第25話

「なあ。」


家までの川沿いの道を北斗と並んで歩いていると、今までずっと無言だった北斗が突然口を開いた。


「あいつが…シブヤがバスケやってるから好きなわけ?」





見上げた北斗の髪は、太陽の光でキラキラ光って見えた。


およそ日本人には似合わないであろうその髪色は、北斗にはすごく似合っている。


わたしはあまり派手派手しく髪を染めたりするのは好きじゃないけど…北斗の髪は、好きだ。


北斗の場合に限って、黒髪よりもこっちの髪の方が好き。


それが、北斗の強い意志の表れのような気がするから…。






「バスケは関係なくて…。」


わたしは口を開いた。


「渋谷くんが、好きなの。」


はっきりと告げる。






うん、そう。


爽やかで、優しくて、かっこいい渋谷くんが好き。


ミーハーな理由かもしれないけど、好きって多分、こういう気持ちから来るんだと思う。





数秒間を空けて、「そう。」という北斗の静かな声が聞こえた。


…なんか、やっぱりいつもの北斗じゃない。


いつもなら「きもい。」とか言ってくるのに。


言われたら言われたでむかつくけど、こうも大人しくされるのは、嫌だなあ…。

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