第34話

そのままスタスタと、廊下の向こうに去ってしまった拓海くん。


「そういうこと…ね。」


拓海くんのいなくなった廊下で、ポツリそう呟いた咲ちゃん。


「…?」


不思議に思って咲ちゃんを見ると、「彼氏出来たばかりの香夏は、知らなくていいことだよ。」と、困ったように笑った。






「ていうか拓海くんてさ、優しいよね。」


咲ちゃんは小さくそう言うと、拓海くんが去って行った廊下の先に目を向けた。

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