損しており義足で生活している。祖父が魔力で動く義足を作り、タリヴァス自身も改良を行って魔力のあるダンジョン内部では生身と変わりのない歩行が可能となる。祖父の教育により高い技術力と知識を持ち、ラグニアを開発するという発想力もある。


・ダンジョンについて

 一〇〇〇年ほど前に魔術師によって生み出された。元々大地には魔力が循環していたが、その魔力を使って大地をダンジョンに変え、モンスターを生み出した。目的は諸説あるが確定的な物はなく、魔術師のその後も歴史には残っていない。ダンジョンだけが残った。

 ダンジョン発生の魔術は大陸全土に影響を及ぼし、その後も各地でダンジョンが発生し続けた。やがてダンジョン内部の財宝やモンスター素材を集めるものが現れ、攻略者として多くの者がダンジョンに挑むようになった。

 ダンジョンでの拾得物は地上では得られない物ばかりで、薬品や工業製品としての価値が高い。工業の発展や生活水準の向上に寄与しており、ダンジョン無しでの生活は考えられなくなっている。

 ダンジョンは国、ギルド、個人等によって管理されており、立ち入りには許可が必要となる。管理者は攻略者を監督する義務があり、違法な収奪や攻略者同士の争いは禁じられている。

 軍もダンジョン攻略を行っており、新しく発生したダンジョンの調査や危険なモンスターの討伐などを行っている。また財宝を国庫の収入としており重要な財源ともなっている。軍が先にダンジョンにはいることが多いため、民間攻略者からは主要な財宝を独占していると批判もある。

 ダンジョンは地下に階段等で降りていく構造になっており、階層はダンジョンによって異なる。浅いものは二階。深いものは記録があるもので二七階で、これは到達階層でありまだ続きがあるので実際の深さは不明。サイブルダンジョンは一二階が最新階層。最深部にはボスモンスターがいて財宝などを守っていることが多い。アランティ家は過去にサイブルダンジョンの一二階を攻略しており、その際に手に入れた財宝が家宝となっている。

 深度が深くなるほど地中の魔力も濃くなり、その影響を受けてモンスターも強力になる傾向がある。ダンジョンごとに出現モンスターは異なり、他には出ない希少な固有種などもある。五階ごとにボスモンスターが出ることが多く、大型で危険な能力を持つモンスターが待ち構えている。

 大陸全土にダンジョンがあり、カルバ王国では大小含め一四七個存在する。ダンジョンは唐突に生まれたり崩れたりするので数は変動する。しかし発生数の方が多く、年間数個程度で増加傾向にある。


・魔術について

 有史以前から魔術は存在しており、大地からの魔力を受けて行使する。体内にたくさんの魔力を蓄積できる体質を魔術の素養といい、その体質の場合に修業を経て魔術師になれる。一般人の場合はごく微量しか魔力を蓄積できないので、魔術を使う事が出来ない。

 地上では魔力の密度が薄く魔力の地脈の近くなど限られた場所でしか使えなかった。しかしダンジョン内部は大気に密度の高い魔力が満ちているため、地上よりも強力な魔術を行使できる。地上では小さな火を起こす程度がせいぜいだが、ダンジョン内部では部屋全体を火に包んだり、爆発魔法で巨大モンスターを吹き飛ばすことも出来る。炎の他にも氷や雷撃など様々な事象を操る事が出来る。なお魔術師が体内に取り込める魔力には限りがあり、深層であればあるほど強い魔術が使えるわけではない。

 魔術は体内の魔力を使って行使するため、大気に魔力があっても一般人では魔術は使えない。

 ダンジョン創成以前は魔術は宗教的な意味合いが強かったが、ダンジョン内部ではその威力が増しモンスターを倒したり味方を守る事が出来ると分かった。それから魔術師が攻略者となって戦うようになり、魔術の研究もすすみ様々な魔術が生み出された。


・魔法石

 魔力が結晶化した宝石を魔法石と呼び、マジックアイテムの素材や魔術師の魔力源として使用される。

 地上でも使用が可能であり、地上での魔術、マジックアイテムの普及の一助ともなった。一方で爆弾などを犯罪目的で使用する事例もあり、どの国でも地上でのマジックアイテム使用には強い規制がある。発火装置や照明程度は一般家庭でも使われており規制も緩いが、マジックウェポンのような危険なものはダンジョン外の持ち出しが禁止され、ダンジョンに併設された保管庫やギルドなどでの厳重な管理が法で定められている。

 蓄積した魔力量によって弱いものは緑、青、紫、強いものは赤と色が変化し、取引価格も変わる。財宝として宝箱から手に入ることもあるが、特定のモンスターの体内で生成されることもある。ボスモンスターなどは大抵大きな魔法石を体内に持っているので、倒した際は解体して回収することが多い。また魔法石は一種のエネルギー源で、戦闘によって体内の魔法石の魔力を消費している可能性が経験的に示唆され、戦いが長引くと価値の低い魔法石に変化するといわれている。そのため短時間でモンスターを倒すことが望ましい。

