第54話
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校舎裏の、10畳程度のバラック小屋。
この学校の不良の溜まり場になっているその場所に、明日から夏休みだという猛暑のこの日、5人の男女がひしめき合っていた。
誰が持ち込んだのか…小型のテレビの前でコントローラーを握りしめて言い合いをしているのが、北斗と香夏。
「ちょっ、お前!強くなってねぇ!?」
「だって、練習したんだもーん。」
「うぜえな、この暇人!」
「暇じゃないもん、彼氏いたし!」
「遊ばれてたくせに。」
「それを言う!?」
ぎゃあぎゃあと騒がしい二人だが、暑苦しい中その距離は肩と肩が触れ合いそうなくらい近い。
香夏を見る北斗の瞳は、普段からは考えられないくらい優しい。
…まあ、ここにいる他の三人は、そんなことには前からとっくに気付いていたが。
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