第18話

*****



「川瀬北斗とさ、付き合ってるの?」


渋谷くんの口からそんな耳を疑うような発言が飛び出したのは、その日のホームルームが終わってすぐのことだった。






「付き合ってない!付き合ってない!北斗とは家が隣同士で、ほんとこんなちっさな時からの知り合いで、兄弟みたいな存在で…!」


大急ぎで否定するわたしに、渋谷くんはクスクスと大人びた笑顔を向けた。


「うん、もう分かったよ。幼なじみなんだね。」


「うんっ、そうなの!」





慌てふためくわたし。


やっぱりじゃん!


勘違いされてたんじゃん!





すると渋谷くんの綺麗な手がスーっと伸びて、わたしの栗色のボブの髪に触れた。


その手は、頭頂部を優しくひと撫でする。


「…なっ。」


「はい、埃付いてたよ。」


渋谷くんはにこやかに微笑んで、手の中にある小さな埃を見せてくれた。





…埃?


「あ、ありがとう。」


耳まで真っ赤になっていたわたしは、恥ずかしくて穴にでも入りたい気分になる。

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