 蓄積した魔力の使用には注意が必要であり、一気に魔力が漏出すると構造が崩壊して爆発を起こす。緑色の魔法石はさほど危険はないが、青以上の魔法石は怪我や死に至る可能性がある。叩いたり落としたりしても簡単には傷はつかないが、傷ついた場合も爆発する。モンスター内部の魔法石に剣や矢が当たって爆発することもある。


・ワバク文字

 魔術と同様に有史以前から存在する魔術文字。文字そのものに魔術的意味があり、魔力を込める事が出来、魔術的現象を起こすことも出来る。

 地上においてはお守りや自己暗示程度のもので、物理的な効果までは期待できない。病気の時には多少治癒効果が望めるが、ただちに快癒したり死者を蘇生することはできない。

 地域によって文字数には差があり、一七から四三程度の開きがある。数百年前に大陸の魔術師協会により統一が行われ、現在は二三文字が標準となっている。

 ダンジョンが生まれてから魔術と同様に発展した。周囲の魔力を吸収する性質があるので、永続的な護符や強化魔法として使うことも出来る。ただしその場合は文字内に供給される量が少ない為効果も小さい。事前に強い魔力を込める事で強い効果を発揮させることも出来るが、時間とともに魔力を消費して効果も薄れていく。

 一部のダンジョン武具の場合は永続的で強力な効果を発揮するものもあるが、それは長期間にわたって膨大な量の魔力が蓄積されたことによる臨界現象が起こっており、通常のワバク文字を超越した機能を発揮している。詳細は解明できていない。また人為的に臨界現象を起こすことも出来ていない。

 一文字ごとに意味があり、組み合わせる事で複雑な意味を持たせる事が出来る。肉体、癒す、冷やすの三文字により解熱作用をもたらすことなどが出来る。マジックアイテムではこれを複雑化させ高度な機能を発揮させている。ゴーレムやラグニアもワバク文字から成る魔格構造で制御されている。

 日用品レベルのものはダンジョン内の魔力のみで動くが、強力な爆弾などは別途魔力が蓄積された魔法石を魔力供給減として使用する。ただ魔法石は細かい魔力の出力制御が出来ない為、ほとんど爆弾や雷撃のようなごく短時間だけ機能する用途でしか利用できない。

 誰が刻んでも同じ機能を持つわけではなく、刻んだ際に込めた魔力の強さによって文字の機能の強弱が変わる。強い魔力を持つ魔術師でなければ強い文字にはならない。武具に刻んで魔術効果を付与する場合があるが、強い文字であるほど効果も強くなる。二回目以降の注入で強くすることはできない。


・魔格構造

 マジックアイテムを制御するための装置。複数のワバク文字を組み合わせて、魔力を消費して特定の機能を発現させる。水晶や銅の薄片表面に文字を刻んで魔力の供給源と接続する。

 一般的なマジックアイテムは、単純なものは一〇文字、爆弾など多少複雑なものは三〇文字程度。ゴーレムは一〇〇から二百文字。ラグニアの場合は四〇〇文字で構成されており、一般的なマジックアイテムよりもはるかに複雑になっている。

 文字を刻んだだけでは機能せず、魔術師が魔力を注入することで機能する。長期間使用しないと文字内の魔力が消滅して機能しなくなり、その場合は再度注入が必要となる。ダンジョン内部であれば常時供給されるので魔力切れの心配はなく、過去の攻略者が落とした何年も前のマジックアイテムで命を拾ったという事例もある。

 魔法石と組み合わせて使用することが基本だが、ダンジョン内部であれば大気中の魔力だけで機能する。


・マジックアイテム、マジックウェポン

 ダンジョン攻略に役立てるために開発されたもので、基本的には魔力のあるダンジョン内部でしか使えない。大気中の魔力をワバク文字が蓄積して特定の機能を発揮する。照明効果の魔法燐、蝙蝠系モンスターの糞で作る爆弾、スライム組織を使った液状絆創膏など様々なものがある。

 日用品や補助的な物はマジックアイテム、攻撃に用いるものはマジックウェポンと区別される。総称はマジックアイテム。

 ゴーレムもマジックアイテムで、荷物持ちや戦闘用など見た目や機能が異なっている。土、岩、金属の無機物で主要構造体が作られ、事前に設定された目的を基本に活動する。起動に際して利用された魔力の持ち主を主人として認識し命令を聞く。命令の種類は制御する魔格構造によって決まり、基本的には前衛を守れ、リザードマンを狙えなどの単純な命令しか理解できない。高度な命令の解釈を可能にする魔格構造の開発は長年の課題だが数百年間停滞しており大きな変化はない。

 ダンジョン内魔力での運用が基本だが、魔法石と組み合わせたものは地上でも使える。攻略用に開発された発火装置、照明などは一般家庭でも普及している。ただし爆弾などは危険であり規制されており、ダンジョンに併設された倉庫やギルドでの管理が法で定められている。

 武具にワバク文字を刻み魔術効果を付与したものもマジックアイテムの一種。ダンジョン内では魔力を受けて耐火、強度向上などの機能を発揮する。ただし大気中の魔力密度に依存するため浅層では効果が薄い。また深層に行っても刻まれたワバク文字の強度により蓄積出来る魔力量に限りがあるので、無限に機能が向上するわけではない。

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