第56話

「いや、でも俺無理だ!女体以外無理だ!考えられねぇ!」


頭を抱える哲平。


そんな彼は本気で悩んでいるらしく、頭を抱えたまま考え込むようにうずくまった。





「ねえ、バイって何?」


咲が、キョトンとした顔で隣の拓海に聞く。


「ああ、バイセクシャルだよ。男でも女でも、どっちでもっ、てやつ。」


「ええっ!そんな人いるの!?」


「…まあ、いるんじゃね?そんなこと人には言いにくいし、密かにさ…。」


そう言って拓海は、伸びた自分の金色の髪を弄び始めた。






「まあ、例えばそいつが男で、バイだとしたら…。そいつはある男を好きになったとしても、女に走るだろうな。だって切ないじゃん。本命は、一生付き合えないんだし。だから端からみたら、そいつも普通の女好きに見えるだろうな。」


「ふうん。そんな世界も、あるんだね。」


「だな。」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る