第21話

「県大会?…あ。」


北斗は渋谷くんが手にしていた、黒いスポーツバッグに目に止めた。


それから渋谷くんの顔をまた眺めて、


「二中のポイントガード…。」


と微かな声で呟いた。





「あ、思い出した?」


渋谷くんは立ち上がり、バッグを肩に担ぎながら歩き出した。


そして北斗の後ろを通る寸前、すれ違い様に北斗の耳元で囁いた。





「バスケやめたんだね。残念だよ。君のプレイ、好きだったのに。」

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