第23話
そう、北斗は中2までバスケをしていた。
背の高い北斗は県内でも目立つセンターで、あちこちの高校から声が既に掛かっているくらい有名だった。
でも北斗にしては、バスケが特別ってわけじゃなかった。
何でも器用にこなす北斗は、バレーボールだってサッカーだって妬いちゃうくらい上手だった。
基本的に、運動神経バツグンなんだと思う。
バスケを始めたのは、友達がバスケ部だったからってだけ。
それだけだったけど、北斗はめきめきと頭角を表した。
だけど中2の県大会の決勝試合の日。
「勝ったら美味しいもの作るから。」
そう言って笑顔で北斗を朝送り出した北斗のお母さんが…家を出て行ったんだ。
優勝の報告をしに、ユニフォーム姿のまま大急ぎで家に帰った北斗。
「母さん、優勝したよ!」
「ただいま、勝ったよ!」
北斗がどんな言葉を用意していたのかなんて、今となっては分からない。
ただ北斗が家に入って見たのは…少しだけ家具が減って、お母さんの持ち物が無くなった薄暗い部屋だった。
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