第35話

信じられないことだけど、わたしは本当に渋谷くんの彼女になったみたい。


渋谷くんとは、毎夜電話するようになったし。


時々バスケの練習を見に行って、一緒に帰ったり。


あっという間に毎日が過ぎた。





だけど渋谷くんとはキスは愚か手を繋いだり、っていう進展も全くなくて。


時々一緒にいても上の空だったり…。


本当にこの人わたしが好きなの?って思うこともある。


でもわたしからも特にそんなことも求めてないし、これでいいやって思ってた。


咲ちゃんは、そんなのオカシイって言うんだけど…。


スキンシップのない恋愛って、そんなにおかしいのかな。






そして気が付けばもう一ヶ月も経っていて、いつしか校庭の木々から蝉の声がやかましいくらいに鳴り響くようになっていた。


…夏休みも、もう目前。





不思議なことに、あの日一緒に帰ってからこの一ヶ月、わたしは北斗に一度も会わなかった。

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