第27話
あいつの母さんに聞いたのかも知れない。
家具までなくなってるから、それなりのトラックが俺ん家に止まってたのかもしれねえし。
香夏の母さん、情報通だからなあ。
香夏にはこんな姿見られたくないから、俺は慌てて家に入ろうとした。
だけど地面を蹴るサンダルの音が聞こえて、突然体が柔らかい何かに包まれた。
…それは、香夏の体だった。
香夏は俺を背後から抱き締めて、一言こう言ったんだ。
「大丈夫だよ、北斗。」って。
泣き虫な香夏が、涙を流すこともなくはっきりと言ったんだ。
「大丈夫?」って心配するんじゃなくて。
「大丈夫だよ。」って、俺の名前を呼んでくれたんだ。
…ああ、あったけえって思った。
やっぱり俺は、香夏が好きだなって思った。
優しくてあったかくて、普段は弱っちいけど芯はすごく強い香夏が…。
俺は、子供の頃からずっと好きだった。
香夏だけを、見て来た。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます