記録7:EMP RPG
歴史(フィクション)解説:第二次沖縄奪還作戦(今回からちょっとずつそれっぽい解説入ります)
今作戦は第三次世界大戦における最重要作戦の一つで、臨時政府の指揮下で行われた。中国・北朝鮮連合軍に占領された沖縄本島に上陸、瞬時に同地を制圧することを目標に立案された。
旧政府によって実行された第一次沖縄奪還作戦では、情報が漏れており、徹底的な反撃にあったが、第二回では立案者をわずか三人にしぼり、その中で、独断で作戦を実行するといった形が取られた。
残っていた屈強な自衛官を総動員して一個大隊を設立し、空挺降下を実施。
これを予期していなかった連合軍は混乱し、とある指揮官の下で行われた最終防衛線突破作戦では、全身装甲板を纏った狂人が突撃する事態が発生し、首里城が火災に見舞われたものの、結果的に大勝利を収めたのであった。
❖
―――こちらALPHA部隊。現在高度一〇〇〇〇メートル。燃料温度、速度良好。風速湿度良好。電子装置オールグリーン。攻撃許可を。
―――攻撃許可。敵の目を潰してやれ。
―――了解。只今より、攻撃を開始する。EMP爆弾投下。
◆二時間後...
「俺達が向かってんのがあの山、あそこに見えるだろ?大台ヶ原山頂に降下したらすぐに指定の場所まで向かうんだ降下はロープでやるから、ミスんじゃねえぞ」
「分かってます。僕だって一応近衛隊の戦闘員の中では強い方なんですよ?」
「ほんとかぁ?そんな細かったら、俺の愛しの全身装甲板を着れねえじゃねえか」
「普通あれを人は着れませんよ。貴方達(レンジャー)が特別なだけでしょう?」
「ははっ、言ってくれるじゃねえか」
僕の目の前で、そう言って笑う男は元自衛隊第一空挺団、今は日本陸軍第一降下猟兵師団第一大隊隊長の、鬼島(キジマ) 吉塚(ヨシツカ)だ。
かつては第二次沖縄奪還作戦で指揮官を努め、自ら全身装甲板を纏って敵陣に突撃を敢行した怪物だ。普通、四〇キロもある全身装甲板を着るなんて頭がオカシイ人間しかしないのだが、なぜか彼率いた小隊は、全員がそれを着れるのだという。
全く恐ろしい話である。
僕達は一旦装備を確認した。
今回の装備は、P90とH&K VP9。それからスタングレネードと軍用ナイフ。
一般的な暗視装備と防弾プレートだ。
迷彩服はコンクリートに溶け込む灰色を使用している。
なんか一昔前のFPSでありそうな装備をしているが、まあいいだろう。
そろそろ降下場所上空にやって来たので、僕達はファストロープ降下の準備をした。
「では、諸君!健闘を祈るぜ!」
鬼島がヘリの後部ハッチを開いた。それと同時に、続々と退院が降下を始めた。
僕も鬼島に目配せだけをして飛び降りた。
地面が近くなり、ロープを握る手に力を入れた。ほとんど地上スレスレでピッタリと止まった。
ムルも後からちゃんと降りてきてくれていて、全員無傷で降下することができた。
暗視ゴーグル(単眼)を装着して目標の入口に向かって前進を開始した。作戦長の指示に従って暫く下山し、深い山に入って行った。道中、監視カメラなどが多数見つけられたが、どれも先のEMP攻撃により沈黙していた。
そのカメラを逆に目印代わりに進んでいき、ついに僕達は未登録基地の前の鉄扉までやって来た。
扉は斜面に沿って作られていたため結構斜めっていた。
一旦扉を叩いてみたが、空洞音が聞こえないほど扉は分厚く、尚且つ扉も施錠されているようで全く開く気配もない。
全員がどうしようかと思案していた時、リーダーが無線機でとんでも無い要請をした。
「こちら突入部隊、敵の扉を破壊するため、地中貫通爆弾による爆撃を要請する」
全員が慌てながらも木の陰など、少し離れた所に隠れた。特に重い荷物も持たない僕達だったからの判断だろう。さすが日本軍、レベチだ。
暫くしていると、小さめの爆弾が鉄扉に突き刺さり、爆発した。全員の無事を確認したと同時に、突入を開始した。
屋内は暗く、電気は停止しているようだった。
気味が悪いほど静かで、部屋もすべて空き部屋だった。
全員の警戒が緩み始めたその時、とある扉から、光が漏れ出しているのが見えた。
扉の隙間からカメラを入れて中を確認した。
どうやらまだ下に続く階段があるようで、数名の人間がそこを守るために立っていた。
とある隊員が扉を開け、その他が中にいた人間を速攻で射殺した。
「クリア」
死体を漁ってみても、特に怪しいものも何も無い。それが不自然だ。身分証一つすら無いなんて、絶対に黒だろう。僕は無線機を取り出して本部と連絡を取ろうとした。
だが、ここで痛恨のミス発覚、電波増幅装置を外においてくるのを忘れたのだ。
僕はリーダーから電波増幅装置を受け取って、ムルと二人で戻った。
無線が綺麗につながるギリギリの所で電波増幅装置を設置して、本部と連絡を取った。
「こちら突入部隊。黒です」
無線機の向こう側から声が聞こえた。中峰だった。
「ようやく繋がった。それも君か。それで、所属は?」
「不明です」
「何!?不明だと!?そんな訳無いだろう!」
「これから更に深く潜ります。恐らく、所属はそこで...」
「...いや、待て。すぐに帰ってくるんだ。嫌な予感がする」
珍しく中峰が声のトーンを一つ落として言った。隣から視線を感じて、見てみるとムルも首を振っていた。
他の隊員を一旦呼んでから帰ると伝えて無線を切った。
「恭明...嫌な予感がする」
「嫌な予感なんていつもしてるさ。さっさとリーダーたちを連れて帰ろう」
「うん...」
僕達は銃を構えながらリーダーたちのいた部屋まで向かった。
何発もの銃声が鳴り響いた。
僕達は急いでその部屋に向かった。
突入する前に戦闘は終わっていて、僕達が入ったときには十数人の隊員が横たわっていて、二、三人はもう息をしていなかった。隊員の他に、全身穴まみれになった人間らしきものが横たわっていた。
「何が会ったんですか?」
僕が聞くと、リーダーは落ち着いた声で言った。
「さっき射殺したやつらが急に起き上がって、銃を乱射し始めたんだ。それも一回じゃなくて何度もだ。俺だけで百発以上は銃弾を撃ち込んだ。それなのに、なんで立ち上がってくるんだ...クソッ」
この時、僕には心当たりがあった。何故この男たちが銃弾を受けても死なない、いや、正確には死んでいるが、何故動いて人を殺すのか。近衛隊機密の中にある話だが、もう他の勢力に漏れているならば仕方ない。
最初はヨーロッパだけの技術だと思っていたのだが、外に漏れていたのだろう。
僕は、少し外に出てから無線機で連絡を取ろうとした。
「こちら突入部隊。損害多数。撤退する」
すると、向こうから、今度は別の人の声が聞こえてきた。
「まだまだ、パーティはこれからよ?イッツ・ショータイム!」
無線機から異音が聞こえ、すぐに投げ捨てた。それと同時に無線機が爆発した。
隣にいたムルがすぐに全員に撤退命令を出して、全員急いで出口まで走って逃げた。
道中、電気が復旧した所で、僕達は半ば諦めていた。
❖
お読み頂きありがとう御座いました。次回もこうご期待!
次回『ショータイム』
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