第19話

「…おい。」




すると頭上から、いつもよりはやけに低い、聞き慣れた声が聞こえた。


見上げると、いつからいたのか不機嫌極まりない顔の北斗が、わたしの机の真ん前に立っていた。





「…そいつがシブヤか?」


威圧的な瞳、オーラ。


あれ?


さっきはなかった傷が、顔に増えてる気がする。


また喧嘩したみたい…。





ていうか何よ、さっきは無視してブス呼ばわりした癖に。


まだ許したわけじゃないんだからね。





「渋谷くんが…どうかした?」


なるべく北斗を見ないようにしてそう言った後、はっとした。


まさかまさか!


まさかだけど…。


わたしが渋谷くんを好きなこと、渋谷くんに言うつもりで北斗は来たんじゃないだろうか。


真っ直ぐで無鉄砲で、考えなしで行動する北斗のことだから、充分あり得るんだけど!

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